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【短編小説】週3日投稿

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SF・ミステリー・コメディ・ホラー・恋愛・ファンタジー様々なジャンルの短編小説を週に3日(火〜木)執筆投稿しています。 全て5分以内で読めるので、気になるものあればご気軽に読んで…
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#ホラー

【短編】『僕が入る墓』(遡及編 二)

【短編】『僕が入る墓』(遡及編 二)

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僕が入る墓(遡及編 二)

 肌を切るような眩しい日差しを浴びながら、太助は肩にかけた布で頬を拭った。すでに昼過ぎだった。片手に握っている木棒の先には土の色が滲んだ鉄が地面に刺さっていた。太助はそれを大きく持ち上げると、畠の端にそっと立てかけた。畠のそばの高台に座ると、置いてある袋を開けて、ホウノキの葉に包まれた握り飯を取り出した。女房が握ってくれたものだった。湿気で海苔が萎え、飯

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【短編】『僕が入る墓』(遡及編 一)

【短編】『僕が入る墓』(遡及編 一)

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僕が入る墓(遡及編 一)

 蝉の鳴き声と共に暑苦しい朝日が昇ると、僕たちは長い廊下を抜けて外へと出た。そこら中の外壁や窓は崩壊し、外から見ると久保田家の屋敷はまるで敵軍の奇襲を受けた跡のように廃墟と化していた。門の表には顔を真っ二つに切られた警察が倒れていた。もう一人はお勝手口付近で気を失っており、義父が頬を何度か叩くと目を覚ました。事情を理解できていない様子で僕たちの疲れ果てた

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【短編】『僕が入る墓』(後終編)

【短編】『僕が入る墓』(後終編)

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僕が入る墓(後終編)

 門の前では警察官二人がたわいもない話をしながら呆然と満月を眺めていた。

「なんで俺たちがこんなことしなきゃならねえんだ」

「署長命令だから仕方ないだろ? それに夜勤代が出るんだから我慢しろよな」

「だってよ。俺これで三日も家に帰ってないんだぜ」

「明日は帰れるって」

「だといいけど。そもそも署長は俺たちのことこき使いすぎなんだよ」

「まあ、俺も

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【短編】『僕が入る墓』(中終編)

【短編】『僕が入る墓』(中終編)

僕が入る墓(中終編)

 明美の方を見ると、うっすらと目を開けて夢を見ているように僕たちのことを眺めていた。

「明美、ママだよ。わかる?」

「ママ?」

 明美は目の前の景色が夢でなかったとわかった途端、閉じかけていた目を大きく開いた。

「明美、パパだよ。どうだ具合は?」

「ちょっと、眩暈がする」

「そうか。少し水を飲みなさい」

 僕は義父の言葉を聞いてすぐに自販機へと急いだ。ペットボ

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【短編】『僕が入る墓』(序終編)

【短編】『僕が入る墓』(序終編)

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僕が入る墓(序終編)

 義父が太い縄だけでどうやって奴らを捕まえるのか知る由もなかった。すると、義父がその一つを手に取って僕の足元に大きな輪っかを作った。

「ここに足を入れてみな」

 僕は義父の言われた通りに輪っかの中央を踏みつけた。縄は小さな積み木のようなものに空いた二つの穴を通って、その先には大きな杭が付いていた。すると、義父がその杭を手に持って引っ張ると同時に、僕の足に

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【短編】『僕が入る墓』(後結編)

【短編】『僕が入る墓』(後結編)

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僕が入る墓(後結編)

 しかし後ろには誰もいなかった。

 再び妻の方に視線を戻すと、真正面から突然打撃を喰らった。身体はまるで中国のアクション映画みたく綺麗に宙を舞って台所横の扉のそばに落下した。敵は大した腕力だった。俺は背中を痛めつつもゆっくりと立ち上がって敵の姿を確認しようと目を擦った。しかし、その素早さから敵はすでに配地を変え、自分の視界から消えていた。あたりを見回すも、

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【短編】『僕が入る墓』(中結編)

【短編】『僕が入る墓』(中結編)

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僕が入る墓(中結編)

 部屋に戻ると、網戸のそばに腰を屈めた義父の姿があった。僕には気づいていないようで、必死にセンサーの機械を壁板のどこかに隠していた。すぐ横に生えた草の陰には一匹の足の折れたカマキリが妙な動きをしていた。僕はカマキリがあまり好きではなかった。よく見ると、バッタを捕らえて食べているようだった。バッタはすでに体の半分を失っており、生々しさが余計に気分を悪くした。

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【短編】『僕が入る墓』(序結編)

【短編】『僕が入る墓』(序結編)

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僕が入る墓(序結編)

 救急車に乗り込む頃には、貧血で明美はすでに意識を失っていた。僕は明美の名前を何度も呼んだ。義父も義母も僕の後から娘の名前を叫んだ。すでに止血は済んでいたためこれ以上血が流れることはなかったが、血管が破損していたため緊急手術が必要になった。救急車は夜中の田んぼ道を全速力で走行した。

 義父と義母は手術室の外のベンチに座りながら、膝に腕を乗せで必死に祈ってい

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【短編】『僕が入る墓』(後後編)

【短編】『僕が入る墓』(後後編)

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僕が入る墓(後後編)

 屋敷に戻ると、義母が冷たいお茶を四人分机に出してくれた。今までより一つ少ないのがもの寂しかった。僕と明美が屋敷に来てからずっと義父と義母は忙しなくしており、お祖父様が亡くなったことを悲しんでいる暇もないといった様子だった。僕たちが駅に着いた時に義父が車の中で寝ていたのも自ずと理解できた。ようやくお祖父様の葬式と火葬を終えて緊張が解けたようで、二人は気を楽に

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【短編】『僕が入る墓』(序後編)

【短編】『僕が入る墓』(序後編)

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僕が入る墓(序後編)

一同は、目の前に映る異常な光景に言葉を失っていた。義母はその場でしゃがみ込んで何かを叫び続けていた。義父はお祖父様が尻餅をついて必死に起きあがろうとしているのを手伝った。僕は先ほどバケツに水を汲んだことを思い出し、あたりを探した。バケツは炎の届かぬ場所にそっと置かれていた。僕はすぐに両手でバケツを抱えて墓に向かって水を大きく振りまいた。一瞬、火柱がなくなった

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【短編】『僕が入る墓』(後中編)

【短編】『僕が入る墓』(後中編)

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僕が入る墓(後中編)

近くを飛んでいた小蝿や蛾が一斉に明かりの灯った電球の周りに集まった。

「大丈夫?」

「――」

「スイッチここね。わかりづらいよね」

「――」

「電気つけるとほら、虫がすごいのよ」

彼女の言葉は僕の耳には入ってこなかった。ただ響くのは激しく脈打つ心臓の鼓動の音だけだった。僕は気を落ち着かせてからやっとのこと口を開いた。

「一瞬――」

「え?」

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【短編】『僕が入る墓』(中中編)

【短編】『僕が入る墓』(中中編)

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僕が入る墓(中中編)

 土砂降りの中、義母はお手のものといった様子で次から次へと外に面した戸を閉めていった。義父やお祖父様は依然として居間に座ったままで食事を続けていた。すき焼きの具が鍋の中でぐつぐつと小刻みに揺れるのを眺めながら、明美は母親を思ってかテレビに釘付けの義父の後ろを通り過ぎて何も言わず居間を出ていった。僕も明美について行こうと一瞬床に片膝をついたが、義父とお祖父様が

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【短編】『我慢比べ』

【短編】『我慢比べ』

我慢比べ

 寝床に入って間もなく、部屋の入り口の真隣にある押入れの中から変な音を耳にした。気のせいかと思い再び眠りに入ろうとゆっくり呼吸を始めると再び押入れから同じ音がした。その音というのがなんとも奇妙で、まるで何者かがドアをノックしているような「トントン、トントン」とある一定の感覚で音が響くのだ。その音を聞くと、どうしても妄想がさらなる妄想を膨らませ、押入れの中に何者かの気配を感じてしまうので

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【短編】『もの言う左目』

【短編】『もの言う左目』

もの言う左目


「どっち向きですか?」

「右です」

「じゃあこれは?」

「下です」

「はい、じゃあ今度は左目に切り替えて。これどっち向きですか?」

ゴツゴツとした機械に顎を乗せ、レンズ越しに左目で見る中の景色はぼやけていた。

「わかりません」

「これは?」

「わかりません」

「はい、終了です」

僕は白内障を患い次第に左目の視力が低下していった。医師からは手術を受けることを強

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