【短編】『僕が入る墓』(序後編)
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僕が入る墓(序後編)
一同は、目の前に映る異常な光景に言葉を失っていた。義母はその場でしゃがみ込んで何かを叫び続けていた。義父はお祖父様が尻餅をついて必死に起きあがろうとしているのを手伝った。僕は先ほどバケツに水を汲んだことを思い出し、あたりを探した。バケツは炎の届かぬ場所にそっと置かれていた。僕はすぐに両手でバケツを抱えて墓に向かって水を大きく振りまいた。一瞬、火柱がなくなったように見えたが、すぐさま地面の残火から墓石へと火が燃え移った。僕は、炎を眺める明