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#読書
軽石散文 - 『嘔吐』サルトル
我々は信じたくない。思い出とは、過去とは、経験とは、ただ、自分のなかに佇むだけで、その体積のわりに、現在に一切の知恵も利益も与えてないことを。それどころか、その思い出のせいで我々は怖気づき、行動は制限され、退化しているとさえいえる状態に陥っている。スピッツの草野さんだって言っている。「君が思い出になる前に、もう一度笑って見せて」と。
成長は退化だ。時間が経てば精神は朽ちる。自分を含めて、人類は
花のノートルダム【ジュネ書評】
読み終わる。
巻末。
手紙の出だし。
本を閉じる
1942年
創造を終え、
この手紙を書いているときのジュネ、貴方は
心底、物語を作る喜びを感じていただろう。
(本作は獄中で書かれた)
すくなくともわたしならそう感じる。
この美しい手紙を読んだら
わたしは泣くかもしれないし、
はたまた、
さすがジュネ、とでもいえるような可憐な裏切りに直面し
苛立つかもしれない
期待は恐
「EDENA」English Edition【Moebius書評】
フランスにコミック文化があるのをご存知だろうか。
Moebius(Jean Giraud)は1938年フランス生まれの漫画家、アーティスト(2012年没)。
SF、ファンタジーをメインの作品を数多く手掛け、ホドロフスキーやルネ・ラルーとも制作を共にした。
ホドロフスキー、ルネ・ラルーと聞いて察した方も多いであろうが、かなりユニークなアーティストである。
本作「The World of Ede
レミングを知ってるか。【Richard Matheson" Lemmings" 書評】
レミングは北極付近に生息するネズミの一種。
大量繁殖と食糧を求めての大陸移動を3~4年のサイクルで繰り返し、移動の際に大量の犠牲を伴うことから集団自殺をする生き物として知られる。
その光景は" 死の行進" と称され、1958年公開のドキュメンタリー映画(ウォルト・ディズニー) " White Wilderness(邦題: 白い荒野) " で取り上げられ世界で知られるようになった。
彼らは海辺
レインとカフカとシェイクスピア【引き裂かれた自己(R.D.Laing)から見るカフカの魅力】
レインの『狂気の現象学』の改訳版である、『引き裂かれた自己』天野衛訳を読んでいて目にとまった箇所があったので紹介させてほしい。
ロナルド・ディヴィッド・レインは20世紀イギリスの精神科医。
狂気を了解可能なものとして認識する論文を数々発表。統合失調症をメインに、" 人が狂気を作りだし、しかし人との関係が患者を治療する" いう寛解モデルを実際の臨床を通して世間に伝えた。
レインの研究はざっくり言
死刑【『監獄の誕生』ミシェル・フーコー】
甚だおぞましい話であるが、わたしが文学に溺れたきっかけは「監獄」と「死刑」である。
10代になったばかりの頃、『アンネの日記』を読み、そのあとにフランクルの『夜と霧』、収容所の魅力に溺れ、石黒謙吾の『シベリア抑留』、ソルジェニーツィンの『収容所群島』を読んだ。
続いてユゴーの『死刑囚最後の日』ジュネの『花のノートルダム』に『薔薇の奇跡』。
ああ美しい。
前置きが長くなってしまったが、