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本能寺の変1582 第13話 4光秀の苦悩 4粛清の怖れ 天正十年六月二日、明智光秀が織田信長を討った。その時、秀吉は備中高松で毛利と対峙、徳川家康は堺から京都へ向かっていた。甲斐の武田は消滅した。日本は戦国時代、世界は大航海時代。時は今。歴史の謎。その原因・動機を究明する。『光秀記』

第13話 4光秀の苦悩 4粛清の怖れ  

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信盛は、光秀と真逆の人物だった。

 最早、打つ手無し。
 信長は、止まらない。
 脳裏にあるのは、明智光秀。

武将としても。

 信盛は、強欲で、武士道精神が欠如している。

  一、大まはしに、つもり侯へば(大略を言えば)、
    第一、欲ふかく、気むさく、よき人をも拘(かか)へず、
    其の上、油断の様に取沙汰(職務怠慢との噂)侯へば、

    畢竟(ひっきょう)する所は(結論として)、
    父子とも、武篇道たらはず候によつて、かくの如き事。

所領の扱いについても。

 信盛は、与えた所領を無駄にしている。
 兵を養わず、銭金に替えている。

 信長の立腹、収まらず。
 同じことを、繰り返している。
 余程、頭に来ていたのだろう。
 
  一、与力を専(もっぱら)とし、
    余人(味方になりたい人)の取次にも構へ侯時は、
    是れを以て、軍役を勤め、

    自分の侍(さむらい)相拘(かか)へず、
    領中を徒(あだ)になし(所領を無駄にして)、
    比興(卑怯)を構へ侯事。

与力・家臣の扱いについても。

 信長は、信盛をこのように見ていた。
 
  一、右衛門与カ・被官等に至るまで、斟酌(しんしゃく=遠慮)侯の事、
    たゞ別条にてこれなし(特に変わった理由があるわけではない)。

    其の身、分別に自慢し、うつくしげなるふりをして、
    錦の中にしまはり(針)をたてたる上を、さくる様なる
    こは(怖)き扱ひに付いて、かくの如きの事。

信長は、光秀を見習えと言っている。

 光秀は、「日向守が働き、天下の面目をほどこし侯」、であり。

これが、信盛の生き方だった。

 信盛は、「この三十年間、手柄らしい手柄を上げていない」、である。
 
  一、信長代になり、三十年奉公を遂ぐるの内に、
    佐久間右衛門、比類なき働きと申し鳴らし侯儀、
   一度もこれあるまじき事。

信長は、それを見ていた。

 光秀を、見よ。
 秀吉を、〃〃。
 勝家を、〃〃。

 四人は、ともに、織田家最高位の重臣。
 当然、比較の対象となる。

信盛は、油断した。

 信長の性格を、よくわかっていない。

三方ヶ原の合戦。

 八年前。
 元亀三年1572、十二月。
 敵は、戦国最強を誇る甲斐の虎。
 あの、武田信玄である。
 徳川家康、最大の危機。
 信長の四囲は、皆、敵。
 信長は、家康を支援するため、信盛を将とする軍勢を浜松へ派した。

  一、一世の内、勝利を失はざるの処、
    先年、遠江へ人数を遣(つかは)し侯刻(きざみ)、    

信盛は、逃げた。

 しかし、信盛は、戦わず。
 戦場から、離脱した。
 戦死した者は、一人もいない。
 これでは、一体、何故の派兵だったのか。
 ・・・・・。 

    互に勝負ありつる習、紛れなく候、
    (勝敗があるのは世の習い、敗れたのは紛れもない事実である)。
 
    然りといふとも、
    家康使をもこれある条、をくれの上にも、
    (家康の強い要望があったのだから、後れを取ったとしても)、

    兄弟を討死させ、又は、然るべき内の者打死させ候へば、
    その身(信盛)、時の仕合(状況)に依て、遁(逃)れ侯かと、
    人も不審を立つべきに(推量するだろうに)、

    一人も殺さず。

信長は、信盛に疑念を抱いた。

 繰り返す。
 信長は、猜疑心が強い。
 その上、執念深いのである。

信長は、面目を潰された。

 そして、誰よりも、誇り高い男なのである。
    
    剰(あまつさ)へ、平手(汎秀)を捨て殺し、
    世にありげなる(平然とした)面をむけ侯儀、
    爰(ここ)を以て、条々、無分別の通り、紛れあるべからずの事。
                           (『信長公記』)



 ⇒ 次へつづく  第14話 4光秀の苦悩 4粛清の怖れ


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