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本能寺の変1582 第12話 4光秀の苦悩 4粛清の怖れ 天正十年六月二日、明智光秀が織田信長を討った。その時、秀吉は備中高松で毛利と対峙、徳川家康は堺から京都へ向かっていた。甲斐の武田は消滅した。日本は戦国時代、世界は大航海時代。時は今。歴史の謎。その原因・動機を究明する。『光秀記』

第12話 4光秀の苦悩 4粛清の怖れ 

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重要 ◎目次

◎佐久間信盛は、別格の存在だった。

 信長は、信盛に特別な待遇を与えていた。

  一、信長家中にては、進退各別に侯か。

◎信盛は、七ヶ国の大軍勢を率いていた。

 織田家中、最大の軍団である。
 光秀・秀吉・勝家など、足下にも及ばない規模であった。
 信盛は、その、総指揮官だった。

    三川にも与力、尾張にも与力、近江にも与力、大和にも与力、
    河内に与力、和泉にも与力、
    根来寺衆申し付け候へば、紀州にも与力。
    少分の者ども候へども、七ケ国の与力。

    其の上、自分の人数相加へ、働くにおいては、
    何たる一戦を遂げ候とも、
    さのみ越度(おちど)を取るべからざるの事。

◎信長の忍耐も、限界に達していた。

 信長は、信盛に水野信元の遺領を与えていた。
 そのことについて、両人の認識に、大きなズレが生じていた。
 信長は、「武」を期待した。
 だが、信盛はそれに応えず。
 「銭儲け」へ、と走った。
 信長が、何故に、そうしたのか。
 信盛には、わかっていない。

  一、小河(緒川)・かり屋(刈谷)、跡職(あとしき)申し付け侯ところ、
    先々より人数これあるべしと思ひ侯ところ、其の廉(かど)もなく、

    剰(あまつさ)へ、先方の者どもをば、多分に追ひ出だし、
    然りといへども、其の跡目を求め置き候へば、
    各(おのおの)、同前の事侯に、
    一人も拘(かか)へず侯時は、
    蔵納とりこみ、金銀になし侯事、言語道断の題目の事。


 山崎の支配を任せた時も、同様だった。

  一、山崎申し付け候に、信長、詞(ことば)をもかけ侯者ども、
    程なく追ひ失はせ侯儀、
    是れも最前の如く、小河かりやの取り扱ひ紛れなき事。

◎信盛は、「武」より「財」を優先した。

 家臣たちの扱いについて、述べている。
 信盛は、蓄財に走った。  

  一、先々(先代)より、自分に拘(かか)へ置き侯者どもに、
    加増も仕り、似相(にあい=相応しい)に与力をも相付け、
    新季に、侍をも拘ふる(召し抱える)においては、
    是れ程、越度はあるまじく侯に、

    しは(吝)きたくはへ(貯え)ばかりを、本(もと)とするによつて、

◎信長は、信盛が他の家臣たちへ悪影響を及ぼすと考えた。

 「不幸」としか、言いようがない。
 信盛には、荷が重すぎた。
 主の意を、汲み取れず。
 逆行するのみ。
 結果、そこには、過酷な結末が待ち受けていた。
    
    今度、一天下の面目失ひ侯儀、
    唐土・高麗・南蛮までも、其の隠れあるまじきの事。
                           (『信長公記』)

◎信長は、誇り高い男であった。

 忘れもしない、あの日、あの時。
 信長は、鮮明に記憶していた。
 天正元年1573。
 八月十三日、夜中。
 「朝倉破軍の刻」
 朝倉勢を、急襲・追撃して、大勝利した時の戦い。
 信長は、信盛に面目を潰された。
 という、一件があった。
 信長は、堪えた。

◎そして、執念深い。

 そのことを、引き合いに出した。
 信盛の一言が、その場の雰囲気をぶち壊した。 

  一、先年、朝倉破軍の刻(きざみ)、
    見合せ、曲事(くせごと)と申すところ、
    (信長が、信盛らの見通しの誤りを叱責したところ)

    迷惑と存ぜず、結句(けっく)、身ふいちやう(吹聴)を申し、
    剰(あまつさ)へ、座敷を立ち破りし事、
    時にあたつて、信長、面目を失ふ。

    その口程もなく、永々、此の面にこれあり、
    比興(ひきょう=卑怯)の働き、前代未聞の事。

◎信長は、信盛の息子、信栄の行状に呆れ果てた。

 父が父なら、・・・・・。
 子も子である。
  
  一、甚九郎、覚悟の条々、書き並べ侯へば、
    筆にも墨にも述べがたき事。
                         (『信長公記』)

 中でも、信栄の茶狂いは有名だった。
 津田宗及の「天王寺屋会記」にも、頻繁に登場している。

 これについては、後述する。



 ⇒ 次へつづく  第13話 4光秀の苦悩 4粛清の怖れ


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