浅田家の末裔

浅田家の末裔

彼女と結婚して15年の月日が経つ。結婚10年目までは良好な関係だった。いつからか会話が弾まなくなり、喧嘩も増えてしまった。マンネリ化してしまっているんだろう。仕事をして、家に帰って会話のない食卓を2人で囲む。その繰り返しの中で、少しずつ歯車は狂っていった。 どうすれば2人の関係は修復するのだろうか。いろいろと模索してきたけれど、いまのところどの手段も役に立っちゃいない。今日もうまくいかなった。後悔と不安を抱えながら今日もまた眠りにつく。 朝目が覚めると、どうやらいつもと雰

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8/8(日)21:00よりTwitterスペースにて『小説家の話を聞いてみよう#8 【ゲスト:岡崎琢磨】』を開催します

8/8(日)21:00よりTwitterスペースにて『小説家の話を聞いてみよう#8 【ゲスト:岡崎琢磨】』を開催します

【PR】  昨日の#7 尼野ゆたか(敬称略)回をお聴きくださいました皆さま、まことにありがとうございました。おかげさまで大盛況でしたし、ご質問も多数頂き、わたしとしても勉強になりました(主催者がそれでいいのかというツッコミは甘んじて受け入れる)。  さて、早くも次回の告知です。  次回のゲストはミステリ作家の岡崎琢磨さんです。  2011年、『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』が第10回『このミステリーがすごい!』大賞の最終選考に残り、隠

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『雲州下屋敷の幽霊』(文春文庫)と哀調好み

『雲州下屋敷の幽霊』(文春文庫)と哀調好み

【PR】  ここのところ、ある編集者さんにこんなことを言われました。 「谷津さん、ここのところ、哀しみを小説の核に据えるようになりましたね」  ああっ。そうなんです。  デビューからこの方、わたしは「怒り」を核に据えていました。喜怒哀楽の感情の中で「怒」が一番強く、遠くまで響く感情なのだと察していたのかもしれません。その結果生まれたのが初期の代表作『蔦屋』(学研)であったりします。  なのですが、実はこれ、わたしが後天的に身につけたものでした。  『蔦屋』の成功を受け、

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【現代語訳】幸田露伴「運命」35 「済南城の戦い」

【現代語訳】幸田露伴「運命」35 「済南城の戦い」

ブログより転載。https://priceless01.hatenablog.com 【訳】 山東参政の鉄鉉は儒者から身を起こし、かつて疑獄事件を裁判して太祖の信任を得て、鼎石という字をうけたまわった者であった。 北征軍が出ると兵糧を~景隆の軍のもとに赴こうとしている最中、景隆軍が潰滅し諸州の城がみな情勢をみて燕に降伏してしまい、臨邑に止まっていると参軍の高巍が南方へ帰るのと出くわした。 ふたりとも文官であるが、今は戦時であり、目の前で官軍が大敗し、賊軍が勢いが盛んな

【歴史・時代小説】『本能寺燃ゆ』第二章「性愛の山」 34

【歴史・時代小説】『本能寺燃ゆ』第二章「性愛の山」 34

 しばらく、おみよと権太は抱き合ったまま動かなかった。  権太が動こうとすると、おみよがちょっと待てと止めた。  大きく息をしている。  それを何度か繰り返し、やがて落ち着いたのか、ふいに、 「動いてええで」  と、促した。  どうやって動くのか分からない。 「ほな、うちが動くわ」  おみよのほうが腰を動かす。  権太のものが、ぎゅっ、ぎゅっと締め上げられる。 「気持ええか?」  今度は素直に頷く。 「そうか、男は気持ちええんやな。うちは、少し痛いかな……、んん……」  鼻で

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『雲州下屋敷の幽霊』(文春文庫)、表題作のお殿様の意外な一面

『雲州下屋敷の幽霊』(文春文庫)、表題作のお殿様の意外な一面

【PR】  実はこれ、最近知ったことなんですけど……。  いや、よくあるんですよ。本を書く際にはとにかく資料を探しまくって読みまくり、その上で人物造形を固めたりするのが常なのですが、一人の人間が蒐集するには、世にはテキストが溢れすぎています。というわけで、なんとなしに趣味的に手に取った一冊に、かつて自分がモデルにした歴史上の人物が登場し、顔が真っ青になるなんてことも……。  拙作『雲州下屋敷の幽霊』における表題作に登場する、松平宗衍でその体験をしてしまったのです。  松

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書籍#02.『ベルリンは晴れているか』深緑野分(著)〜読み応え抜群の歴史ミステリー〜

書籍#02.『ベルリンは晴れているか』深緑野分(著)〜読み応え抜群の歴史ミステリー〜

空港でチェックインを済ませた後の恒例行事が、本屋さんに行くことです。まずは軽く全体を歩き回り、そこから気になったコーナーでほしい本を探します。 その日は「最近は小説を読むことが少ないなぁ」と感じていたこともあり、小説コーナーを中心にうろちょろしてました。 そこで見つけたのが『ベルリンは晴れているか』。 『ベルリンは晴れているか』深緑野分 深緑野分さんの作品を読むのは初めてでしたが、この言葉に惹かれて購入しました。 「一気読みの傑作だ。」 とにかく面白い第二次世界大

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拙作『奇説無惨絵条々』(文藝春秋 文春文庫『雲州下屋敷の幽霊』)、実は去年の野村胡堂文学賞の最終候補でした

拙作『奇説無惨絵条々』(文藝春秋 文春文庫『雲州下屋敷の幽霊』)、実は去年の野村胡堂文学賞の最終候補でした

【PR】  秘密を守り通すのはあまり得意ではありません。口が軽いんですよね基本。とはいえ、世の中、秘密にしておかねばならぬことはたくさんありまして……。今日はそんなお話です。  実は去年、拙作『奇説無惨絵条々』(文藝春秋)、現在は文春文庫から刊行の『雲州下屋敷の幽霊』が、野村胡堂文学賞の最終候補となっていたのでした。  『銭形平次捕物控』で知られる野村胡堂を顕彰する歴史時代小説専門の文学賞です。本賞、最終候補ノミネートについては本人には事前に知らされるものの、その事実が

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【歴史・時代小説】『本能寺燃ゆ』第二章「性愛の山」 33

【歴史・時代小説】『本能寺燃ゆ』第二章「性愛の山」 33

「ええんよ、無理せんで、男の子やからな」  そう言いながら、おみよはゆっくりと体を動かす。  それは権太も同じで、彼女の腰が動くと、自分の腰も自然と動いて、あそこが擦れて気持ちが良い。  そのうち着物が乱れ、おみよの太ももだろうか、あれが女の肉にぺたりと吸い付いて、それで擦りあげると、一段と気持ちが良かった。 「気持ちええか?」  権太は答えなかった。  だが、腰は動き続ける。  女は、耳元で囁く。 「もっと気持ちええことしたろうか? どうせお客さんにせなあかんし、初めてはあ

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犬養毅

犬養毅

わしは犬養毅 かつて、浜口雄幸さんが「金解禁(=金本位制への復帰)」を実行した。 しかし、世界恐慌のあおりを受けて、昭和恐慌へとつながってしまったのは、ごらんのとおり。 あの金解禁は失敗だった、タイミングが悪すぎた。 おかげで輸出も伸び悩むし、「金」もずいぶんと国外へ流失してしまった。 それでわしの外相高橋君(高橋是清)は、組閣してすぐに言った 「金解禁をやめましょう(=金輸出再禁止)」 金本位制をやめて、管理通貨制度に戻したんだ。 まあ、高橋君の政策のおかげで、輸出が伸びる

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