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場所についての記録

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記録であり、記憶。 街について、或いは街よりもっとミクロな場所について。
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麗らかなる東京

麗らかなる東京

どうやら世間は春のようだ。

と書いて早々、激しめの三寒四温が続いたりしたのだが、4月を前にして春を通り越して初夏のような陽気がやってきてしまったので、麗らかだった日のことを記しておこう。

少し前、毎日外があたたかそうだったので、
「いいなぁ公園とかでぼーっとしたいなぁ」
なんて思っていた。しかしながらとんでもない量の花粉が飛んでいそうなので、外に出たい欲より花粉に塗れたくない欲が勝ってしまい、

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お守り

お守り

目覚ましをかけることも忘れ、気づいたら始業の30分前だった。あぁ、今日が在宅勤務でまだ良かった、と思った。

一丁前に寝坊しておきながら、目覚めと共に興奮と余韻が再び襲ってきて、前日の夜のこと以外何も情報を入れたくない、上書きしたくないと身体が言っていた。記憶と痺れと目頭の熱さが遠ざかっていくのが嫌だった。

2024年2月19日、朝は仕事にもイマイチ身が入らなかった。やるべきことがたんまりあるの

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過ぎゆく時間の中で

過ぎゆく時間の中で

今年、吉高由里子さんが大河ドラマの主演をするということで、実家のTVから流れてくる宣伝番組に耳を傾けていると、吉高さんが朝ドラ主演を務めたのが10年前だという。2014年である。2014年が10年前なんて信じられるか?私は5年前くらいの感覚だ。おいてけぼりを喰らっている気持ちだ。

2024年になったらしいけれど、この年末年始は色々なことがあり、気持ちがあっちに行ったりこっちに行ったり大忙しだ。フ

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神戸・六甲の街にサヨナラを

神戸・六甲の街にサヨナラを

この10年の間に、あらゆる土地に住んできた。実家で生活していた10年前には全く想像していなかったことだ。
しかしあちこち転々としているという経歴ゆえに、他者からはどうも ”フットワークの軽い人” に見られがちだ。そう見られれば見られるほど、自分自信とのギャップを感じる。普段の私はというと、フットワークは激重だし、出不精だし、お陰で体重は増えるし(どうでも良い)。環境の変化とかも本当はあまり得意では

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就職活動という名の小旅行

就職活動という名の小旅行

以前の記事でも触れていた通り、私は数か月前に仕事を辞めており、しばらくニート生活をしていた。それが漸く終焉を迎えようとしている。気が付いたら半年以上まともに働いていなかった。お金や体調の問題で、これからどう生きていったらいいのか困った時もあったし、転職エージェントや職安とのやり取りに疲弊し、膨大な量の求人に吞み込まれそうになることもあった。正直途中で就活を休んだり、思考停止してドラマを観まくったり

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そういえば、都まんじゅう屋になりたかったんだった。

そういえば、都まんじゅう屋になりたかったんだった。

先日、大阪での用事を済ませて街中を歩いていると、途中で鯛焼き屋さんを見つけた。鯛焼き屋というのは、どうもいつも購買意欲をそそってくる。普段行かない土地ならば尚更だ。この前京都に行った時も鯛焼き屋に目が奪われたけど、今あなたはお腹がいっぱいでしょ、と自分を戒めて思い留まった。でも今回は、良い匂いと店の雰囲気が私の財布を開かせた。

レジ待ちの列に並びながら鯛焼きの製造の様子を見ることができた。製造は

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震災のことを書いてみようと思う

震災のことを書いてみようと思う

12年前の3月11日、当時高校1年生だった私は福島県で震災を経験した。でも今まであまり被災者という意識がなく、正直大分前から自分の中で震災は風化してしまっていた。震災以外のことの方が自分の人生の中で戦いで。それでもあの時期にあの場所で生きていたからこそ、いつか振り返らなければな‥‥とずっと思っていた。意識していなくてもアイデンティティを形成している出来事だと思うから。
12年間の内で、今が最も時間

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最適な職場環境を選択することと、自分自身を知ること ―過去の職場環境と当時の心境を振り返る―

最適な職場環境を選択することと、自分自身を知ること ―過去の職場環境と当時の心境を振り返る―

只今失業中の為、次の働き方や働く場所について考える時間が増え、比例して過去に働いてきた環境について振り返る時間も増えてきた。前々職・前職での環境について、感じてきたこと、思い出したことを書き留めておきたいと思う。

ストレート過ぎる表現がアイタタタタタ‥‥かもしれないけれど、今このタイミングだからこそ書けることを書く、という選択を取ってみる。

前々職|お茶出し!お菓子配り!!お掃除お母さん!!!

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どこにでも住めるなら、縁もゆかりも無い静岡市に住みたくなってきたから、一泊二日で行ってきた。

どこにでも住めるなら、縁もゆかりも無い静岡市に住みたくなってきたから、一泊二日で行ってきた。

私は今絶賛失業中だ。
体調を崩してしまい休職していたけど、退職した。

次の仕事のことや、どう生きたいかはもう少しゆっくり考えよう‥‥と思っていたのだけど、だんだんと体調が回復していくとやっぱり色んな意味で焦り始める。
激務に胡座をかいて浪費し、管理もままならずだったので、お金がまるでなくなっていく。辛うじてある微々たる貯金を切り崩す。しかも主な支払いをクレジットカードにしてしまっているので、翌月

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記憶の地図旅と、現実の京都旅

記憶の地図旅と、現実の京都旅

Googleマップにマーキングするのが癖だ。

行きたいところ、行ったことのある場所、思い出のお店。ハートやら星やらつけていく。お陰で地図を広域にするとピンクやら黄色の点々だらけで、集合体恐怖症の方はとても見ていられない地図になっているのではないかと思う。

最近京都に住んでいた頃のことを思い出すことがあり、Googleマップ上をお散歩していた。京都は大学時代に4年間住んでいた。当時の自宅近くの店

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苦しさを癒す、純粋で好きに溢れた表現 -角野隼斗さんのピアノに寄せて-

苦しさを癒す、純粋で好きに溢れた表現 -角野隼斗さんのピアノに寄せて-



苦しい日常

10月下旬にさしかかった日、お布団の上、お昼12時。

仕事は休みだけど終わってない仕事があり過ぎて、「休みだけど仕事やらなきゃー」と頭では思ってて、だけど心はパンクしてて、朝8時くらいに目がバチッと開いたというのに脳が起きてくれなくて、私はまだ布団の上に寝そべっていた。

仕事をしなきゃいけないというのに、ただケータイを弄ることしかできないでいる。
LINEを返すのは後回しに、

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20時半から30分間の公園記

20時半から30分間の公園記

その日は先輩に「今日は19時までには帰りますよ!」と急かされ、結果20時にはなったのだけどいつもより早く仕事を切り上げてきた。

家が職場から徒歩圏内なので、退勤後、急ぎもせずにただ身体の力を抜いて下り坂をダラダラ歩いて帰るのが好きだ。しかも翌日が休みとなれば尚更だ。早く寝る必要もない。のんびりは非常に性に合う。

しかし職場の人たちの殆どが職場の前からバスに乗るので、なんだか自分ひとり歩いて帰り

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五感の記憶 隅田川

五感の記憶 隅田川

東京という街は、なんとも不思議な街だ。
久しぶりに来ても感慨深さを感じさせない。

何故だ。

半年前に訪れた時もそうだったが、まだ今でも住んでいるかのように、当たり前の日常かのように、数ヶ月前まで毎日通っていた場所をただ歩いている。

母と祖父の誕生日祝いを兼ね、新国立劇場バレエ団の公演観たさに半年ぶりに東京を訪れた。



以前、蔵前の職場で働いていた。隅田川の側だった。

川の流れを見、音

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とある夏の初め(4月)の日のこと。東京。神戸。

とある夏の初め(4月)の日のこと。東京。神戸。

その日は暑かった。
最近食べ過ぎててやばいなーと思って、苦し紛れに職場まで30分弱歩いている。
職場は六甲山の麓にあるから、ほぼ登山。いや、そんなこと言ったら、登山をちゃんとする方々に怒られてしまうか。
家から職場までほぼずっと坂なので、私にとっては軽く登山なのだ。

とは言え暑いのは出勤時だけで、それ以外、室内ではひんやりするだろうと思っていた。
ところが日中、ちょっとスーツで動き回ろうもんなら

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