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そういえば、都まんじゅう屋になりたかったんだった。


先日、大阪での用事を済ませて街中を歩いていると、途中で鯛焼き屋さんを見つけた。鯛焼き屋というのは、どうもいつも購買意欲をそそってくる。普段行かない土地ならば尚更だ。この前京都に行った時も鯛焼き屋に目が奪われたけど、今あなたはお腹がいっぱいでしょ、と自分を戒めて思い留まった。でも今回は、良い匂いと店の雰囲気が私の財布を開かせた。

レジ待ちの列に並びながら鯛焼きの製造の様子を見ることができた。製造は2名体制のようで、その2名を見ていると何とも楽しくて仕方がなくなった。液を機械にちゃっちゃか入れてどんどこ焼いていく。手が止まることなく動き続ける。これは職人だ‥‥!目が釘付けになった。

すごい。何でこんなに素早く手が動くのだろうか。嗚呼、ずっと見ていられる。何故こんなに魅かれるのだろうか。

コンビニで働いていた時に”マシーンになってしまった自分”を以前揶揄したけど、意外とメカ的な人間の動き、見ることもやることも嫌いじゃないのかもな、とふと思った。

思い起こしてみれば、私はバイト探しの度に「ああ、鯛焼き屋さんのバイトあったらやりたいなぁ‥‥」と思っていた時期があった。

と、ここで記憶が更に遡った。

私は幼い時、「将来都まんじゅう屋になりたい」と言っていたことがあったのだ。すっかり忘れていた。

説明しよう。
ここで言う「都まんじゅう屋」とは、神奈川県平塚市の平塚駅前にある。1955年創業のつるや製菓さんが製造・販売を行っている。

幼稚園か小学生の頃、母に平塚の七夕祭りに連れて行ってもらい、その際に都まんじゅう屋の前を通りかかった。その時初めてお菓子の製造工程を見た。私は都まんじゅう屋のガラス窓に張り付いた。一定のリズムでクルクル回る機械。次々押されていく焼き印。すっかり都まんじゅうの製造に目が釘付けになってしまった。そう、今回の鯛焼きのように。

味は正直なところ憶えていない。その時買ってもらえたのかも定かでない。都まんじゅうの味が美味しかったからではなく、都まんじゅうの製造工程と機械に釘付け=「都まんじゅう屋になりたい」発言をしてた。アタシにもそんな無邪気な頃があったのね‥‥(涙目)

メカ的な動きが好きというか、ある一定のリズムを繰り返すものや、ピタゴラスイッチみたいなものを見るのが本能的に好きなのかもしれない。それは川の流れや波の満ち引きを見ることと同じ原理なのかも。

これが機械ではなく、人間による動きであっても面白いと感じる。現代では、人間が機械のように動くことは否定されがちだ。人間ではなくても機械が取って代わることが可能な動きだから、頭で考えることや心を動かすという人間にしか出せない価値を出せていないことになる。事実、私自身も自分が機械のように動いてしまうことに疑念があった。だけどその機械的な動きも、発揮する環境と使い方さえ間違わなければ、良き能力として育てることができるのかもしれない。都まんじゅう屋さんや、鯛焼き屋の製造職の方のように。

そんなことを考えながら、外はカリカリ、中はアツアツのクリームが入った鯛焼きを食べながら大阪の街を歩いた。美味しかった。ペロリ。

およげ!たいやきくん
(ではない)




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