絆

2020年1月3日 10:32

今からちょうど20年前、とある家庭に待望の男の子が誕生した。しかし、その男の子の誕生はとても過酷なものだった。

この物語りは、母と息子の絆のお話しである。

* * *

『パーン！パーン！』

お誕生日おめでとう！

早いわね〜、今日で20歳だなんて！20年間いろいろなことがあったけど、元気に育ってくれてありがとうね。

ううん。こちらこそありがとう。

でもさ〜、お母さん、感激だわ！あんなに小さかった子がもう20歳だなんて！信じられない！

そうか〜、俺ももう20歳か、これからは今まで迷惑かけた分ちゃんと親孝行しなきゃだな！

本当よ〜！

2人の会話に笑いが起こる。

そう言えばさぁ母さん？俺って子どもの時どんな子だったの？

そうね〜、うちは母子家庭だったでしょ？だから、いつもいつもお母さんのことは俺が守る！って言ってくれてすごい頼もしかったわよ！　

そうだったっけ？全然覚えてないな！

少年は少し恥ずかしそうに眉を掻いた。

で、前に俺が生まれた時、けっこう大変だったって言ってたけど、どういう状況だったの？ついでに教えてよ！

そうね。いつかはちゃんと話そうと思っていたから、話すはね、、、。

あの日はすごく寒かった。

もうすぐ生まれそうなあなたを乱暴だったお父さんから守りながら、病院に向かったわ。

その後、なんとか病院に着いて、緊急で出産準備を始めたの。

陣痛は来てたんだけどなかなかすんなり生まれなくて、、、お医者さんに陣痛促進剤を進められたの。そしたら、ものすごい吐き気とめまいに襲われて、、、。

その後もなかなか生まれてこなかったから、お母さん、帝王切開を決断したの。このままだと、あなたが危険だって感じたから。

その後、無事あなたをお腹から取り出すことはできたんだけね、泣きもせず、へその緒が首に何重にも絡まってて、本当に死ぬ直前だったのよ。

だから、生きてくれてて本当にありがとうなの。

そっか、そんなことがあったのか。もしかしたら俺は今生きてなかったのかもしれない。本当に今生きていることが奇跡なんだ。

俺は、20年間生きてきた中ではじめて、深く命の大切さを知った。

今度は、俺が母さんを守る番だ。

母さん！20年間育ててくれてありがとう！そして、生んでくれて本当にありがとう！

今度は俺が全力で母さんを守るからね！

ありがとう。その気持ちだけでも十分嬉しいわよ。

これからもあなたは、生まれてきた時のように強く、そして優しくたくさんの人に愛を与えていってね！

優喜(ゆうき)！本当に今日は、お誕生日おめでとう！

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