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#美術館

【美術展2024#33】フランシス真悟 色と空間を冒険する@茅ヶ崎市美術館

【美術展2024#33】フランシス真悟 色と空間を冒険する@茅ヶ崎市美術館

会期:2024年3月30日(土)〜6月9日(日)

ここは市立の小規模美術館ながらたまに面白い企画を行う。
静かな公園の中にあり湘南の隠れ家的なのんびりした雰囲気がなかなか良い。

だが、今回は何やらものものしい雰囲気。
駐車場には高級セダンが並び警官が立って封鎖している。

館内に入ると作家本人がいた。
何やら偉いっぽい人たちに自らの作品を解説している。

結構な人数のSPや取り巻きがいた。

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【美術館の名作椅子#03】国立新美術館

【美術館の名作椅子#03】国立新美術館

国立新美術館設計:黒川 紀章
開館:2007年

・CH25 Lounge Chair

デザイナー:ハンス J. ウェグナー
発表:1950年
メーカー:Carl Hansen&Søn
価格:¥504,900(2024年5月現在)

ハンス J. ウェグナーの名作CH25。
それまでになかった大胆で彫刻的なフォルム。
背から脚部につながるフレームの処理が秀逸すぎる。
戦時中の物資不足の中であまり

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【虎と泥】走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代 菊池寬実記念 智美術館

【虎と泥】走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代 菊池寬実記念 智美術館

京都国立近代美術館で開催されていた展覧会。巡り巡って都内にやってきた。前期は見れずだったが、後期展示へ。
※違う、私、前期を見たのでした。何かを勘違いしていた。頑張れば後期も見れる

今はあまり行く機会のない虎ノ門周辺。出産前までこの辺で勤めていたけれどなんとかヒルズが沢山できてるー!という印象。
虎ノ門…と言えば虎ノ門パストラルというかつてあった宴会場?の様な場所で日雇いのホールスタッフをしたこ

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【沼のほとりで宴】シンフォニー・オブ・アート — イメージと素材の饗宴 群馬県立館林美術館

【沼のほとりで宴】シンフォニー・オブ・アート — イメージと素材の饗宴 群馬県立館林美術館

群馬県は館林。群馬県は県立美術館を2つ擁する珍しい自治体である。
高崎の群馬県立近代美術館とここ群馬県立館林美術館。
訪問した日の午前中はすぐとなりの栃木県、足利市立美術館へ行っていた。

足利市駅からは電車で20分ほどで栃木から群馬へ移動である。
多々良沼のほとりに位置し、広々とした素晴らしい場所だった。
建物だけで満足しそうなぐらい素晴らしいロケーション。

ただ、東武伊勢崎線の多々良駅から歩

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東京国立博物館 「近代の美術」

東京国立博物館 「近代の美術」

東京国立博物館 本館1階にある18室「近代の美術」では、日本画の名作が展示されていて、毎回楽しみにしております。

少し前ですが5月に訪問した際にこちらの2作品が並んで展示されてました。

松本楓湖の《牛若》と小林古径の《芥子》。

 帰宅後に、そういえばこの二人の関連って…とググってみたら、松本楓湖の門下の今村紫紅らが発足した紅児会のメンバーが小林古径でした。そして、この時は今村紫紅の《熱国之巻

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【展覧会レポ】東京都美術館「デ・キリコ展」

【展覧会レポ】東京都美術館「デ・キリコ展」

【約4,400文字、写真約30枚】
東京都美術館で「デ・キリコ展」を鑑賞しました。その感想を書きます。

【この投稿で伝えたいこと】
❶世界中から集められたデ・キリコの作品110点をイッキに見ることで、作品や生涯の変遷が分かる、❸楽しい絵が多いことに加え、会場内が凝った造りになっているため、美術館に普段行かない人にもおすすめ、❹値段が2,200円と若干高め。9/14(土)から神戸市立博物館で巡回す

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【美術展2024#35】脅威の細密表現展@横須賀美術館

【美術展2024#35】脅威の細密表現展@横須賀美術館

会期:2024年4月20日 (土) 〜 6月23日 (日)

・初代 宮川 香山

初代宮川香山作品がキービジュアルを飾る。
初代宮川香山といえばやはりこれが思い浮かぶ。↓

これは以前のトーハクでの展示だが、本当にそこに生きているかのような徹底的な細密表現の技術力にため息が出る。
蟹がほぼ実物大ということもあってリアリティが凄いのだが、蟹を取っ払った器を単体で見ても釉薬の色やかかり具合、歪んだ形

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【美術展2024#36】鈴木敏夫とジブリ展@横須賀美術館

【美術展2024#36】鈴木敏夫とジブリ展@横須賀美術館

会期:2024年3月20日(水)〜6月18日(水)

横須賀まで車で足を伸ばして「驚異の細密表現展」を見に行ったのだが、美術館が近づくと人が増えてきて何やら賑わっている。
普段美術館で出会わないような雰囲気の方々がなぜこんな辺鄙な場所にある美術館に?と思ったら、ジブリ系の企画も同時開催されていた。

ほほう知らなかった。

すみません、私こちらの地味な方の展覧会なんです、ええ申し訳ないという感じで

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【知らぬ間に結ぶ】カルティエと日本 半世紀のあゆみ「結 MUSUBI」展 ― 美と芸術をめぐる対話 東京国立博物館 表慶館

【知らぬ間に結ぶ】カルティエと日本 半世紀のあゆみ「結 MUSUBI」展 ― 美と芸術をめぐる対話 東京国立博物館 表慶館

概要はこちら。

公式サイトの情報量、すごく少ない。
東博の「管轄外よー」なのか。

ときどき現代美術の文脈で耳にするカルティエ財団。
横尾さんだったり森村泰昌さんだったりの関わりから、作品を見てきた。
「見てきた」というかいつの間に見ていたという表現が正しい。
カルティエ現代美術財団を全面推しする展示が少なかったせいか、自分がスルーしていたのか、そういう金の匂いが強くないところがいいなと思っては

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【美術館の名作椅子#04】東京国立博物館本館

【美術館の名作椅子#04】東京国立博物館本館

東京国立博物館本館設計:渡辺 仁
開館:1938年

・Barcelona Day bed

デザイナー:ミース・ファン・デル・ローエ
発表:1930年 
メーカー:Knoll
価格:¥2,970,000(2024年5月現在)

名作バルセロナチェアのデイベッドバージョン。
構造もバルセロナチェア同様にシートの下にレザーバンドが張ってある。
レザーバンドなので使っているうちに伸びてくるのは避け

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【美術館の名作椅子#05】東京国立博物館法隆寺宝物館

【美術館の名作椅子#05】東京国立博物館法隆寺宝物館

東京国立博物館法隆寺宝物館設計:谷口 吉生
開館:1999年

・Cab 413 Chair

デザイナー:マリオ・ベリーニ
発表:1977年
メーカー:Cassina
価格:¥418,000(2024年5月現在)

アームなしの412とともにMoMAにも収蔵されている名作チェア。
この椅子は東京国立近代美術館にも大量に採用されている。
ここ法隆寺宝物館ではエントランスに数脚並ぶが、なんとこの椅子

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【展覧会レポ】練馬区立美術館「三島喜美代―未来への記憶」

【展覧会レポ】練馬区立美術館「三島喜美代―未来への記憶」

【約5,500文字、写真約60枚】
練馬区立美術館で開催されている「三島喜美代―未来への記憶」を鑑賞しました。その感想を書きます。

【この投稿であなたに伝えたい点】
❶大満足の展覧会、❷作品だけでなく、三島喜美代自身の魅力が十分に伝わる内容だった、❸作品や考え方の変遷が分かりやすく、キャッチーな作品が面白いことに加え、メッセージ性もはっきりと伝わった、❹大人も子供も、アートに興味がある人も薄い人

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『民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある』(世田谷美術館)

『民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある』(世田谷美術館)

【内容】
手仕事の品の「美」に注目した思想家・柳宗悦は、無名の職人たちによる民衆的工藝を「民藝」と呼び、再評価を行なった民藝運動をテーマとした展覧会。

【感想】
この間、棟方志功の生涯を描いた小説『板上に咲く』を読んで、棟方志功の活躍が柳宗悦らの民藝運動の後押しがあってのことと知り、きちんと民藝についで知りたいと思っていました。
近いうちに、柳宗悦が作った民藝をテーマとした美術館である日本民藝館

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「木村伊兵衛 写真に生きる」(東京都写真美術館):白黒スナップショットから街歩きスケッチを考える

「木村伊兵衛 写真に生きる」(東京都写真美術館):白黒スナップショットから街歩きスケッチを考える

(長文になります)

はじめに 私のNOTEの記事のテーマは、「線スケッチ」に関連するものです。ですから表題を読まれた方はなのになぜ写真展なのかと疑問に思われるかもしれません。そこで最初にその理由を説明します。

写真と私

 中学、高校時代、私は義理の伯父の家に寄宿していたのですが、伯父はなぜか毎月かなりの数の雑誌を定期購入していました。その中に、今は無き「LIFE」、「アサヒカメラ」があり、毎

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