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『民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある』(世田谷美術館)

【内容】
手仕事の品の「美」に注目した思想家・柳宗悦は、無名の職人たちによる民衆的工藝を「民藝」と呼び、再評価を行なった民藝運動をテーマとした展覧会。


【感想】
この間、棟方志功の生涯を描いた小説『板上に咲く』を読んで、棟方志功の活躍が柳宗悦らの民藝運動の後押しがあってのことと知り、きちんと民藝についで知りたいと思っていました。
近いうちに、柳宗悦が作った民藝をテーマとした美術館である日本民藝館に行っていて、民藝館のことをネット検索していたら、世田谷美術館で民藝についての展示を行っていると知り、行ってみることにしました。

学生時代、民藝についての本や展示など観て、良いとは思うものも多かったと感じましたが、そこまでグッと来ることはなかった覚えがあります。
目利きの出来る知識人のおじさんが、変わった芸術運動を道楽的にやっている的な見え方していたかなあと…
今になって見直してみると…
イギリスのアーツアンドクラフツの運動など、産業革命以降の機械による大量生産、大量消費…
あと、写真や印刷技術などの発展や一般化中産階級の勃興などによる新たな価値観が立ち上がって来たという世界的な潮流があったのだろうと思ったりしました。

民藝というものを個人的には、手仕事をメインとした製品で、肩肘張ったものではなく普段使いしても疲れない、力の抜けたものといったものと捉えています。
その後、日本民藝館の館長を継いだ柳宗悦の息子の柳宗理が工業製品のプロダクトデザイナーであったり…
現在の館長が、無印良品などをプロデュースするデザイナーの深澤直人だったりするのが、わりと民藝運動の影響力や、その影響の広がりや大きさを象徴しているのではないかと思ったりもしています。

展示品的には、以前に日本工藝館に行った時に見掛けたものなどもけっこうあったような…

展示の最後に、beams出身の人が民藝的な店を出していたりして、その店の民藝的な商品の展示をしていたりしました。


そういえば、今の日本工藝館の館長もしている深澤直人がプロデュースしている無印良品の表参道の旗艦店は、現在の民藝品を集めて陳列していたので、そちらも機会があったらまた行きたいなあと思ったりしました。


展示を観終わった後、少し後にこの店を運営している人の講演会があるということで聴講して来ました。
「現代の民藝をどう捉えるか?」というテーマで、濱田庄司のお孫さんの大学の先生よ濱田琢治氏と、セレクトショップ(?)のbeams出身のテリー・エリス氏、北村恵子氏が登壇されていました。 
濱田氏は、今回の展示の監修をしていたとのことで、登壇されたとのことでした。
beamsが家具などを取り扱うようになり、北欧家具を取り扱い、その流れて日本の民藝品を取り扱うようになったとのこと。民藝の食器を取り扱う時は、食器を白一色などシンプルにしたものをプロデュースして、店で販売していたとのことでした。
濱田庄司の工房である濱田窯は、後に濱田氏のお父さんが継ぎ、今は濱田氏のお兄さんが継いでいるとのこと。
2010年代に、beamsの店でも大々的に濱田窯の食器を大量に取り扱った経緯もあったとのことで、濱田氏と北村氏やエリス氏の関係性とその頃からあったとのことでした。
また、この展示のコンセプトや狙いなどが伝わって来たりもしました。
会場は立ち見が出るほどの大盛況で、観客の中には多分beamsとかのインサイダーの人とかも多かったのかなあといった印象でした。一番前の席に座っていたスカーフを巻いた白髪の男性は、一人で手を叩いて結構大きな声でリアクションしたりしていて、なんだかの偉い人感を漂わせていたり…

世田谷美術館には、2〜3年ぶりくらいに訪れたのですが、用賀駅から美術館までの道がなかなか良い感じでした。

https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00218

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