#読書感想文
この世界には確かなことなんて無いかもしれない。けれども、何かを信じることはできる。「騎士団長殺し」/村上春樹
『騎士団長殺し』面白く、不思議で、洞察深い物語でした。
『色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年』『街とその不確かな壁』に続き、村上春樹は3作目です。『騎士団長殺し』の前に読了した2冊で、村上春樹の『手腕』的なものと『文章技巧』的なものと『軸』みたいなものが、概ね把握できたのは、『騎士団長殺し』を読むうえで有益でした。
今回は読みながらその瞬間に思ったことをツイートし書き留める作業をしてみまし
現実はなぜひとつなのだろう 『ゆるく考える』/東浩紀
「意味」に居る私『黒い正方形』という、無対象を志向した絵画がある。
「約束事」とはつまり、絵画そのものが持つ《写実性》である。つまりは、絵画は何かを「再現」するプラットフォームであり続ける限り絵画的リアリズムは絵画に存在していない、と逆説的に示してしまうような事実のことを〈規定性〉のある「約束事」として保持している、ということだ。
いつでも私たちの視野は「中心となるもの」と、その「中心の周囲の
不自由な〈秩序〉について 「人類と哲学」/岡本裕一郎
《人類の進歩》を、《哲学という明るみによって照らすこと》で、別角度からの学びを与えてくれる著作となってます。1章から8章に分かれており、明瞭な文章で、理解し易く書かれています。
こんな人におススメ!
・ホモサピエンスに興味がある
・哲学に興味がある
・どちらにも興味がある
以下、本著で印象的だった部分を解説しています。是非、拾い読みして頂いて、気になったら購入してみて下さい。
「本書は哲学の
ストーリーとか人生は脈絡が無いからこそ面白いんじゃないの? 「竜とそばかすの姫」/細田守
「竜とそばかすの姫」の文庫版を読了しました。
基本的に映画のストーリーラインとほとんど同じで、登場人物の背景や設定、心象描写などが詳しく書かれている感じです。
「映画」⇒「文庫本」⇒「映画」の流れで見てみると、また違った印象を得ることが出来そうです。
ふわっとしたストーリーライン「ふわっ、としたストーリー」と映画でも、文庫版でもそのように思いました。設定やその整合性、緻密性に関しては、「粗」
五線譜で縛られたハーモニーに私自身を見た 「ハーモニー」/伊藤計劃
ユートピアの臨界点を描き出した、国産SF小説「ハーモニー」を読了しました。(少しだけネタバレあります。)
あらすじ:21世紀後半、〈大災禍(ザ・メイルストロム)〉と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。医療分子の発達で病気がほぼ駆逐され、見せかけの優しさや倫理が横溢する”ユートピア”。そんな社会に潜んだ3人の少女は餓死することを選択した。-それから13年。死ねな
壁にひそむ神様を見つける 「進撃の巨人」/諌山創
「進撃の巨人」に存在する《壁》こそ、壁内人類を物理的に守り、自己を開花させるような《神様》みたいなものなのだと思う。
そのように思う考え方、つまり《思想》とは何なのだろう、と考えてみる。
このような説明は、思想をすべからく説明し得ないものだ。ある個人Aが、ある特定の思想Bを持ち合わせていたとしても、その思想Bを持つ集団が、特定の性質を共有しているとはかぎらない。個人Aが思想Bに還元できても、思