「実用的な生き方をする人が嫌い」という信念を持つ自分を好きになることはない『ノルウェイの森』/村上春樹
私自身の問題ではあるのだけれど、普段からプラグマティックな考え方に完全に同意することができないでいる。実用的なことがあたかも正義であるかのように語る人を見聞きすると、その語り自体さえもプラグマティックに支配されているのではなかろうかと思うからだ。実用的なものへの称賛自体が、つまりは実用性に富んでいると思ってしまう。実用的に実用性を語るということ。全ては実際的で実用的であると実用主義者は語るのであるから、その語り自体も実用性に富んでいるのである。実用と実用の相互作用がここに存在