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#夏の読書感想文

人気の記事一覧

鴨川食堂いつもの

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己の感想でうまい酒を作ろう

ノートが一気に13ページ消えた。1日1ページずつ使う決まりの読書ノートが、である。 対談イベントに行ってきた。気になっていた書評家さんと、大好きな哲学者さんのタイマンイベントだ。「絶対おもろいやつやん!」とウキウキで向かい、ウキウキしすぎて2時間前に会場へ着いてしまったため、近くのコンビニでアイスコーヒーを啜りながら頭を冷やしたりしていた。 内容はというと、期待通りに面白かったし、期待以上に持ち帰るものが多かった。そんなイベントでした。 この会は、書評家さん、改め三宅香

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バターの読書/ナナメの夕暮れ

2024年1月にバターが出会った本たちと感想。 お時間があったら読んでいただけると嬉しいです。 ナナメの夕暮れ/若林正恭 いちごくんからのプレゼント。 もともと読んでみたいな、、と狙ってはいたのですが、お笑い好き×読書好きのいちごくん一押し本だったので、読む前から期待最高潮でした。 こちらの本は、オードリー若林正恭さんのエッセイ。生きづらさから、日々楽しむという考えへと結びついた軌跡が描かれていました。 読んでいくうちに、自分も同じ考え方だなとか、そんな風に世の中を見てい

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放浪記(一部〜三部)・林芙美子

読書感想文 『放浪記・林芙美子』 『私は宿命的に放浪者である。私は古里を持たない。』 という文章から「第一部・放浪記以前」が始まる。 そこを読んだだけでも変にワクワクする。そのワクワクは、嬉しい、楽しいというワクワクではなく、林芙美子という女性の生き様を垣間見れるワクワク感だ。 これは小説ではなく、芙美子が日々書き留めた日記だ。当然、主人公は芙美子自身であるから、正直に綴られたその日記には心を奪われてしまう。 571ページという長い文章である。 ただただひとりの女性に魅せら

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(読書記録)毒島刑事最後の事件(中山七里)

本書は私が中山七里さんの本に夢中なるきっかけとなった本です。 身体的な暴力は一切使わず、言葉だけで容疑者の精神をミシミシと蝕んでいく毒島刑事の話術といったらもう、ファンになるか大嫌いになるかのどちらかで、私は前者となりました。 現実世界だったら顔も見たくはないでしょうけれども。 本作では、4つの別々の人物による別々の殺人事件が発生するのですが、実はその裏で「教授」という方がその容疑者たちを操り人形の如く思うように動かしていたという教唆もののミステリーです。 驚きの結末

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学問のすゝめ 読書感想文(800字程度)

『学問のすゝめ』は、福澤諭吉の教育哲学や思想をまとめた著書であり、その内容に触れることで多くの気づきや考えるべき点がありました。 まず、本書が強調する学問の重要性に深く共感しました。福澤諭吉は学問を

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読書感想文におすすめ! 楽しく読めて心動かす本を、児童書の編集者4名が選びました!

夏休みがはじまりました! 夏休みといえば、海水浴に虫取り、絵日記に、読書感想文。 大人になったみなさんも、読書感想文の思い出はたくさんお持ちなのではないでしょうか。 そして読書感想文といえば、本選び。 課題図書もおすすめですが、他にも読んでみたいなあと思っている方に。または童心に帰って、子どもの本をこの夏、読んでみたいと思ったあなたに! 今回は、4名の児童書の編集者が、おすすめ本を紹介します。 編集者の視点から、子どもたちが共感でき、お話の世界を存分に楽しんで、いろんな感

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「黒影紳士」season2-4幕〜花鳥風月〜花の段〜 🎩第一章 訪れの音

――第一章 訪れの音――  到着の知らせを告げたのは少し何時もと違うバイクの音だった。  黒影、白雪、風柳は聞きなれない音に顔を合わせた。中型か、大型ぐらいの排気量に思える。  サダノブもバイクに乗って出入りしてくるので、あまり気にしなくなっていたが、音が増えた気がして黒影は思わず、 「こんな朝から風柳さんへの御礼参りにでも誰か来たんじゃないでしょうね」  と、風柳を疑った目で言った。 「そんな覚えは無いが……」  と、風柳は一応心配なのか、顔を確認しに外へ出る。 「おぃ、

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宇佐見りんさんの『推し、燃ゆ』が文庫化したので読みました。生きづらさを抱えて、推しだけが生活の背骨、というのはなんとなく分かるが、じゃあそれを失うとどうなるのか、不安じゃないのか?というのは最後まで読んでも分からなかった。文章が上手くて、そこが結構この小説の命だな、と思う。

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『△が降る街』(短編集『△が降る街』より、同名タイトルの一編)

『△が降る街』(短編集『△が降る街』より、同名タイトルの一編) 村崎 羯諦著 "△が、降る"という珍しい街に住む3人の男女が繰り広げる恋愛物語。 登場人物は、俊介、麻里奈、そして主人公「私」(美樹) キーワードを挙げておく、 「三角形」とは? プラトンは三角形を物質世界の基本的な構成要素とみなしました。彼の哲学では、四元素(火、空気、水、土)は異なるタイプの三角形から構成されるとされました。これは彼の「形態論」の一部で、理想的な形状が物理的な世界を形成するという考え方

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【読書感想文#3-1】人生を豊かにしたい人のための世界遺産を読んで~前編~

皆様いかがお過ごしでしょうか? 世界遺産検定の試験が終わってから、暫く経っておりました。 細く長く世界遺産についての見識を身に着け続けるために、 面白い本がないが探していたら、こんな本を見つけたので 皆様に紹介したいと思います。 NPO法人世界遺産アカデミー主任研究員宮澤光さんが書いた『人生を豊かにしたい人のための世界遺産』という本です。 前書きは昨今の新型コロナウィルス感染の社会情勢で目にしてきたことと似たようなことが昔もあったのだと、今世界遺産に登録されているスポット

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『最後の一句』

『最後の一句』 森鴎外著 一言で言うと、大阪の船乗り業を営む桂屋太郎兵衛が、従業員の不正に巻き込まれて、死刑を言い渡されるのだけど、自分の父は無実だと信じた長女が、奉行所に「願書」を提出して、父親は、死刑を免れるという話。 キーワード 「お上の事には間違いはございますまいから」 この一句が、「最後の一句」、奉行たちをビクつかせる一言だった。 お役所というところは、間違いのあってはいけないところ。桂屋太郎兵衛を死罪とする判定には、どんな根拠があるのか?長女らは、自分たちの

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2日前に読み終わった本の余韻が凄い。『ザリガニの鳴くところ』ため息が出るほどの自然描写の美しさ、物語の多面的な要素(ミステリー・一人の少女の成長譚・DV、ネグレクト・差別や迫害・環境問題の提示)にぐいぐいと引き込まれた。衝撃的なラストは生きること、正しさとは何か等、考えさせられた

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三浦しをんさんは好きな作家さんのうちの一人。どの作品も脳内に動画が再生されるかの如く情景が動き始める。この作品は、墨のにおいや息遣い、筆が紙の上を走る音まで聞こえてくる。男の友情に心が温まる爽やかな読後感。『舟を編む』を想起させる言葉の説明と紙についての説明も良き。

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『群青』(短編集『常設展示室』より)

『群青』(短編集『常設展示室』より) 原田マハ著 一言で言うと幼少期から、美術に惹かれて、ニューヨークのメトロポリタンミュージアムでの仕事を手にした美青が、緑内障になって、仕事を失ってしまうという話。字面を追えば、暗い話に見えるのだけど、深い切なさと芸術の喜びみたいなものが伝わってなかなか、良い。 ①タイトルの「群青」とは? その深い青色が非常に美しく見えるとされ、多くの文化や哲学で象徴的な色とされている。 1. **無限と深遠**: 群青はその深さから海や空と関連付け

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「黒影紳士」season2-4幕〜花鳥風月〜花の段〜 🎩第二章 違和感が軋む音

――第ニ章 違和感が軋む音―― 「変わった客人?」  サダノブが聞くと黒影は、 「ああ、そうさ。サダノブが美人に珍しく尻尾を振らないのだから。白雪にでさえ見事な甘えっぷりのポチが。サダノブは警戒心を持っている。白雪は女の勘とやらでやっぱり気を許さない。そして、先程から風柳さんが茶ばかり啜って、話そうとしない。美人に照れている訳じゃなければ、理由はつく。刑事の勘が何かを探ろうとしている。そして僕も思うよ。……やっぱり毒じゃあないかって。偶然も重なれば必然。サダノブは如何読んだ

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間違いたくない読書感想文のゴール

夏休みの宿題といえば…読書感想文! 必須の宿題ではない学校もたくさんあるとは思いますが、読書感想文に挑戦するなら時間のある夏休みはオススメです。 ただ、ゴールを間違うとただただ時間のかかる苦行でしかないので、何のためにやるのか?を考えて取り組みたいですね。 読書感想文は何のためにするのでしょう? 宿題だから仕方なく、コンクールで入賞するため、作文を書く練習になる、、など目的はいろいろありますよね。 私が思う読書感想文を書く目的(ゴール)とは・・ 本を通して自分の心と

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キリンと麒麟

お読みいただきありがとうございます。 画像はAdobeExpressを使用しています。 *********************************************** 「きりん」は不思議な言葉だ。 カタカナと漢字、どちらで書くかによって動物が変わる。 (1)キリン=麒麟? 子どもの頃、ビールのラベルに描かれた生き物が気になって 晩酌中の父親に尋ねた。 「これは麒麟だよ」 これがキリン…? 動物園にいるキリンと全然違う。 幼心に混乱したことを覚えてい

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弱者をいじめる理論

「いじめられ、暴力をふるわれ、なぜ僕はそれに従うことしかできないのだろう ー 善悪の根源を問う、著者初の長編小説」。Amazonでそう説明されていた『ヘヴン』は読み応えのある小説だった。 この小説で最も印象的だったのは、いじめを行う側の論理で、百瀬という少年が述べる事柄だ。率直に言って、百瀬はいじめによって人を傷つけることには多少の罪悪感も持ち合わせていない。「たまたま」そういう欲求があっていじめただけで、そこにはいじめられる相手が「斜視」であろうとなかろうと、別に理由など

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今、おすすめしたい一冊|母という呪縛、娘という牢獄

話題の書籍について この本、読みました? もし読んでいなかったら、 ぜひ手に取ってほしい。 私は草津駅(滋賀県)の書店でこの本を初めて見つけた。平積みされているグレーの本たちに近づいてみたところ、 ゾッとした。 飛び込んでくるワードは、 殺人事件 ノンフィクション 娘が母を殺した 死体は解体 9浪の医学生─。 パラパラとページをめくって、でもそれ以上は見てはいけないような気がして、平積みされていたところにそっと本を戻した。 でも、読んでみたい気持ちが優って す

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