藻屑

ぬるま湯育ちの日記と馬鹿らしい妄想を、詩にしてます 将来の夢は強くて頼れる常識人   …

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ぬるま湯育ちの日記と馬鹿らしい妄想を、詩にしてます 将来の夢は強くて頼れる常識人             コメントしてくれると嬉しいです

最近の記事

『爪と目』藤野可織/芥川賞受賞作[読了記録]⚠︎ネタバレ

「ずるずると細かい不穏な動きをするあなたの目は、見れば見るほどただの器官にすぎないことが明らかになった」 コンタクトレンズを愛用する「あなた」は他人の顔をただの、のっぺらぼうのように見る。 「あなた」の目はこれから結婚する男を見るときも、その連れ子を見る時も、感情を持たない。 ただ、ただ、「あなた」の持てる力で得られる男、子供、北欧家具なんかを集めるための器官。 実母を亡くした3歳の「わたし」は、新しく母親になるかもしれない「あなた」の目が、自分を見ていないと、とっく

    • [詩]まるこげ心臓

      ある日 心臓が火事にあって アツくてアツくて  早鳴る音が止まれば全部 おわる だけど心臓は相も変わらず ビート刻んでるし  火を消せばスローテンポの平和 訪れる 煙がもくもく やっと火は消えた 消えたのに 消えない  どれだけの涙を注いでも よみがえる

      • [詩]アンチ×××

        ×××より深く繋がる 型にはまらないカンバセーション トサカのシルエットは手のひらと重なる 子供じみた「すき?」のことば 小手先のまやかしはとっぱらう ×××より近くに感じる メリケンサックをはめた拳が 耳の輪郭をなぞって愛撫する 面の皮の厚さなら負けないが そろそろ暑いから脱いでみる 大人しそう、と心配して顔を覗き込んだ人々は 一様に鼻をつまんで逃げかえった ボールペンの芯を手の甲に突き立てて 真っ赤な生き様を見せつける ×××より満たされる ピアスをつけ

        • [詩]ふるさと

          ふるさとの空はひどく狭く 細く黒い線で切り取られている 私の趣味は散歩で 隣町もまたその隣町も 家の中を歩くのと変わらない 太陽が出てる時も 薄暗い曇天の日も ふるさとに変わったところがないか 確かめるように歩く この煉瓦の建物は知っているし その先にトランクルームがあることも知っている 電柱にある見知った住所 なんとなく見覚えのあるマンション でも、その隣に黒焦げの家はなかったし 道の反対にぽっかりと口を開けた空き地もしらない しらない 足元がゆらゆらと揺れる 知らない

        『爪と目』藤野可織/芥川賞受賞作[読了記録]⚠︎ネタバレ

          [詩]スギ

          パズルのピース ばっちりハマる 止まらない制御できない 加速する風 無防備な私 花へ勝手に中に這入ってく ダメ ヤメテ  あなたの心は遠い山にあって 世界のすべては潤んで見える それでもいいやって 花のむず痒さがなくなるならって 大きく はっくしょん

          [詩]スギ

          [詩]好きの理由

          あなたを好きになった日のこと 寒くって 腕を前で組んでいた だけど 星の照りがすごくって 熱くって まぶしくって 貴方 私の好きな貴方 どんなだっけ 真剣に話してるときの表情だとか 自慢も、自虐もしない等身大な姿 とか いくつか好きにこじつける だけど 貴方の季節が去ったあと いつも冷たい私の右手が 暖かい ようやく気づいたって嬉しくって 見上げてる星たち ひんやり瞬く

          [詩]好きの理由

          [詩]正義人

          わたしの正義が許さない 好きの感情は見ないふり 隙のない正義は見ている 一部とは言えない好きを 不甲斐ない心の弱さが今 どうしようもないと叫ぶ 現実に混じり合えない夢 好きは明け方の夢と消え 正義はいつしか枷となる 十字架の枷は重しとなり 身体は深く深く沈みゆく 右も左も上も下も心自身 沈むという感覚すらない そのとき、音が聞こえる 現実にゆっくり溶けゆく 夢の混じりゆく静かな音 正義の道を生きていく夢 好きに飲み込まれた現実 背負う十字架は重すぎて 途中で休

          [詩]正義人

          [詩]オッパショ石

          或る男は私を背負っている 長く緩やかなのぼり坂を歩んでいる 関節がギシギシと音を立てて 円滑油が挿されるのを待っている 額に滲む脂が光る 薄雲を通り抜けた鋭い矢が額に、関節に、刺さって燃える 私はもっと重くなる 壊れそうな関節は、それでも動く 終ぞ背骨を折ってしまったのだろう 男の背骨は曲がったまま動かない 前を向けなくなった視界には影しか映らない 影しか映らない未来から逃げ出してしまいたい 男の悲痛な叫びは私へと吸われて消える そしてまた、重くなる 背負うことをやめ

          [詩]オッパショ石

          [詩]ありもしないシリウス

          今日のシリウスが次に輝くのは50年後 その頃には僕らなにをしてるかな 君は笑って、空話をする タイムマシンに乗れたらいいな、 宇宙に行けたらいいな そんな先のことなんて、だれも分からないけどね 次は分かる未来を想像しよう 30年後は子育ても落ち着いてるかな てことはあと10年くらいしたら結婚してたりしてね なんてだれかとの明るい未来がみえる じゃあ1年後はどうだろう 売れる夢かなうといいね、 試験に受かるといいね、 だからいま、励ましあって努力をしよう だけど未来、笑い合

          [詩]ありもしないシリウス

          [詩]オレンジ色の地球

          この愛はつづく、 地球がオレンジ色になるまで 証明の証、ブルーの海に誓ったリング その恋は中をたぎらす、 海の温度は上がってる ガガーリンを信じないあなた 鮮烈な、オレンジ色の地球に 輪廻する私のリング

          [詩]オレンジ色の地球

          [詩]かつて木の枝だった私へ

          おぼえている中で1番最初の記憶 柔らかく降りそそぐ雨の心地よさ 土が雨を含んだ時の大好きなにおい それから10年、私たちは上へ上へ光を求めた 銀杏の木も、松の木も、追い抜かした それから13年、私は他の枝と違う方へ伸びた なぜって よく陽の当たる場所を見つけたからね 少しでも多く、みんなに栄養を届けたかったんだ それから130年後、私はそこにいなかった 毎日、毎日みんなに栄養を届けながら 立派な枝になった私 立派になりすぎた枝は重たくて ゆっくりと木を傾けた そし

          [詩]かつて木の枝だった私へ

          [詩]ザクロ中毒

          電気をつけるか迷う午後3時 ひとり まぶしい冷蔵庫にザクロ ひとつ 物珍しくて買った得体の知れない果物、らしきもの スマホで食べ方を調べよう ふと指を止める スマホの奥に得体の知れない実が ある ザラザラと赤い 得体の知れない実 歪な まる  たこさんウインナーみたいな足  ポキポキ折ってシンクへ散らす やみつきになる 中は どんなだろう 包丁の刃 入れると変な感触 きもちわるい 親指 切れ間にぐっと押し込む メリメリ裂ける  親指の爪 果肉を覆う薄膜を破る あっけな

          [詩]ザクロ中毒

          [詩]マクトゥーブ

          マクトゥーブ 上から下へ水は流れる 浮かんだ言葉は過去へ流れる マクトゥーブ 無造作に掬い上げた言葉に 小川だった煌めきはもはや、ない 手から溢れそうになるのを慎重に、慎重に 遠くのあなたへと運ぶ そのちいさな水たまり 一緒に植えた水草で緑がかった水色 マクトゥーブ 私たちだけの水たまり 言葉たちがはらはら落ちて 水草の緑が心に澱る

          [詩]マクトゥーブ

          熱でた〜ニキビたくさん〜もう回復するしかないですね伸び代いっぱい

          熱でた〜ニキビたくさん〜もう回復するしかないですね伸び代いっぱい

          [詩]¬♾️

          ここに風船がある 大好きな緑色の風船 すぐどこかへ行きそうになるけど、 振り向くと見える緑色 私を見守って少し後ろをついて来てくれるみたい かわいい 大好き 大好きだから もっと知りたいのか 知るから もっと大好きになるのか 緑色の風船 なでて なぞって 引っ掻いて また好きになる 少ししぼんだ緑色の風船 掴んだひもを離す時がきた そう悟った この世に永遠はないと 不条理だと 手を離された緑色の風船 まだ手を伸ばせば届く距離 いつも一緒にいたのに どうして遠くへ行

          [詩]¬♾️

          [詩]水鉄砲で見える虹

          私の天気がドンヨリでも 上司の理不尽な怒りは、 どこかで受けた傷に流した涙だから 傷口にそっと手を当てる マザーテレサになりたい 私の天気がサンサンのとき 友が無理に見せる笑顔は、 懸命に戦っている証拠だから いつか戦い疲れたときに もたれ掛かれる木になりたい 私の天気がザアザアでも 見知らぬ人がうずくまっているのは、 心身のコップから水が溢れた時だから 叩かれるのを恐れずに 母によく似たこの手を差し出したい そんなふうに 愛をふりかけたところに 淡い虹が出

          [詩]水鉄砲で見える虹