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[詩]かつて木の枝だった私へ

おぼえている中で1番最初の記憶

柔らかく降りそそぐ雨の心地よさ
土が雨を含んだ時の大好きなにおい

それから10年、私たちは上へ上へ光を求めた
銀杏の木も、松の木も、追い抜かした

それから13年、私は他の枝と違う方へ伸びた
なぜって
よく陽の当たる場所を見つけたからね
少しでも多く、みんなに栄養を届けたかったんだ

それから130年後、私はそこにいなかった

毎日、毎日みんなに栄養を届けながら
立派な枝になった私
立派になりすぎた枝は重たくて
ゆっくりと木を傾けた

そして木は、上へ成長できなくなった

みんなの邪魔と気づいた私
自ら葉を落として 幹から栄養を摂らないで
さようならを言ったんだ


かつて木の枝だった私へ

まっすぐ空へ伸びた木に
今年も新緑の季節がやってきました

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