金井美恵子「噂の娘」を読む。
「噂の娘」は、まだ子供である「私」が、弟と一緒に、知り合いの美容室のマダムに預けられ、そこで見聞きしたこと、また、それ以外のさまざまな記憶の物語である。
1950年代の話である。「私」の父親は、なぜかわからないが遠くの町の病院に行くことになり、当然、母親も付き添うことになる。
「私」が預けられるのはそのためなのだが、しかし、「私」は、父親のどこがどのように具合が悪いのか、なぜ、近くの病院ではなく遠くの病院へ行かなくてはならないのか、なぜ、何日も留守にしなくてはならないのか、く