夏。 呼んでないのに一年に一度、毎年やってくる、夏。 暑くて眩しくて、緑の絵の具が何種類あっても足りない、夏。 貴方は夏に何を思いますか。 私が今年の春に読んだ、川上未映子の『夏物語』。 実は去年の夏に買ってずっと読み終えることが出来なかった。夏のように終わりそうで終わらない本だったから。そして何よりも、人生のあれこれが煮詰まった作品だった。実際、読み終えてから感想を書くのに2ヶ月もかかった。夏物語は本の分厚さはさておき、物語自体が人生のように終わらせてくれない。飽き
My fear floats in the air like piano melodies かんだかく、ひたむきで、希望を含んでいる なのにどこかしら寂しく、ひとりぼっちだ 言葉にならない言語が 沈黙には含まれている 耳をすませば音が聞こえてきそうだ 私には絶対音感がない その笑顔を誰かに盗まれたくないと そう思うことは 欲張りすぎるのだろうか 今日の曇り空が私を寂しくさせないのは さよならのキスのおかげだよ 明日は雪が降るだろう 綺麗な結晶も地面に落ちれば 天気
私は随分と前の日々に、記憶の旅をした。 先日遂にパーフェクトデイズを観ました。 映画を観た後、フッと微笑みながらため息をつくような、暖かくてそして寂しげな気持ちになった。 自分の中にあるパーフェクトデイズ。 貴方の中にあるパーフェクトデイズ。 人生の中で自分と向き合う時間が途方もなく長いように感じる。誰も自分からは逃げられやしないのだと。 そして誰も他人のパーフェクトデイズを覗くことは出来ないのだと。 それは、自分の見ている世界が誰のものにもならないこと。ひょっと
貴方は矛盾だらけだ 口と頭が違う国にいるのではないかと思う 貴方の声の音色は嘘つきだ 耳と鼻と喉が繋がっていないのだと思う 貴方は海の向こうの出来事を たくさん知っている 波が穏やかな日、大荒れの夜 太陽の光でキラキラ光る海面 その軽やかさで ずっと変わらず ぷかぷかと浮いていた どこに行くのと聞いたけれど 口が違う国にいるらしく 貴方の行方は分からずじまい
子供の頃になりたかったもの。なれると信じていた甘い日々。いや、本当はなりたくなんてなかったのかもしれない。ただ私は、そのことだけ考えていたかった。その甘い夢を、周りの大人が勝手に現実や未来と関係づけたかったのだろう。 大人は自分勝手だ。 その自分勝手さを学び、私達は大人になってゆく。 唐揚げにレモンをかけることを学んでいくのだ。 子供の頃に感じた大人の自分勝手さは、きっと自己責任くらい心寂しいものなのだろう。今なら少しわかる気がする。本当に自分勝手でいれたのは子供の私
全てが霧に包まれた曇り空、こめかみが少し痛んで、小降りの雨がしきりに視界に入る。 どれだけ現実から離れてみても、猫みたいに帰り道だけは忘れない。夢からの帰り道、朝は暗闇から帰ってきた私を何も言わずに暖かい光で包み込んだ。 大きなあくびをした午前9時24分に意味なんか微塵もない。 あの時見た本棚のない部屋には、埃が被った本や資料があって、沢山の記憶が読みかけの本のように床に散らかっている。あなたは小説の中に出てくる顔を持たない登場人物の1人となった。読者として記憶を読み進
ちっぽけだと気づき出した時 貴方は足がすくむ 知る事が多すぎると知ってしまった 世界が広いと気づいてしまった 貴方一つの身体では 世界は救えないと知ってしまった そんな貴方 艶やかな肌がくすみ始めて 煌びやかな街が一層引き出すのは 貴方の中に潜む闇 でもね そんな貴方は 誰かの魔法使い 貴方の強さで守れるもの 貴方の優しさで包めるもの 貴方の言葉で誰かが頬を赤らめる そんな貴方 忘れないでと
電車の窓から見える景色が 流れるようにわたしをとおりこしていく そんな景色たちを通り越してるのは私だということを忘れてしまうくらい早く 気が付けば私はいるべき場所にいて 立ち止まれば見えたかもしれない景色たちや 会いたいと思った人たちのことは 流れた景色と共に置いてきぼりにした 新しい景色に慣れるのに精一杯で 何かを置いてきぼりにした感情を懐かしいという感情として片付けた みな時間が惜しくてしたこと 遠回りしないようにとよく考えて選んだ道が思ったよりも
2024年、私は何かを始めたかった。 18歳の時にニューヨークに引っ越してからというもの、私は長らく走り続けてきたように思う。時には泳いだり、また時には絶壁をよじ登ったりして。 しばらくすると、割と自然に溶け込んでいっていつの間にか私の中で留学という言葉は無くなっていた。ファッションマガジンでインターンしたり、バイトに恋に毎日全力だったと思う。 大学を卒業する頃にはアメリカでの就職がとても自然に思えた。それもそのはず、私は田舎で生まれ育って、一人暮らしをしたのもNYが初
初めて君の隣に立って息の音が聞こえた 同じ誕生日だねって目を合わせて そんな春の日 初めて桜を綺麗と言葉にしたくなった 廊下を歩くたびにこんなにも 心臓の音が聞こえて 君が眠たそうに歩いているのを見つけて 私の頬が桜色に染まる あなたの何が好きだったのかと聞かれると 言葉が詰まって 好きに理由はいらないって言うけれど そう単純じゃなくなったね 心が春日和 気持ちが桜色のそんな日に 私は初めて恋をした
言葉を紡ぎあって あやとりのような会話がしたい 話終わった頃には絡まり合った言葉で 何か一つの形になるような会話 あなたの言葉と私の言葉 少しずつ絡まり合って作るなにか 秘密だよって言って 夜空の中に消えたい