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2023年11月の記事一覧

土を踏む

土を踏む

直に触れることの意味田舎育ちが比較的長いせいだろうか、自然に触れるのが好きだ。
その影響か、直接触れることを大事にしている。

昨今、リモートで出来ることが増えた。
それはそれでとても良い事ではあると思う。

今までわからなかった事、出来なかった事が出来る。
時間の短縮が出来、効率も良くなった。
得られたものも多い。

反面、それによって失われたものも多い。
直に触れるとわかる事が沢山ある。

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「失われた時を求めて」読み終えた総括&読もうか迷う人へのアドバイス

「失われた時を求めて」読み終えた総括&読もうか迷う人へのアドバイス

一大長編を読み終えて、今とてもすがすがしい✨

岩波文庫チャレンジとして、作品ごと、本作は2冊ごとにアウトプットしているのだが、各回がそれなりに長いにも関わらず、残したい事が収まりきらないので、ここに総括を設けた。

YouTubeで紹介されていた“アルゴリズムが弾き出した世界名作ランキング“で1位を獲得していたのが、本作を読もうと思ったきっかけ。

古典や名著に触れてこなかった人生を反省して、現

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レビュー『ルバーイヤート』虚無と享楽の詩人オマル・ハイヤーム

レビュー『ルバーイヤート』虚無と享楽の詩人オマル・ハイヤーム

日本人にとって、中東のイランという国はなじみが薄いのではないだろうか。

しかし、その知識の欠如を埋めるひとつの手段が、短い詩を通じてその文化に親しむことである。

11, 12世紀のペルシアに生きた科学者にして、虚無と享楽の詩人オマル・ハイヤームの『ルバーイヤート』は、まさにその入り口となるべき作品。

多岐にわたるテーマを網羅した彼の詩は、時代を超えて魅力を放ち、読者に深い感銘を与える。

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#13 太宰治全部読む |これぞ”隠れた名盤”、女性の魂を宿して書く

#13 太宰治全部読む |これぞ”隠れた名盤”、女性の魂を宿して書く

私は、太宰治の作品を全部読むことにした。

太宰治を全部読むと、人はどのような感情を抱くのか。身をもって確かめることにした。

前回取り上げた『新ハムレット』では、西洋の古典やフォークロアを題材に、現代人の心情や、太宰の思想をブレンドした、新趣向の小説を読んだ。

第13回目の今回は、『きりぎりす』という短編集を読む。キリギリスといえば、バッタ目の昆虫の名前だが……果たして、どのような作品なのだろ

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「山月記」を読む② アリストテレスで読む「山月記」

「山月記」を読む② アリストテレスで読む「山月記」


Ⅰ アリストテレスの悲劇論『詩学』はアリストテレスが著した芸術論である。タイトルから「詩」について論じているような印象を受けるが、その大半は「悲劇」について述べてある。この『詩学』で、アリストテレスが提示した「悲劇」の要素は以下の5つである。

1.〈悲劇の5つの要素〉

アリストテレスは、優れた悲劇には「逆転」と「認知」が同時に起こると述べ、その好例としてソフォクレスの『オイディプス王』を挙げ

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野上弥生子って知っていますか?

野上弥生子って知っていますか?

「野上弥生子」という作家を知っていますか?
大分で仕事をしていて知った作家さんですが、
文化勲章を頂いたすごい作家さんです。
大分県臼杵市に明治18年生まれ、東京の女学校を経て同じ大分出身の、英文学者兼“能”研究者の「野上豊一郎」と結婚します。

豊一郎は、東大の英文科の学生でした。
「夏目漱石」は、その時の教授で、『木曜会』に参加していました。
『木曜会』には、有名な「芥川龍之介」「内田百閒」「

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生み出してしまった人間が永遠に背負うことになる責務——教育は生成AIから逃げることなく、その役割を果たしていけるのか

生み出してしまった人間が永遠に背負うことになる責務——教育は生成AIから逃げることなく、その役割を果たしていけるのか

AIは不可逆的テクノロジー。だからこそ・・・スウェーデンの哲学者でオックスフォード大学教授のニック・ボストロム氏は、
「AIは『不可逆的なテクノロジー』だ。いちど実現してしまったものを後退させたり、なしにしたりはできない」
と断言し、
「だからこそ、常に人類が望む目標に進むよう設計しなければならない」
と述べています。

さらに、ボストロム氏はシンギュラリティに関して、

「近い将来、我々は必ず『

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『伊豆の踊子』の「は」と「が」

『伊豆の踊子』の「は」と「が」

英語は苦手で嫌なのだが、もっとも他の言語もまったくダメなのだが。それでも日本語は何気なく使っていて、唯一理解できる言語だと思っていた。ところが言語学や日本語学の、ほんの入り口にすぎないのだが、とてつもなく複雑なことが判ってきた。

日本語の主語の使い方や、「は」と「が」の掛かり方などおもしろいものがある。この掛かり方で有名な誤訳がある。

放送大学の放送授業で解りやすく説明されてた。「日本語リテラ

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論理的文章力を育てなかった日本の作文教育とは

論理的文章力を育てなかった日本の作文教育とは

 学生時代、作文は好きでしたか?私は大嫌いでした。何を書いたら良いか分からないし、先生も具体的な書き方を教えてくれませんでした。ただ書かせるか漢字を訂正するだけで、文章構成や内容の指導はありませんでした。実は、日本人が海外の学生のように論理的なエッセーが書けないことには理由があったのです。
(注:日本ではエッセーは主に随筆を指しますが、英語のエッセーは、主張を持ち論理的且つ形式に則って書かれた小論

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流転する存在としての人間 —小池昌代の詩「流離」について—

流転する存在としての人間 —小池昌代の詩「流離」について—

 今回は、詩人・小池昌代の「流離」という詩について見ていきます。

   流離 小池昌代

  海の庭には石がおかれ
  東洋の音階が流れている
  視力をなくしたこざかな
  やどかり
  水草のきしみ
  その他のうお、はるのうお

  つめたい異土に収集された
  遺失物たちにかがやきが加わる

  属しているもの
  属していないもの

  ふかく、とつぜん、和解するように
  水船は沈む

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「さみねの島」の「石の中に身罷れる人」考

「さみねの島」の「石の中に身罷れる人」考

『万葉集』に柿本人麻呂がさみねの島で「石の中に身罷れる人」を見て詠んだという挽歌がある。少し長いが引用しよう。

玉藻よし 讃岐の国は 国柄か 見れども飽かぬ 神柄か ここだ貴き 天地 日月とともに 満りゆかむ 神の御面と 継ぎ来る 中の水門ゆ 船浮けて わが漕ぎ来れば 時つ風 雲居に吹くに 沖見れば とゐ波立ち 辺見れば 白波さわく 鯨魚取り 海を恐み 行く船の 梶き折りて をちこちの 島は多け

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童謡の魅力

童謡の魅力

 福井県の国特別史跡「一乗谷朝倉氏遺跡」と国史跡「白山平泉寺旧境内」等の史跡を中心に撮影活動を行っている北野です。今回はまったく趣向を変えて投稿させていただきました。

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