親魏倭王(元学芸員:考古学)

猫と推理小説が好きな元学芸員。専門は考古学ですが、歴史全般に関心があります。 ここでは…

親魏倭王(元学芸員:考古学)

猫と推理小説が好きな元学芸員。専門は考古学ですが、歴史全般に関心があります。 ここでは論文化しづらいネタと読書感想文を忘備録的にまとめていこうと思います。 2024.2.26 退職に伴い、一部記事を有料化しました。今後、投稿する記事も有料の場合があります。 (1記事500円)

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自己紹介兼仕事募集

はじめまして。親魏倭王といいます。 天理大学文学部卒、学芸員と司書の資格あり。専攻は日本考古学(主に古墳時代)。埋蔵文化財調査および博物館学芸員として10年程度のキャリアがあります。論文執筆経験あり(査読付き論文はなし)。趣味は読書と博物館・美術館巡り。人文書と推理小説が好きです。滋賀県在住、京阪神を主なフィールドにしています。 正職員4年目にして、環境の変化からうつ状態になり、休職期間満了につき退職。休職中からnoteに記事の執筆を開始。主に人文書の書評と歴史系のコラム

    • しばらく更新が滞っていますが、身内に不幸があったので、当面、投稿を控えます。

      • 贅沢考

         1 政治家の麻生氏と茂木氏が高級レストランで会食したことをメディアが報じてから、麻生氏への風当たりが強くなっている。経済のほうは疎いが、金持ちが贅沢して金を落とさないと経済は停滞すると思っている。 江戸時代の三大改革はいずれも緊縮財政方針で、国庫(幕府の金蔵)を満たすのが主目的のようだったところがあるが、贅沢を禁じて倹約を下々まで徹底させたため、経済が停滞した。金が回らければ仕事がなくなり、失業者が出るのは道理である。個人的に、当時の幕府がするべきことは、経済の活性化と年貢

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        • HPVワクチン訴訟とワクチン後遺症についての雑感

          この記事はいらぬ波風を立てそうな気がするので、やや高めの値段設定とする。  1 最近、HPVワクチン訴訟の詳細が鈴木エイト氏によって明らかになったが、被害者とされる子、親とそっち系の医者にうまいこと利用された感じがする。同じことがCOVID−19ワクチンでも起きてそうな気がする。 ワクチン後遺症は確実にあるだろうけど(平畑先生がTwitterなどで積極的に啓発している)、本当にそうかそうでないか見極めるのはかなり難しいだろうと思う。たぶん、除外診断しか方法はないんじゃないか

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        • 親魏倭王の雑感
          20本
        • 歴史の小箱
          31本
        • 親魏倭王の小話集
          19本
        • 自分語りとアドバイス
          11本
        • 元学芸員が言い残したいこと
          18本
        • 文化と美術
          11本

        記事

          郵政民営化についての私見

           1 郵政民営化が成功だったか否かのツイート(自分がしたものではない)に、変な物言いがついているのを見た。 目立ったのが「官営だともっと赤字だから、民営化するしかない」的なもの。基本的に行政サービスは一方的に税金をつぎ込むしかないもので、採算を度外視するしかない。しかし、インフラとして必要なので、廃止するわけにはいかない。行政とは極端な話、「赤字経営しかできない」のである(極論なのはわかっている)。 考えようによっては、税金とは行政サービスの前払い料金である。出費としてはけっ

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          郵政民営化についての私見

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          富永仲基と「加上説」

          富永仲基は江戸時代の町人学者で、哲学・思想を専門とした。懐徳堂の門人で、合理主義的な視点から儒教・仏教・神道を考察した。 富永は「後発の学説は必ず先発の学説よりもさかのぼってより古い時代に起源を求める」と言う。これを「加上説」といい、東洋史学者の内藤湖南に高く評価されている。

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          歴史小話集③

          【弘法大師空海の入定を巡って】 弘法大師空海は讃岐(香川県)の出身で、父は佐伯直善通(よしみち)と言った。その善通の邸宅を寺にしたのが善通寺である。当初、空海は叔父の阿刀大足を頼って大学に進んだが、仏教に傾倒して出奔、各地を巡って修行した。途中、室戸岬で修行中に明星を飲み込む神秘体験をする。 その後、経緯はわからないが、留学僧として遣唐使に参加し、長安の青龍寺で恵果和尚に入門、わずか2年で伝法灌頂を受け、真言密教の奥義を体得して帰国した。嵯峨天皇の信任を得、東寺を下賜されて日

          民俗学小話集⑦

          【廟山鳴動】 藤原鎌足を祀る談山神社の裏山を御破裂山といい、鎌足の墓(実際は不比等の墓か?)がある。この山は藤原本宗家に何か災いがありそうなときに鳴動したという。この時、鳴動を聞くポイントが3箇所あり、それを「立ち聞きの芝」と言った。鳴動があると藤原氏の氏長者に使者が立てられ、同時に別当が精進潔斎を行って廟の神像を確認した。この時、神像にヒビが入っていると(御破裂)より強い災いがある証とされた。これが御破裂山の名の由来である。不思議なことに、神像のヒビは祈祷が行われると跡形も

          考古学小話集③

          【粟鹿神社境内の古墳状隆起】 以前、兵庫県朝来市の粟鹿(あわが)神社を訪ねた際にびっくりしたのだが、本殿の背後にかなり大型の円墳らしきマウンドがある。裏に回ると、当時は藪になっていてよくわからなかったが、周溝らしきものも確認できた。 ここは遺跡地図では経塚となっている(不時発見らしい)が、周辺で行われた発掘調査の報告書を読んでいると、兵庫県の文化財担当者もこのマウンドが古墳である可能性が高いと考えているようだ。当時撮った写真を見る限り、自然丘陵としては不自然で、人工的に造られ

          私のファミリーヒストリー

          今日は私のルーツについて忘備録的にまとめてみる。極力伏せてはいるが、ある程度個人を特定できるおそれがある情報を含むので、あまり広まらないよう有料記事とし、やや高めの値段設定とさせていただく。

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          私のファミリーヒストリー

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          ぶっちゃけ、文化財って何なの?

           1 文化財とは学芸員らが見出して初めて文化財となり、保存措置を講じることで価値を有するようになるのか、あらゆる古物は文化財という属性と価値を元から持っていて、保存措置を講じることで学芸員らはそれを「追認」しているに過ぎないのか。 文化庁は「文化財は,我が国の長い歴史の中で生まれ,はぐくまれ,今日まで守り伝えられてきた貴重な国民的財産です。」としている。改めて考えると、わかるようでわからない。この書き方だと、伝世されていない埋蔵文化財、多くが消耗品だった民具が抜け落ちてしまう

          ぶっちゃけ、文化財って何なの?

          note記事の書き方みたいな記事を読んでいると、ほとんどがエッセイ記事の書き方指南なのよね。 だから自分が書いているような論考記事には当てはまらない。

          note記事の書き方みたいな記事を読んでいると、ほとんどがエッセイ記事の書き方指南なのよね。 だから自分が書いているような論考記事には当てはまらない。

          非業の皇太子・劉拠

          劉拠は西漢(前漢)の武帝の長男で、皇太子に立てられていた。 晩年、武帝は江充という人物を寵愛し、監察官の地位に就かせていた。江充は皇族であっても恐れず弾劾し、劉拠も弾劾したため、劉拠は江充と対立することになった。 この頃、丞相・公孫賀の子の敬声が、横領が発覚し捕らえられた。公孫賀は、大侠客の朱安世を捕らえて子の罪を贖おうとしたが、朱安世は公孫敬声が武帝の娘と密通していること、離宮への道に「まじもの」を埋めて武帝を呪詛していることを告発した。公孫賀は投獄され獄死した。 その後

          百済王子豊璋と中臣鎌足が同一人物!?

          関裕二氏の本に書いてあったように思うが、中臣鎌足と百済王子豊璋を同一人物とする説があるらしい。関氏のオリジナル説か、他に提唱者がいるかはわからないが、学界発の学説ではなさそうだ。 その根拠は「大織冠を得た人物が記録上豊璋と中臣鎌足しかいない」「豊璋が百済に戻って戦っている間、中臣鎌足の記述が『日本書紀』に見られない」の2点。白村江の戦いで百済滅亡が決定的になると、豊璋は日本に戻り、再び中臣鎌足として国政に携わったというのだ。

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          百済王子豊璋と中臣鎌足が同一人物!?

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          noteの有料記事について&私のnote執筆スタンス

           1 noteについて。 自分で調べたわけじゃなく、聞いた話なのだが、noteの有料記事で一番売れているのは「売れるnoteの書き方」みたいな記事らしい。検索するといっぱい出てくるんだけど、(無料公開の記事もあるので)読んでみると、大して実のあることは言っていない。具体的には以下のような感じ。 ・興味を引くタイトルをつける ・需要のあるテーマを選ぶ ・結論を先に書く ・継続的に記事を書く etc. まあ、読んでいて頷ける部分もあるが、どの記事を読んでもほぼ同じ内容で、情報

          noteの有料記事について&私のnote執筆スタンス

          続・図書館とデマ本

          調べたいことがあったので、地元図書館の医療・健康コーナーをうろついていたのだが、少々気になることがあった。COVID-19ワクチンの特設コーナーにワクチン啓発本と反ワクチン・嫌ワクチン本が一緒に置いてあるのだ(後者の代表例は近藤誠)。COVID-19ワクチンについては有害事象が多いものの、総じてリスクよりベネフィットが上回ることが研究で明らかになっているのだが、一般向けの啓発本は少なく、ワクチンについてネガティブな内容の本が目立つ。啓発本のほうも、『新型コロナワクチン本当の「

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