「山月記」を読む② アリストテレスで読む「山月記」
Ⅰ アリストテレスの悲劇論『詩学』はアリストテレスが著した芸術論である。タイトルから「詩」について論じているような印象を受けるが、その大半は「悲劇」について述べてある。この『詩学』で、アリストテレスが提示した「悲劇」の要素は以下の5つである。
1.〈悲劇の5つの要素〉
アリストテレスは、優れた悲劇には「逆転」と「認知」が同時に起こると述べ、その好例としてソフォクレスの『オイディプス王』を挙げている。そして、悲劇の典型とされるこの作品には、先に挙げた残りの3つの要素も備わ