一錠

エッセイ、読書レポ、映画レポ、メンブレ

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完全一次創作の小説をここに挙げていきたいです。 耽美派、純文学が好きな方へおススメです。 基本的に週一くらいで上がります。

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固定された記事

「彼女」と私

性自認とか色々すっ飛ばして好きになったの、許されたかった 幼い私の生きがいは、ずっと、恋愛だった。誰かと恋をすることが、人生の彩りだった。 これは、人生で一番激…

一錠
1年前
12

心がザワザワする

一錠
3週間前

夜中一時、突然の決壊

 ワイヤレスイヤホンをケースごと落としてしまって、とんでもなく虚無感に襲われた。  なんであの時、別れ話の前にI beg you歌ったんだろう。そういう、考えても仕方ない…

一錠
1か月前
1

圧倒的PMS~生理なんか死ねばいい~

 目が覚めた瞬間真っ先に死にたくなった。最悪なゴールデンウィーク。  もう4日前から私のなかは死にたさで満ちている。この宇宙一邪魔な子宮という臓器を外側から掻っ…

一錠
1か月前
12

剥がれ落ちる子宮内膜とメンタルブレイク

なんで生きてるのか分からなくなっちゃって死にたい 死という言葉の甘い響きに溺れ続けている 実際そんないいもんじゃないこともわかっている 上まで履けなくなったズボン…

一錠
3か月前
5

待機暇すぎて村田沙耶香の「街を食べる」読みました。田舎と自然が題材の話で、主人公が街の一部を食べるまでの過程がすごく面白かったです。by2月3日の私

一錠
4か月前

昨日読んだ小説ログ

⚠️眠いのでだいぶ殴り書き 川上未映子「あなたたちの恋愛は瀕死」  すごく後味と気味が悪いながらも詩的な文体であるところに川上さんらしさを感じた。  ざっくり纏…

一錠
4か月前
2

新人文学賞について思うこと

 今年から新人文学賞(群像、文学界等)応募し出したから歴代の受賞作品作品を沢山読んだんだけど、レズビアンの苦悩を描いた「独り舞」とか在日韓国三世の生きづらさ書いて…

一錠
6か月前
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文学フリマ36で出した本の通販を開始しました!

 もう大分経ってるのに何で今? という感じではあるのですが、今朝突然ショップに商品を追加する元気が湧いてきたからです。あと7部売れ残ってることを突然思い出したか…

一錠
7か月前
6

宇佐見りんデビュー作『かか』がブッ刺さった

 本当にタイトルの通りである。  まずこの物語は、浪人生である”うーちゃん”が弟のみっくんに話しかける形で進んでいく。  幼い頃金魚を飼っていたという”うーちゃ…

一錠
7か月前
7

芥川賞受賞作『ハンチバック』

 今年の芥川賞受賞作である『ハンチバック』。ハンチバックとは背骨が弓のように曲がっていることを指す言葉だ。  読み始めてすぐ、成人向け描写の濃さに驚いた。この作…

一錠
7か月前
12

地下アイドルオーディションを最終辞退した

 2日目が終了して、夜眠れなくて、帰ろうと思った。無断で辞退でも、断って辞退してもどちらでも良かった。とにかく、ここは私がいていい場所ではないのだと思った。  …

一錠
10か月前
10

米津玄師2023tour空想レポ

1.カムパネルラ   米津玄師が出てきたのが見えた瞬間から泣いてて、この曲中ずっと泣いてた。後ろに流れる映像が銀河鉄道の夜モチーフで最上級にお洒落だった。多分彼の…

一錠
11か月前
2

『青辛く笑えよ』読書感想文

 献鹿 狸太朗先生の『赤泥棒』に収録されている『青辛く笑えよ』(文藝賞最終候補作)があまりにも心に刺さってしまったので、ここに感想を書きます。 ⚠以下、微ネタバレ…

一錠
1年前
3

文学フリマ東京36新刊『地獄の瓶詰』

 『地獄の瓶詰め』は全部がフィクションの短編集です。 想像妊娠を繰り返す少女、性自認が?の少女、実験で創造された神様みたいな少女。三人の少女を主人公に、種類の違…

一錠
1年前
2

MEN 三人の男たち 感想とネタバレ

まず、グロかった。 次に、主人公が信用できない語り手だった。被害妄想強めで、どこまでが現実かわからない感じ。 例えば最初のトンネルのシーン、男の人がこちらに向かっ…

一錠
1年前
3
「彼女」と私

「彼女」と私

性自認とか色々すっ飛ばして好きになったの、許されたかった

幼い私の生きがいは、ずっと、恋愛だった。誰かと恋をすることが、人生の彩りだった。
これは、人生で一番激情に駆られた恋の話だ。

 中学生の頃、好きな女の子がいた。彼女は親友で、とても告白なんてできなかったけれど、間違いなく恋焦がれていた。恋と呼ぶには高尚すぎる気持ちだった。でも、あの胸の高鳴りは恋でしか説明できないものだった。彼女は、私に

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心がザワザワする

夜中一時、突然の決壊

夜中一時、突然の決壊

 ワイヤレスイヤホンをケースごと落としてしまって、とんでもなく虚無感に襲われた。
 なんであの時、別れ話の前にI beg you歌ったんだろう。そういう、考えても仕方ないことを考えてしまう。お前は桜が好きだったんじゃなかったのか。桜が好きならつまり私のことも好きだったと思うのだけど、そんなふうに思ってしまうだけやっぱり私は傲慢なんだろうか?

 離さないで 暗くなるの、そばにいて
 離さないで 見

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圧倒的PMS~生理なんか死ねばいい~

圧倒的PMS~生理なんか死ねばいい~

 目が覚めた瞬間真っ先に死にたくなった。最悪なゴールデンウィーク。
 もう4日前から私のなかは死にたさで満ちている。この宇宙一邪魔な子宮という臓器を外側から掻っ切って死んでやろうかと思ったが、そんな素敵な絵を描く力が私にはないし、このイメージを伝えきるだけの文章力も私にはない。すべて諦めて剣より強いらしいペンを投げた。

 毎月毎月懲りもせずにやってくるこの憂鬱な一週間は、最強のはずの私を無力にさ

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剥がれ落ちる子宮内膜とメンタルブレイク

剥がれ落ちる子宮内膜とメンタルブレイク

なんで生きてるのか分からなくなっちゃって死にたい
死という言葉の甘い響きに溺れ続けている
実際そんないいもんじゃないこともわかっている
上まで履けなくなったズボンも、洗えてない顔も、まだ募集中のバイトも全部わからなくて
とにかく薬を飲まないといけないと思った。今すぐ薬を飲まないと死んでしまえる気がした。
或いはタバコでもいいのかもしれない、もうなんでもいいのかもしれない。

ただ助けて欲しかった

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待機暇すぎて村田沙耶香の「街を食べる」読みました。田舎と自然が題材の話で、主人公が街の一部を食べるまでの過程がすごく面白かったです。by2月3日の私

昨日読んだ小説ログ

昨日読んだ小説ログ

⚠️眠いのでだいぶ殴り書き

川上未映子「あなたたちの恋愛は瀕死」
 すごく後味と気味が悪いながらも詩的な文体であるところに川上さんらしさを感じた。

 ざっくり纏めると、醜いとか不細工とかいう言葉を一度も使わずに容姿に恵まれなかった女の人の人生を描いた小説。誰かと性行したいって夢想をずっとするんだけど、処女のまま人生が終わっちゃう話。

 主人公は別に喪女なわけではなく、毎週新作のデパコスを買っ

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新人文学賞について思うこと

新人文学賞について思うこと

 今年から新人文学賞(群像、文学界等)応募し出したから歴代の受賞作品作品を沢山読んだんだけど、レズビアンの苦悩を描いた「独り舞」とか在日韓国三世の生きづらさ書いてる「ジニのパズル」とかそういう作品が賞取ってるのを見ると、純文学においてマイノリティは武器なんだなと思ってしまう。そのうち代理出産で生まれてきてゲイカップルに性的虐待された子供とかが筆を取って作品を描いて賞を取りそうだなとか思ってる。ハン

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文学フリマ36で出した本の通販を開始しました!

文学フリマ36で出した本の通販を開始しました!

 もう大分経ってるのに何で今? という感じではあるのですが、今朝突然ショップに商品を追加する元気が湧いてきたからです。あと7部売れ残ってることを突然思い出したから。

 以下にサンプルを貼っておきます。

1.名前は××××にしたいな

「今回も想像妊娠だったよ」
カラッとした声で私は彼に告げる。
「そっか」
当然でしょうと言いたげな顔。
私はもう36回も妊娠している、想像上で。
「私のこと、おか

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宇佐見りんデビュー作『かか』がブッ刺さった

宇佐見りんデビュー作『かか』がブッ刺さった

 本当にタイトルの通りである。

 まずこの物語は、浪人生である”うーちゃん”が弟のみっくんに話しかける形で進んでいく。
 幼い頃金魚を飼っていたという”うーちゃん”の回想で始まるが、実はその金魚は同居している従姉妹の経血が風呂に浮かんだものだった。この時点で衝撃を受けた。そんな書き出しがあるのか! と脱帽した。

 母親をかかと呼んでいること、かかは最近アル中で暴れること。家の中では様々なかか弁

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芥川賞受賞作『ハンチバック』

芥川賞受賞作『ハンチバック』

 今年の芥川賞受賞作である『ハンチバック』。ハンチバックとは背骨が弓のように曲がっていることを指す言葉だ。
 読み始めてすぐ、成人向け描写の濃さに驚いた。この作品はタイトルからは想像がつかないほどアダルトな要素が多い。

 作者本人と同じ障害を持つ主人公の釈華は、40代の高齢処女で通信大学生である。 
 私が彼女に感じたのは、圧倒的な諦観と強者感だった。「普通の女のように生きていくことへの諦め」と

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地下アイドルオーディションを最終辞退した

 2日目が終了して、夜眠れなくて、帰ろうと思った。無断で辞退でも、断って辞退してもどちらでも良かった。とにかく、ここは私がいていい場所ではないのだと思った。
 ただ偶像に憧れただけなのだ、この7人の中で最も愚かしいのは私だった。それがどうしようもなく真実だった。母親のLINE一つ

で自殺したくなった、私はアイドルどころか普通の人間も向いていないほど脆弱な精神を抱え守っている。
 とにかく今この場

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米津玄師2023tour空想レポ

米津玄師2023tour空想レポ

1.カムパネルラ 
 米津玄師が出てきたのが見えた瞬間から泣いてて、この曲中ずっと泣いてた。後ろに流れる映像が銀河鉄道の夜モチーフで最上級にお洒落だった。多分彼の手描きだと思うとまた涙が出てきた。「光を受け止めて跳ね返り輝くクリスタル、君がつけた傷も輝きのその一つ」でとどめ刺されてさらに泣いた。

2.迷える羊 
「君の持つ寂しさが遥かな時を超え、誰かを救うその日を待ってるよきっと」で泣いた。今ま

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『青辛く笑えよ』読書感想文

『青辛く笑えよ』読書感想文

 献鹿 狸太朗先生の『赤泥棒』に収録されている『青辛く笑えよ』(文藝賞最終候補作)があまりにも心に刺さってしまったので、ここに感想を書きます。

⚠以下、微ネタバレを含みます。

 「死にたい」という単語を含む主人公(香本一鉄)の台詞で、物語は幕を開けます。
この時点で私は、死にたがりの主人公か!と少し嬉しくなりました。明るい話が嫌いなので。いろいろ書きすぎると著作権を侵してしまいそうなので省きま

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文学フリマ東京36新刊『地獄の瓶詰』

文学フリマ東京36新刊『地獄の瓶詰』

 『地獄の瓶詰め』は全部がフィクションの短編集です。
想像妊娠を繰り返す少女、性自認が?の少女、実験で創造された神様みたいな少女。三人の少女を主人公に、種類の違う地獄を描きました。

以下に冒頭部分を載せます。

1.名前は××××にしたいな

「今回も想像妊娠だったよ」
カラッとした声で私は彼に告げる。
「そっか」
当然でしょうと言いたげな顔。
私はもう36回も妊娠している、想像上で。
「私のこ

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MEN 三人の男たち 感想とネタバレ

MEN 三人の男たち 感想とネタバレ

まず、グロかった。
次に、主人公が信用できない語り手だった。被害妄想強めで、どこまでが現実かわからない感じ。
例えば最初のトンネルのシーン、男の人がこちらに向かってきただけで「追いかけられてる」と思い込んでダッシュするとか。
基本的に男たちは加害してこなくて、どちらかと言うと主人公が先に加害してやり返される。
私が思うにジェフリーは存在するし彼周りの出来事は現実だと思うけど、それ以外はよくわからな

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