小説を2冊、ビジネス本を1冊紹介。 書形夢醸78~80

ブログの更新は久方ぶり、というのも就活や予備論文の提出が近づいたのもあって立て込んでいた次第です。

なので今回はリハビリ程度に、簡単な本を3冊紹介するにとどめておきましょう。

羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』

2015年の芥川賞受賞作。主人公は半年前にカーディーラー職を辞めた健斗。職を探している段階のため家にいることが多く、体調不良の祖父の看病をしながら生活している。

この作品の見ど

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いつもありがとうごぜえやす〜!
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『ニムロッド』上田岳弘

歴代芥川賞を読んでみようと思い立ったものの、はじめの数頁の圧倒的理系感に気圧されなくて良かったと読み終わってから思った。

帳簿を書き続けることで存在が証明されるビットコインを「それって小説みたいじゃないか」と言うニムロッドの言葉のように、記されることで事実が事実として存在する、ということが鍵となる小説であった。

登場人物の存在そのものや関係、役職、出来事、感情、その他のいつかはなくなってし

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第160回芥川賞受賞作と島田雅彦の衝撃発言

ご存知の方も多いと思います。第160回の芥川賞は上田岳弘さん『ニムロッド』と町屋良平さん『1R1分34秒』で、その感想を記したく存じます。

それで本題に入る前に。
樋口はプライベートでは「僕」を使いますが、そこに至るには葛藤がありました。
というのも「僕」には未成熟な、子どもの部分を感じませんか?
若い頃は無理して「俺」を使っていましたが、その男性性を誇示するニュアンスにずっと馴染めずにいました

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母ちゃん(故人)も喜んでます!

【読書感想 #2】蛇を踏む 川上弘美著

「ミドリ公園に行く途中の藪で、蛇を踏んでしまった。」
活字の上にぽとりと落ちている蛇の姿を、私は何の抵抗もなく受け止めてしまう。踏まれるような蛇なんて、と思う隙もないほどの端的で勢いのある切り口だ。
踏まれた蛇はといえば、「踏まれたらおしまいですね」と言って女の姿になると主人公の家の方へと歩いていってしまう。
そして主人公が仕事から家に帰ってみると、夕飯の支度を済ませて待っているのだった。

蛇は

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【本】ものごとに対し共感ではなく感銘をする「影裏 沼田真佑(著)」

あまり芥川賞は人気がなく最近は面白くないといわれてしまうが、読みやすくて読書離れした人や1-2時間時間が空いた人などには最適だと個人的には思っている。てか面白いし

影裏を読みました。予備知識がなく読んでいたので

「あれ?女性が主人公? ロートレック的な何かがあるのか?」

と思ってしまった。頭が固くていやになる。100頁もなく3回読み返しても新たな表現が発見できる物語でした。

川の流れ、釣り

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今日もあなたにいいことありますように
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映画『マチネの終わりに』いよいよ公開

平野啓一郎著『マチネの終わりに』がきっかけで
note を知るに至ったワタシ
文庫本になり ついに映画も公開かあ~と感慨深い秋の夜です

▼芥川賞作家平野啓一郎氏の単行本直筆サイン本
 ご覧になりたい方はこちらをどうぞ!

2019年11月1日公開のこの映画は
パリのノートルダム大聖堂の火災前の頃
作られているんですよね
またこういった大人の恋愛を描いた物語が日本でも作られて
そして受け入れられる

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バタンキューの時は特に励まされます! 有難うございます
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[本]とにもかくにもこのままでいるのが彼らの最大の望みだということだ 「百年泥 石井遊佳(著)」

芥川賞を受賞した石井遊佳さんの作品「百年泥」を読んだ。個人的に芥川賞は短くて読みやすい、そういった作品は「読書!!!」と気合を入れなくていいところがいい。

まったく予備知識もなく読んだものだからどこまでもフワフワフワフワした感じで読了してしまった。純粋な読み物として物語の世界に迷子になる感覚が嫌いな人はあまり好きではないと思う。

百年泥(ひゃくねんどろ)の中から出てくるたくさんの人々の思い出や

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令和元年上半期 第161回芥川賞発表!

芥川龍之介賞  正賞 時計    副賞 100万円

「むらさきのスカートの女(おんな)」
小説トリッパー春号
今村夏子

なお、直木三十五賞は、大島真寿美「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」(文藝春秋)に授賞決定しました。

公益財団法人 日本文学振興会

■芥川賞選考経過

 第161回芥川龍之介賞選考委員会を7月17日午後4時から東京・築地の「新喜楽」で開きました。

 小川洋子、奥泉光、川上弘美

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芥川賞受賞エッセイ「今日までのこと」――今村夏子

第161回令和元年上半期・第161回芥川賞は今村夏子さんの「むらさきのスカートの女」に決定しました。今回の受賞に当たり、今村さんにエッセイをお書きいただきました。

誰とも関わらずに済む仕事が小説家だった

 19歳の時、親のお金で1人暮らしをさせてもらっていました。当時、私は学生でしたが、まったく勉強をせず、かといって遊んだりもせず、引きこもりがちな日々を過ごしていました。摂食障害を患っていて、

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<髙樹のぶ子さん最後の芥川賞選考会>吉行淳之介さんの言葉が支えだった

第161回選考会をもって、選考委員の髙樹のぶ子さんが選考委員を“卒業”することになった。「35年間、『化けなきゃ』と思い続けた」という髙樹さん。現在の心境を聞きました。/髙樹のぶ子(作家)

 新喜楽の部屋をしっかり目に焼き付けて

 先日の選考会でやっと、芥川賞を“卒業”することができました。退任を決めたのは、自分の作品に残りの人生を全力で注ぎ込みたいという思いがあったからです。

 振り返って

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