海音寺ジョー(涸れ井戸)

超短編小説、短歌、俳句を作ってます。

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最近の記事

『空海の風景』を読む

 司馬遼太郎の書く真言宗の開祖・空海上人の話。  学生の頃、クラブの合宿とか何やらで各地に遠出が多くなったころようやく気づいのだが、全国あっちゃこっちゃの寺の由緒に弘法さんの名が出てくる。これは同時期に文芸学部の民俗学的な授業があって、弘法大師伝説というテーマに触れてくれたこともあり、無宗教のぼくも必然的に気になってた人物であった。  ときどき、司馬遼太郎はいんちき、歴史を捏造しとる、というアンチ司馬遼太郎派に出くわすが、彼らのほとんどは司馬遼太郎の小説を読まずに誰かの受

    • 『カツカレーみたいに馬鹿で明るい子』を読む

      たろりずむさんの私家版第一句集『カツカレーみたいに馬鹿で明るい子』を読んだ。 たろりずむさんは短歌界に彗星のように現れたと思いきや、ドゴーン・バゴーンと短歌研究新人賞、角川俳句賞といったでかい賞をかすめ、人気の公募や新聞歌壇でも入選を繰り返す謎の人である。少し後から俳句も始められ、俳句四季新人賞の最終候補に残ったり、新聞俳壇や各種公募に採用されまくり、勇名を上げ続ける八面六臂の活躍ぶりである。最新の語彙を駆使する先進的な句会の中でも最先端を行く、高円寺りぼん句会のオンライン

      • 『加藤楸邨の百句』を読む

        四月に頸椎の手術で入院することになり、雑誌『群像』の五月号と手ごろな四冊、計五冊を持ち込んだ。そのうちの一冊が『加藤楸邨の百句を読む』だった。 著者は北大路翼さんで、ぼくの俳句の先生でもある。翼さんの先生にあたるのが、結社「街」のボスである今井聖さんで、今井聖さんの師にあたるのが加藤楸邨らしい。そんなゆきさつで、自分も楸邨山脈の最末端という位置づけになるので、これは読んでおかねばと思い至ったのだった。 この「有名俳人の百句」は最近ふらんす堂が始めたシリーズもので、ラインナッ

        • 『サンショウウオの四十九日』を読む

           話題になってたので読む。最初は幻想小説なのかと思ったが、いや、広義ではそうなるのかもしれないが、シビアな話だった。出生の際の、とばっちりを食ったような早逝の伯父と、底抜けにのんきな父の対比とか、命の残酷さをたんたんと描きつつ、希望の落としどころを求めて逍遥するという物語だった。ちょっと前、話題になった砂川文次の「ブラックボックス」にも通じるニヒリズムというか、硬骨な文学だなと思った。「ハッチバック」はどうだろう。お葬式のシーンは、昔読んだ玄侑宗久の「中陰の花」を思い出した。

        『空海の風景』を読む

          『モジオロジー』を読む

          屍派、里俳句会の、喪字男さんの句集『モジオロジー』を読んだ。 生活感と文学的哀愁がないまぜになって、独特の面白みとペーソスがハートをわしづかみにする。この場合のわしは、鷲というかっちょいい鳥とちょっと違い、「わしー、わしー」「わしまだ朝飯食ってへんねんけどー」と迫って来るお爺ちゃんぽいわしであり、その妖しさが喪字男俳句の本領ではなかろうか。狂気をTOYにする、喪字男マジックの魅力に翻弄された。 BCCKS / ブックス - 『モジオロジー』喪字男著 (句集『モジオロジー』

          『モジオロジー』を読む

          『海のうた』 左右社 所感

          ひょんなことから、左右社さんから出た「海のうた」をもらったので、自分がいいなと思った歌をいくつか引用します。海をテーマにした、短歌アンソロジー「海のうた」から。 きみからの電話に出ずに海へ行き、骨。とおもって拾う貝殻 山中千瀬 家から、海までどんだけの距離があるんだろう?ということが気になった。その距離と、貝殻を骨、とおもうことには関係があるんだろう。『さよならうどん博士』より もう一度言うがおれは海の男ではない フラワーしげる なんのダメ押しなんだろう。海の男ではな

          『海のうた』 左右社 所感

          ジャクソンフルーツ

          朝ごはんラーメンにする酒粕と生姜と味噌と黒ゴマを入れ 策謀を尽くし定時で退勤しキレイキレイで消毒をする 平日の古書店街を歩いたら派手な上着の手品師がいる 私信でも記せぬ気持ち週末のまんまる餃子みたいな至福 ケーキよりドライアイスが気になって市営団地に霧雨の降る 外海を漂うシャチが夢を見る三千マイル先の浮き橋 人材の宝庫などなく土くれを捏ねるが如く育てる主任 お砂糖と優しさをだかだか入れた甘すぎる珈琲の贖罪 婆ちゃんが他言無用と前置きし秘密を皆に打ち明けている 文旦と同じ価格で

          我以外皆和菓子

          ハリケーン・ボルトで石橋をたたく 大猿の風車手裏剣夏来たる 自転車に乗ればおぬしもドライバー 葉桜やハローワークにも山師 パーやんの脱税テクや月日星 マシュマロで誤魔化されてる業平忌 ぽんこつのロボットと見る日雷 パーやんがパソナと組んで金魚売り 水無月やタイマン張ればロボダッチ 我以外皆和菓子すか桜桃忌

          窮鼠日記70 モリャー店長のみやげ物(ミクシィに過去に書いた日記)

          2008年12月22日17:23 モリャー店長が、沖縄旅行の土産に、シーサーを買って来てくれた。何故かバナナに乗っているところがいい。部屋の飾り物にしよう。魔除けにしよう。

          窮鼠日記70 モリャー店長のみやげ物(ミクシィに過去に書いた日記)

          窮鼠日記69 電車通勤(ミクシィに過去に書いた日記)

          2008年11月23日20:18 上石神井の店に異動になったので、今は電車通勤をしている。 (所沢に通ってた時は、スクーターを使ってた) 電車の中で勉強しようと思って、MP3レコーダーを買った。この機械は便利だ! この機械にラジオ中国語口座の放送録音を入れて、毎日聞いている。まだ使いこなせてないが、この韓国製のレコーダー、FMラジオとボイスレコーダー機能もついてるらしい。 これらも早く設定を終わらせて、情報収集に役立てたい。

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          窮鼠日記68 白い悪魔(ミクシィに過去に書いた日記)

          太平燕(タイピーエン)という新メニューが勤め先の店で始まった。これは春雨をゆでた上にトンコツ野菜スープをかけるという、タンメンの、麺を春雨に入れ替えたような品なのだが、この春雨麺のしこみが面倒なのだ。所沢の店では発売開始当時、一日で70食以上売れ、この春雨を180グラムずつに分けて小袋に詰める作業がエンエンなされるわけだが、ゆでた春雨の麺をつかんでビニール袋に詰めるのが相当大変で、所沢店では、この春雨麺のこと、あるいは春雨麺の仕込み作業のことを白い悪魔と呼んでいるのだ。 『白

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          窮鼠日記67 がんばれベアーズ状態(ミクシィに過去に書いた日記)

          2008年11月04日22:36 ひと昔まえのアメリカの映画で、『がんばれベアーズ』ゆうのがあって、ベアーズというのは子供らの野球チームの名前で、やる気なしの野球下手の子供らが寄り集まってるクズチームで、そこの監督に元マイナーリーグの有名選手が、急激に就任するのだが、その監督も実はグダグダの飲んだくれで、もうどうしようもないダメダメ状態で、チーム解散の危機となるのだが、何とか建て直してみたろやんけ!と弱小チームが逆境の連続にぶつかりながら、苦しみつつ、我慢して少しずつ成長して

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          窮鼠日記66 XLの男(ミクシィに過去に書いた日記)

          2008年09月27日01:09 所沢店に中途採用の人が体験入社の形で配属される、ゆうことでユニフォームを用意。かなりガタイがいいとのことでXLサイズを揃えた。 ひさびさの新鮮ばなしだったので、どんな人ですねん?この前あいさつに来てたけど、好青年でしたよ!ほんまですか?長くいてくれるといいですねー、などとスタッフの皆と明るい未来を夢にえがき、はしゃいでいたのだった。 しかし…社員が一人増えるということは、やはりオレの異動は近いのだろうか?と現実的推測をめぐらせていたのだが、X

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          窮鼠日記65 165kgが!(ミクシィに過去に書いた日記)

          2008年08月06日22:18 最近驚いたことが二つあり、ひとつは、今は無きまんぷく食堂で『笑っていいとも』を観てたら昔解散したはずの芸人コンビの一人に酷似したタレントが出ていて、後で調べたらジャリズムの渡辺あつむだったこと。 解散した後放送作家になったという噂を聞いてそれっきりだったが、最近ジャリズムも再結成し、さらにソロで『世界のナベアツ』という芸名でタレント活動もしてるらしい。昔関西に住んでいた時に、ジャリズムのコントで息が止まるぐらい笑わされた思い出があり、渡辺あつ

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          窮鼠日記64 義経(ミクシィに過去に書いた日記)

          2008年07月22日10:18 最近司馬遼太郎の『義経』を読んでいる。所沢店の有能な先輩社員が他店異動になったり、ヤングサンデーが休刊したり、ガソリンが高騰したりで現実世界がシビアすぎるので、源氏、平家とかが台頭してた昔の話を読むことで、気分転換を図っているのだ! 近所の激安店・まんぷく食堂が売り上げ不振でつぶれてしまったのも打撃だった。いつ行ってもガラ空きなので、休みのたびに利用してたのだが残念。その副作用として、今、やはり近くにある東大和の店が忙しいらしい。 東大和店の

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          窮鼠日記63 めちゃ速サチ太郎(ミクシィに過去に書いた日記)

          2008年06月14日13:37 昨日の東大和の店の夕方は忙しかった。最近給料日だろうがハナ金だろうがヒマ、ヒマ、ほんまにヒマという期間が長かったが、昨日は団体客が襲来して視界がダイダイ色になるほど高速で働いた。咳止めの風邪薬を呑みたかったが、それどころではなかった。中盤では自分で麺をゆで麺器にブチ込んだものの、どれが何ラーメンの麺なのか、見失ってしまうほどに、最もやりづらい配列での集中オーダーにホンロウされまくった。 それでも、これまでの生涯37年間で出してきたスピードを、

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