第三話 オババの灯台 - 「BARREL」#週刊少年マガジン原作大賞
ろうそくのような灯台のてっぺんにあるオババのまんまるい部屋には、囲炉裏が焚いてあったが、強い潮風に曝されているからか、それほど暑くはなかった。電気がまだ通っていないここには昔ながらの生活が営まれている。
まだ水樹たちが幼かったころ、熱心に夜更けまでアメリカンノックをしてくれたオババも、いまはすっかり足腰が弱くなり、崖のうえに聳える灯台からの急階段を下ることはできないのだという。また震災によっても階段は崩れ、たとえ健脚であろうと登るのにも下るのにも難渋した。
ここを「死に場所」