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芥川賞バリ山行の魅力は何と言ってもE

今回はnote初、読書感想を投稿いたします。

2024年上半期芥川賞受賞作
バリ山行はもうお読みになられましたでしょうか?

Xやこのnoteでもたくさんの方が感想を投稿されており、私はできるだけ読まないようにしていました。やはり先入観を持ちたくないのと自分で魅力を発掘したかったからです。

もしまだ読んでいない方で、私と同じく先入観なしで読みたい方は、ここから先は読まないでください。(笑)

ここから以下の投稿は、
読まないと決めている方
読書に時間を使いたくない方
いつか機会があれば読むかも?
と思ってる方に是非お付き合いいただきたく。

会社員小説
読みやすい
山への興味

これは読み終えた人の感想にある共通のキーワードです。

ひとつめの会社員小説ですが、主人公の職場の山登りサークルから発展していき、軸は会社に置かれ、その人間関係、立場、環境、リストラ、そして家庭生活など会社員の方には非常に共感しやすい設定となっています。
ただ半沢直樹のような、上昇志向、正義、世直し的なものではなく、どこの会社にもありえそうな、決して他人事にならない、ほどよい設定が、よりリアルさを増しています。

二つ目の読みやすさは
芥川賞という括りでみた場合、文章における表現方法がかなり重厚で、しっかり噛み締めなければ腹落ちしない、又はその逆に噛み締めると読むスピードが落ち、時間がかかりすぎてしまう。そういった傾向が強いこれまての受賞作品に対し、本作はエンターテイメントを前面に押し出している分、前へ前へと否が応でも引っ張られていきます。決して文章がスカスカだという意味ではありません。ストーリーが娯楽に満ちているため、読書の気持ちが自ずとアップダウンされ引き込まれてしまうのです。
個人的にはこれまでの芥川賞の中でも、三本の指に入れたい作品です。川上未映子さんの乳と卵、又吉直樹さんの火花、村田沙耶香さんのコンビニ人間、あ、四本目でしたね。失礼しました。

小説に大切な要素は、ストーリーと登場人物が絶妙に絡み合うことだと思います。私はストーリー、つまり題材も大切だと思う反面、登場人物、キャラクターの方にいつも意識が傾いてしまうのです。読み終えた後どうでしたか?と問われると、まず登場人物の顔がぱっと浮かびます。と言っても小説だから顔はないんですが、勝手な想像になります。しかもその顔は役者さんの時もありますが、身近にいる人の顔をイメージしてることもあります。一人称小説の場合は、どうしても語り手の作者さんの顔が過ってしまいます。それはそれでいいと思います。何故なら作者さんの分身も必ずどこかに投影しているため、避けられないことだと思うからです。

あと最後三つ目の山への興味
人生で山に触れないことって絶対にないですよね?遠足、ドライブ、デートの場所、または自宅が山の中にある人もいたりと、山や川に触れてこなかった人などこの世に存在しないことでしょう。より山のことを知りたい人は、山登りが好きになり、そこからは好き嫌いというか、興味があるかないかに、わかれていくと思います。どちらかというと、山登りへ興味を持つ人の方が、少ないのではないかといった印象です。もしきっかけさえあれば、いつでも始められる気軽さもあると思いますが、我々に山登りの楽しさがどこにあるのかをもっと教えてくれれば、きっと山活人口は増えるような気がします。
本作バリ山行では、主人公が次第に玄人視点になっていくものの、読書はそれよりも、達成感、つまり山登りをすることによって、どんな達成感を得られるのか、その興味へと別軸で引き込まれてしまっているような気がします。これに関して私は、作者の熱く、深い山愛を感じてなりません。

本当のことを言うと、読み終えた後の感想は、
おーーーきたーーー!おもろーー!
こんな感じでした。(笑)

何がきたのかというと、やる気、みたいな沸々と起こる衝動です。何をやるのかというと、私も小説家の端くれの端くれ、こんな面白い作品を書くぞという動機付け、そこには人に喜んでもらうためのエンターテイメントのEがあり、作者自身のサービス精神と作品にかける情熱が必要だと、めちゃくちゃ感化されたのです。

本当はこのような分析投稿などしたくなかったのですが、やはりより多くの人に読んでほしいため、ネタバレにならない程度に感想を述べた次第でございます。


是非本作を読了した人とは、一緒に山登りしたいですね。でも私、鞍馬寺の奥鞍馬までで、ゼーゼー言ってるんですが、大丈夫ですかね?


ここまで読んでいただきありがとうございます。

#芥川賞 #バリ山行 #読書 #読書感想  

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