三編 柚菜

読んだ本や、その他小説に関することを自由気ままに綴っていこうと思います📚

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小匙の書室1 簡単な自己紹介

 本が好きだ。  正確には小説が、それも文芸やミステリが好きだ。  どうも、初めまして。  私、三編柚菜と申します。  本格的に読書を始めて、はや四年。  すっかり本棚に囲まれて最期を迎えたいと思うほど、本の世界にのめり込んでいます。  さて。  先述のとおり私は小説が好き、なのですが。  「好きだ」「好きだ」と餌に群がる鯉みたいに喚いていても、所詮は数多いる読者の一人の小さな声でしかないわけで。  それでも溢れてやまない気持ちを我慢できず、とうとうブログに手をつけるに

    • 小匙の書室270 ─QJKJQ─

       その一家は、全員が猟奇殺人鬼である。  それぞれに“その者”としての行動学がある。  家族の長女・アリアは、ある日、自宅で惨殺された兄を見つける。彼女はやがて、自身の父に疑いの目を向けるのだが──。  〜はじまりに〜 佐藤究 著  QJKJQ  第62回江戸川乱歩賞受賞作。  著者の作品はこれが初読みです。  とはいえ、「この作品から著者を知っていこう」と思ったわけではなく──。  私はまず、(文庫化を機に)第165回直木賞受賞作『テスカトリポカ』を読もうと思ったので

      • 小匙の書室269 ─バーニング・ダンサー─

         二年前、落下した隕石により発現した『コトダマ遣い』。コトダマ遣いである刑事・永嶺は、過去の疵を抱えながらも、新設された『警視庁公安部公安第五課 コトダマ犯罪調査課』通称【SWORD】へ移る。  そして配属初日、『コトダマ遣い』の犯罪としか思えぬ事件が起きて──。  〜はじまりに〜 阿津川辰海 著  バーニング・ダンサー  私の好きな作家の一人である、阿津川先生。  著作の一つ『阿津川辰海 読書日記 かくしてミステリー作家は語る〈新鋭奮闘編〉』は第23回本格ミステリ大賞を

        • 小匙の書室268 ─明智小五郎事件簿Ⅰ─

           江戸川乱歩作品の中でも屈指の人気を誇る、明智小五郎シリーズ。それを事件の発生順に並べた、コレクション的一冊。第一弾。  「D坂の殺人事件」「幽霊」「黒手組」「心理試験」「屋根裏の散歩者」を収録──。  〜はじまりに〜 江戸川乱歩 著  明智小五郎事件簿Ⅰ  人間椅子、パノラマ島綺譚に続き、巨匠の作品に触れること第三弾。  今回の主軸はかの有名な探偵『明智小五郎』!  いやもうほんと、名前からして既に素敵ですよね。ミステリ好きならば知らない人はいない……わけですが、その実

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        小匙の書室1 簡単な自己紹介

          小匙の書室267 BUN-1グランプリ2024

           漫才の頂点を決める、M-1  一人話芸の頂点を決める、R-1  そして、  それが、BUN-1なのです!  文壇には芥川賞や直木賞のほか本屋大賞、山本周五郎賞、三島由紀夫賞、日本推理作家協会賞、本格ミステリ大賞……などなど挙げ出したらキリがないほどたくさんの賞がありますよね。  でも、それらのレースに参加する作品はいわゆる新人作家であったり中堅作家でも発売から一年以内だったりと、“今”の文壇を盛り上げてくれるラインナップになっているのです。  そんなおり開催されるの

          小匙の書室267 BUN-1グランプリ2024

          小匙の書室266 ─パノラマ島綺譚─

           売れないもの書きの人見。彼は孤独の味を啜りながら、独特の理想郷を夢想していた。  そんなとき、自分と瓜二つの富豪の訃報を聞き、人見はある恐ろしい企てを思いつく──。  表題作の他、惨くもある種の美しさを刻む余韻が忘れられない中篇『石榴』を収録。  〜はじまりに〜 江戸川乱歩 著  パノラマ島綺譚  以前に読んだ『人間椅子』を起点に、江戸川乱歩作品に少しでも触れてみようと思い立った私。  積読を探り、『明智小五郎事件簿1』『屋根裏の散歩者』を横目に本作を手に取ったのは、パ

          小匙の書室266 ─パノラマ島綺譚─

          小匙の書室265 ─人間椅子─

           醜い椅子職人が潜むのは、美しい夫人の住う屋敷に納品された椅子である。彼は次第に淫靡な感触に耽溺しながら、やがて女との接触を試みるが──。  ミステリの巨匠が描く、奇しくも蠱惑的な短編集──。  〜はじまりに〜 江戸川乱歩 著  人間椅子  ミステリが好きで、その名を知らぬ者はいない大巨匠・江戸川乱歩。江戸川、と聞くだけで反応してしまうくらいには、私の中で強く印象に刻まれている大作家なのです。  ──とはいえ、その作品のどれかを読んだことがあるのかと問われれば、私は首を

          小匙の書室265 ─人間椅子─

          小匙の書室264 メフィスト2024 SPRING VOL.11

           〜はじまりに〜 講談社  メフィスト2024 SPRING VOL.11  隔月刊行誌『メフィスト』も、前回で二桁巻数突破。  その間にいろんな作品が連載されて上梓されてきました。連載を読むこともそうだけれど、グッズの販売やオンラインイベントなど、常に楽しい時間をお届けしてくれるので、私としては毎日が退屈にならなくて済むのでありがたいです。  さて今回、連載作品のほとんどが佳境を迎えていきます。  ここまでメモを取りながら読んできましたが、「いよいよバラバラの事実が有

          小匙の書室264 メフィスト2024 SPRING VOL.11

          小匙の書室263 ─名探偵じゃなくても─

           密室からの消失。泣いている死体。連続自死未遂──。  孫娘である楓や我妻の持ち込む謎を解き明かすのは、レビー小体型認知症の祖父(通称・碑文谷)。  しかし時計の針は、祖父の症状を一進一退にさせながら刻み続け……。  〜はじまりに〜 小西マサテル 著  名探偵じゃなくても  第21回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作『名探偵のままでいて』の続編。  安楽椅子探偵である認知症の祖父と、彼に謎を持ち込む孫娘が織り成すミステリ。前作は謎解きの質もさることながら、人間ドラマの

          小匙の書室263 ─名探偵じゃなくても─

          小匙の書室262 ─ときときチャンネル 宇宙飲んでみた─

           配信サービスで《ときときチャンネル》を始めた十時さくら。目指すは収益化&登録者1000人!  彼女は同居人・多田羅未貴の発明を紹介することで、その望みを叶えようとし──。  〜はじまりに〜 宮澤伊織 著  ときときチャンネル 宇宙飲んでみた  『全編配信口調と視聴者コメントで語られる、新感覚の配信者SF!』というあらすじ、そして推薦者に私の好きな作家・青崎有吾氏がいるとあっては、読んでみない手はない!(あ、あとは、「たまにはSFを読んでみたいけれど、ビギナーにも優しいの

          小匙の書室262 ─ときときチャンネル 宇宙飲んでみた─

          小匙の書室261 ─星を継ぐもの─

           月面で発見された死体。  緻密な調査の結果、身元の不明さはおろか、五万年前に死亡していることが判明する。  この謎に挑むハント博士が掴むこととなった、ルナリアンの真実とは──。  〜はじまりに〜 ジェイムズ・P・ホーガン 著  星を継ぐもの  普段から文芸やミステリを嗜み、SFに馴染みのない私でもそのタイトルは知っていました。そのくらいに有名作(あるいは不朽の名作)であるのが、この『星を継ぐもの』なのです。  「いつかは読んでみたい」と思っていたところ、昨年新版が刊行さ

          小匙の書室261 ─星を継ぐもの─

          8/14、『第17回福ミス 第1次選考通過作品(3回目)』が発表されました。 今回あらたに加わったのはひと作品。 【しおちゃんこの歌(永野 茜)】 ……塩ちゃんこ? 力士が絡むミステリ? それとも造語? 等々、これまた想像が膨らみますね。 九月の2次選考が楽しみです🦇

          8/14、『第17回福ミス 第1次選考通過作品(3回目)』が発表されました。 今回あらたに加わったのはひと作品。 【しおちゃんこの歌(永野 茜)】 ……塩ちゃんこ? 力士が絡むミステリ? それとも造語? 等々、これまた想像が膨らみますね。 九月の2次選考が楽しみです🦇

          小匙の書室260 ─三体Ⅲ 死神永生 下─

           暗黒森林理論。それは宇宙の本質。  過酷な運命を背負いながら、それでも人類のために歩み続けてきた程心。  迎える新紀元、新たな脅威、迎える終結。  収斂の果てに彼女たちが見る景色は──。  〜はじまりに〜 劉慈欣 著  三体Ⅲ 死神永生 下  ⇩上巻の感想は以下の記事をご覧ください⇩  さて、ついに三部作完結編の掉尾を飾る下巻へ突入しました。  三体、三体Ⅱ、そして三体Ⅲ上で大きく広げてきた、人類と三体人との生き残りをかけた戦い。  巻ごとにそれぞれ違った味わいがあり

          小匙の書室260 ─三体Ⅲ 死神永生 下─

          小匙の書室259 ─三体Ⅲ 死神永生 上─

           ベストセラー三部作、ついに完結。  三体世界に対抗するため、敵艦隊にスパイを送る『階梯計画』。その実現を導いた程心、そして計画の鍵を握る雲天明。  二人の運命は宇宙を巻き込んで動いていく──。  〜はじまりに〜 劉慈欣 著  三体Ⅲ 死神永生  「SFってこんなに面白かったんだ!」という発見と喜びを与えてくれた前作『三体Ⅱ 黒暗森林』。  それから私は本作が文庫化されるのをずっと心待ちにしていました。  ──そして発売週には書店へ足を運び、一気に作品の世界観へ入り込むた

          小匙の書室259 ─三体Ⅲ 死神永生 上─

          小匙の書室258 ─犯人のいない殺人の夜─

           岸田家で殺人事件が起きた。しかしそこには犯人も死体も、いない──?  その表題作を含め、人間の欲望を抽出した全七篇で送る珠玉の短編集がここに。  〜はじまりに〜 東野圭吾 著  犯人のいない殺人の夜  タイトルが気になっていたけれど、なかなか読む機会を設けられなかった作品。  ガリレオ、新参者、マスカレード、魔女シリーズをある程度読み終えたことで、ようやく著者の他作品にも手を伸ばせる余裕が生まれている私(実は以前読んだ『むかし僕が死んだ家』も、そうした理由があって手に取

          小匙の書室258 ─犯人のいない殺人の夜─

          小匙の書室257 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞 一次通過作(2回目)

           一次通過作発表の2回目……2回目?  8/7に福ミスの公式Xで投稿されたポストに、私は一瞬、混乱しました。  なんといっても二次通過作の発表ではなく、二度目の一次通過作発表が行われたのですから。  これは何かというと、既存の一次通過22作品に加え、  ・メシアの十三階段(相沢くろす)  ・失意の星座(大和川義之)  の2作品が通過作となったのです。  そして8月中旬には3回目の一次選考が行われ、同時に最終一次選考結果もまた発表……と、私が知る他の賞と比べて二次へ進め

          小匙の書室257 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞 一次通過作(2回目)