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ふしぎでうつくしい『翻訳できない世界のことば』/エラ・

 あなたは、言葉の魔法に心奪われたことはありますか?

 日常で何気なく使っている言葉。でも、世界には日本語では一言で表せない、不思議な魅力を持った言葉がたくさん存在します。

 日本語にそのまま置き換えることが難しいだけでなく、その背景にある文価値観を知ると、さらに奥深い意味が見えてきます。

 そんな、世界の美しい言葉を美しいイラストと共に紹介する本、それが『翻訳できない世界のことば』です。

 この本は、エラ・フランシス・サンダースによって書かれた書籍で、世界中の様々な言語に存在する、他の言語に直接翻訳できないユニークな単語やフレーズを紹介しています。

 言葉の魔法に触れ、世界を広げていくために紹介していきます!


『翻訳できない世界のことば』は、世界中の言語に存在する、他の言語に直接翻訳できないユニークな単語やフレーズを紹介するだけでなく、その言葉が生まれた背景にある文化や価値観、自然環境、歴史などを深く掘り下げています。

各章の内容

  • 感情

 喜び、悲しみ、怒り、愛、孤独など、人間の複雑な感情を表す言葉が紹介される

 例えば、ポルトガル語の「Saudade(サウダーデ)」は、不在の人や場所、時間への強い憧れや切なさを表す言葉で、日本語の「懐かしい」とは少し異なるニュアンスを持つという

  • 自然

 風、雨、太陽、月、星など、自然現象を表す言葉について紹介されている

 例えば、スウェーデン語の「Mångata(モーンガータ)」は、月の光が水面に映ってできる道のような光を意味し、自然の美しさに対する感性を表す

  • 人間関係

 家族、友人、恋人、他人との関係性を表す言葉が紹介される

 例えば、ドイツ語の「Geborgenheit(ゲボアゲンハイト)」は、安全で安心できる場所や状況、人間関係における深い信頼感を表す言葉で、日本語の「安心感」よりも温かさや包容力を感じさせるニュアンス

  • 文化

 宗教、芸術、習慣、祭りなど、文化的な活動を表現する言葉が紹介されていいる

 例えば、日本語の「侘び寂び」は、簡素で静寂な美しさ、不完全さの中にある美しさ、時間の流れや変化を受け入れる美意識を表す言葉で、日本の文化を象徴する言葉の一つ

  • 食べ物

  各国の食文化を反映した、食べ物や食事に関する言葉が紹介されています。

 例えば、イタリア語の「Abbiocco(アビオッコ)」は、食後に感じる眠気やだるさを表す言葉で、イタリア人の食生活やライフスタイルを垣間見ることができる

  • 習慣

 日常生活における習慣や行動を表す言葉が紹介されていました。

 例えば、インドネシア語の「Jayus(ジャユス)」は、面白くないジョークを聞いたときに感じる気まずさや、笑うべきか迷う状況を表す言葉で、ユーモアに対する文化的な違いを反映されていた

  • 人生観

  生と死、時間、幸福など、人生に関する考え方や価値観を表す言葉が紹介されていた

 例えば、デンマーク語の「Hygge(ヒュッゲ)」は、心地よい雰囲気や居心地の良さ、温かい人間関係、幸福感などを表す言葉で、デンマーク人のライフスタイルや幸福観を象徴

ほかにもこんな魅力が

 各単語には、美しいイラスト、詳細な解説がついています。こんな感じの本です。

 これらの単語やフレーズは、文化や歴史、自然環境、考え方など、その言語が使われる社会の背景と深く結びついています。そのため、他の言語に置き換えることが難しいだけでなく、その言葉が生まれた背景を知ることで、その文化や社会への理解を深めることができました!

感想

 普段何気なく使っている言葉も、他の言語では一言で表せないような独特のニュアンスや感情を含んでいることに驚かされます。

 これらの単語やフレーズは、文化や歴史、自然環境、考え方など、その言語が使われる社会の背景と深く結びついています。
 ゆえに、他の言語に置き換えることは難しいのですが、その言葉が生まれた背景を知ることで、その文化や社会への理解を深めることができるんです!

 特に印象に残ったのは、何度も書きますがドイツ語の「Waldeinsamkeit」という言葉です。森の中で一人でいるときに感じる、孤独でありながらも穏やかで満たされた感情を表すこの言葉は、日本語では簡単に言い表せない複雑な感情を見事に表現しています。

 また、各単語に添えられた美しいイラストも魅力的です。言葉の意味を視覚的に捉えることができるだけでなく、イラストを通してその言葉が生まれた背景にある文化や自然を感じることができます。

 日本語の「木漏れ日」や「侘び寂び」が選ばれているのも興味深かったです。私たち日本人にとっては当たり前の言葉ですが、海外の人々にとっては新鮮で魅力的に映るのかもしれません。

 この本を読むことで、言葉は単なるコミュニケーションツールではなく、文化や歴史、価値観を反映したものであることを改めて実感しました。

 異なる文化の言葉に触れることは、自分の視野を広げ、世界をより深く理解するきっかけになると思います。

 人間は言葉で事物をさぐり、言葉でものを考え、言葉で気持ちを伝えます。ですが、言葉は時に堅牢な障壁となってわたしたちの前に立ちはだかります。とくに五感による体験や、複雑に生起する情動を、言語化することは難しい……。
 noteを書きながら、わたしも日々感じていることです。

 言葉に興味のある人だけでなく、異文化理解を深めたい人、美しいイラストやデザインが好きな人にもおすすめの1冊です。

日本語では伝えきれない、世界の美しい言葉と文化がここにあります!

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