マガジンのカバー画像

出版

87
運営しているクリエイター

#読書メモ

2020年の漫画界を傑作と共に振り返る 第一回(予定)

いろいろな意味で、とんでもなく印象深い一年間となった2020年。

漫画界の話題は鬼滅の刃に全て持っていかれた…、という感じですが、
その影では、たくさんの傑作も続々と生まれました。

特に印象に残っている作品をピックアップしつつ、漫画界全体についても振り返っていけたらと思っています。

■勇者の「その後の日常」を描く傑作2本2020年の夏に単行本1巻が発売された『そのへんのアクタ』『葬送のフリー

もっとみる
漫画家マンガの新しい傑作2本 『チェイサー』『マンガに、編集って必要ですか? 』

漫画家マンガの新しい傑作2本 『チェイサー』『マンガに、編集って必要ですか? 』

近年、『バクマン』『アオイホノオ』などなど傑作が次々と生まれ、もはや一ジャンルと化した感のある「漫画家マンガ」。

最近読んだ2作品も、それぞれ独自の道を切り拓いた印象を受ける傑作でした。

■「量」の観点から手塚治虫の天才ぶりを描く『チェイサー』手塚治虫の背中を徹底的に追い続ける漫画家が主人公の『チェイサー』(コージィ城倉)は、全6巻。

テンポが『グラゼニ』っぽいなと思ったら、森高夕次さんとコ

もっとみる
特に印象に残ってる【漫画】:読書メモ2020年5月 事情を知らない無能な新婚旅行

特に印象に残ってる【漫画】:読書メモ2020年5月 事情を知らない無能な新婚旅行

漫画はどれも面白い。
ということで、今月も「特に」印象に残っているものをピックアップしていきます。

傑作。

設定を読めば内容も構成も想像でき、
正直、あまり期待してなかったのですが、
人物の描き方も、展開も見事です。

全国の小学校の図書室に設置すべき作品です!

宝島社の「このマンガがすごい!」に選ばれるだけのことはあります。

でも、私が読んだのはまだ一巻。
この先、どう展開していくのか気

もっとみる
好著『遅いインターネット』 魅力的な嘘を「信じたい」人たちを図解する

好著『遅いインターネット』 魅力的な嘘を「信じたい」人たちを図解する

アメリカ大統領・トランプを支持する人たちの心情とは、一体どういうものなのか、ずっと理解できずにいました。

もちろん、「保守的なブルーカラー層」「ラストベルト」「職を奪われた白人層」など、一般的に言われていることは把握しています。
理屈としてはもちろん分かる、でも何かしっくりこない…
そんな小骨が引っかかっているような状態が続いていました。

この本を読んだことで、ようやく腑に落ちました。

宇野

もっとみる
「混迷の2020年代カルチャー」を見通すための必読書『2010s』

「混迷の2020年代カルチャー」を見通すための必読書『2010s』

予想だにしないスタートとなった2020年代。

いつ、どのようにして収束するのか、まだ全く先が見えてきませんが、
ある程度落ち着いた後にも、私たちの生活に大きな影響を及ぼし続けることはまず間違いないでしょう。

社会、政治、経済はもちろんのこと、
映画、音楽、文学、漫画、アート等々、多くのカルチャーにも多大なる変革をもたらす可能性はかなり高いと考えられます。

暗い気分が湧いてきがちな日々だからこ

もっとみる
読書メモ2020年1月~2月:クールジャパンやキャッシュレスや社内起業など

読書メモ2020年1月~2月:クールジャパンやキャッシュレスや社内起業など

今年始めの二ヶ月に読んだ本から、いくつか挙げていきます。

海外ではジャーナリスト出身の投資家がよく見られる
179

なぜ日本ではあまり見られないのか、が気になります。
そのあたりの詳しい分析も読みたかったです。

本書に出てきた「にしなかバレー」「五反田バレー」が気になります。このウェブ記事が参考になります。

でも、下記にすごく納得。

CVCは自社の事業との相乗効果を重視するため採算は度外

もっとみる
「コンテンツが生きている状態」を作ろう:必読の一冊『オタク経済圏創世記』

「コンテンツが生きている状態」を作ろう:必読の一冊『オタク経済圏創世記』

今まさに、こういうことを求めていたんだ!

そんな本にタイミング良く出会えると、本当に嬉しくなります。

ウェブ記事 「ゲーム・アニメ産業が海外展開で必要なものとは」…ブシロード中山氏と文化人類学者三原氏が語る日系コンテンツの未来 がとても示唆に富む内容だったので、ここに登場する
ブシロード執行役員の中山淳雄さんの著書『オタク経済圏創世記 GAFAの次は2.5次元コミュニティが世界の主役になる件』

もっとみる
読書メモ:2019年11月

読書メモ:2019年11月

今月も、読んだ本から、いくつか記していきます。

巻末の著者と深津貴之さんの対談が一番面白かった。

ここをもっと膨らませて一冊にしてほしかったです。

「ビズケット」を主催してみたり、「文学フリマ」に出展してみたり、
リトルプリントの可能性に興味があるので、ぴったりの内容でした。

さっそく、ここに掲載されていた「EditNetプリンテック」で冊子を作ってみました。サポートもしっかりしてるし、オ

もっとみる
読書メモ:2019年10月

読書メモ:2019年10月

今月も、読んだ本から、いくつか記していきます。

「うわ! この本、めちゃくちゃ面白い!」
はじめの数十ページで完全につかまれましれた。

そして、ワクワクしながら一気に読み進めました。

・・・あんまり面白くなかった。。。

駄作、とまでは言いません。書いてあることは、ごくごく平凡です。

ただ、さすが広告マン? 導入の惹きつけ方は本当に見事なのです。
だからこそ、高低差で、読み終えた後は、すご

もっとみる
悔しいけど、編集者から見て、「編集も完璧」な本

悔しいけど、編集者から見て、「編集も完璧」な本

編集者、という仕事柄、
物語の作り方、みたいなテーマの本に対しては
どうしても見る目が厳しくなってしまいます。

仮にも、プロの漫画家さんや作家さんに、
「ここをこうしたほうが、もっと物語が動き出すと思います」とか「ここは思い切って、丸ごと削ってしまったほうがいいんじゃないでしょうか」とか、意見するようなことを日々やっているわけです。

物語の構成や創作術みたいなものは、それ相応には、学んできてい

もっとみる
読書メモ:2019年9月

読書メモ:2019年9月

9月に読んだ本から、いくつか紹介していきます。

>>> 良かった本、面白かった本はこちらをご覧ください。

とても丁寧に、余すところ無く記そうとしている姿勢が好感の持てる一冊。何度も読み返すことになりそう。

前から気になっていた本、ようやく読めました。

正直なところ、あまり新しい発見はなかったです。

「だよね。そういうことを僕はやってきたんだよね」という確認ができた、という点では得るものも

もっとみる
良かった本、面白かった本:読書メモ 2019年7月~9月

良かった本、面白かった本:読書メモ 2019年7月~9月

三ヶ月間に読んだ本の中から、良かった本を記していきます。

すごい本。

いろいろ書きたいので、別途、記します。
→ こちらの記事に記しました。
悔しいけど、編集者から見て、「編集も完璧」な本

これまでバラバラに、なんとなく知っていたような知識が、体系立ってつながり理解できる本。

あまりに面白かったんで、西洋版を読み始めたのがこちら。

これもやたら面白いし、役立つ。

まとめかたもすばらしい

もっとみる
読書メモ・2019年6月

読書メモ・2019年6月

6月に読んだ本で、印象に残っている本をメモしていきます。

前から気になってたテンセントの概略を知ることができてよかった。

でも、GAFAは既知のことばかり。対比していく意図は分かるのだけど、GAFAについて書かれた本は多々あるので、もっとBATHの分量を増やしてほしかった。

めちゃくちゃ面白かった。

会社の資料室で借りて読んだのだけど、これは購入して再読しよう。

これも、最高に面白かった

もっとみる
「お金のエンタメ化」論が、やっと日の目を見ました(笑)

「お金のエンタメ化」論が、やっと日の目を見ました(笑)

村上 世彰さんと、西原 理恵子さんの共著
『生涯投資家vs生涯漫画家 世界で一番カンタンな投資とお金の話』
56ページで「お金のエンタメ化」について話している
「担当の編集さん」
これは、わたくしなんです。えへん。

仮想通貨、なんて言葉が全然一般的でなかった2010年ごろから、ずっと
電子マネーはエンタメ化していく
と言い続けているのですが、
やっと日の目を見ました。笑

村上さんはあんまり食い

もっとみる