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【読書記録】シリーズ

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読んだ本の簡単なまとめと感想を載せています。 自分ならではの考え方を出していると思うので、読んでいただける(かつ反応をしていただける)と非常に嬉しいです! 専門書ばかり載せてます… もっと読む
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記事一覧

【読書記録】『SDGs表現論ープロジェクト・プラグマティズム・ジブンゴト』

【読書記録】『SDGs表現論ープロジェクト・プラグマティズム・ジブンゴト』



『SDGs表現論ープロジェクト・プラグマティズム・ジブンゴト』

2030年に解決すべき社会課題をまとめた世界を変える17の目標、SDGsの達成は、みんながジブンゴトとして、マイプロジェクトを見つけて取り組んでいく必要がある。SDGsは包摂性を前提としているので、自分の興味関心はSDGsの何かしらには関係してくる。SDGsの基本理念は、誰一人取り残されないというもの。筆者らは読者に、マイプロジ

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【読書記録】『語彙力を鍛える 量と質を高めるトレーニング』

【読書記録】『語彙力を鍛える 量と質を高めるトレーニング』



『語彙力を鍛える 量と質を高めるトレーニング』

思考力は言語力に規定され、言語力の基礎になるのが語彙力なのだという筆者が、語彙力を「量」と「質」の両方から高めるメソッドを伝える一冊。
筆者の主張は、語彙力=語彙の量(豊富な語彙知識)×語彙の質(精度の高い語彙運用)という等式に基づいている。

感想言葉を知っていれば表現できるものが増え、仕事や創作などでも相手を感心させられますが、反対に語彙が

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★【酔筆素読#12・読書番外】生き方それぞれ。趣味と仕事

★【酔筆素読#12・読書番外】生き方それぞれ。趣味と仕事

『中間管理録トネガワ』という漫画の最終巻に、仕事と人生について、「第一線で働き続けるビートたけし」と「趣味ややりたいことを楽しみ尽くす所ジョージ」の2種類があると説くシーンがあります。
要するに、仕事を第一に生きる(仕事以外は二の次)か、趣味を第一に生き(仕事は単なる手段)かの2種類です。

この表現に非常に惹かれたので、この記事で深堀りしていきたいと思います。

【仕事編】ガンガンはたらこうぜ

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【読書記録】『哲学ってどんなこと?ーとっても短い哲学入門ー』&『生きるための哲学』

【読書記録】『哲学ってどんなこと?ーとっても短い哲学入門ー』&『生きるための哲学』



『哲学ってどんなこと?ーとっても短い哲学入門ー』

 心と身、ことば、自由意志、正義、死、人生など、「世界と私たちの関係から直接生まれる」哲学的な問題について、哲学の初心者のための入門書。特定の思想を紹介するのではなく、哲学的な考え方を、代表的なものを中心に種まきしてくれる一冊。

哲学とは、非常に掴み所のない学問です。「哲学」という言葉を調べても、哲学に関する本を実際に読んでも、いまいちしっ

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【読書記録】『いのちを“つくって”もいいですかー生命科学のジレンマを考える哲学講義』

【読書記録】『いのちを“つくって”もいいですかー生命科学のジレンマを考える哲学講義』



『いのちを“つくって”もいいですかー生命科学のジレンマを考える哲学講義』

クローン羊の誕生によって生命倫理の危機を感じた筆者によって書かれた本書。バイオテクノロジーなどの生命科学が進歩することによって、出生前診断やエンハンスメント(治療を超えた身体の“改造”。デザイナーベビーやADHD児に対して向精神薬を処方する治療なども含む)、人間になるものとも言える胚を用いたES細胞といった、「いのちを

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【読書記録】『男が痴漢になる理由』

【読書記録】『男が痴漢になる理由』



『男が痴漢になる理由』

痴漢は性依存症であり、治療をする必要があると考える筆者(依存症者をケアするクリニックに勤める)による、おそらく日本初となる痴漢にクローズアップした一冊。痴漢は性暴力だが、日本社会は痴漢に対して満足いく対策をとれているとは言えない。そのためこの本では、痴漢をする人は至って普通の男性であること、痴漢の実態、彼らがなぜ痴漢行為に及び、何を得ているのかといった点を取り上げ、筆

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【読書記録】『はじめての不倫学 「社会問題」として考える』

【読書記録】『はじめての不倫学 「社会問題」として考える』



『はじめての不倫学 「社会問題」として考える』

不倫を個人の色恋沙汰、モラルの問題として捉えずに、子供の貧困や健康状態、家庭状況の悪化という社会問題の原因になるもの(=社会の問題)として捉える筆者が、不倫がなぜ起こるのかということと、不倫を予防するための処方箋を考える稀代の一冊。不倫ワクチンと筆者が呼ぶ、この様々な問題を引き起こすが、誰にでも起こりうる不倫を予防するための方法や可能性を、婚外

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★【読書記録】『Xジェンダー 日本における多様な性のあり方』

★【読書記録】『Xジェンダー 日本における多様な性のあり方』



『Xジェンダー 日本における多様な性のあり方』

本書においてXジェンダーは、「性自認を表す言葉の一種で、出生時に割り当てられた男性もしくは女性の性別のいずれかに二分された性の自覚を持たず、自己の性別に関し、男女どちらでもない、あるいは男女どちらでもある、さらにはそれすらもどちらでもないといった認識を自己の性に対してもっている人々のことを指す日本独自の呼称」とされている。Xジェンダーとは性自認

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★【読書記録】『「男の娘」たち』

★【読書記録】『「男の娘」たち』



『「男の娘」たち』

あるきっかけからMtFの人と知り合いになり、自身もバイセクシャルであることからセクシャルマイノリティの人やジェンダーについて関心があり、勧められて女装もしていた筆者が、日本最大級の女装イベント「プロパガンダ」や、それに追随する形で現れた女装イベントや男の娘が店員となるお店、大学のイベントで女装子として活躍した人、埋没系(手術をしていないが、社会的に女性と認められている男性

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【読書記録】『〈男らしさ〉のゆくえ 男性文化の文化社会学』

【読書記録】『〈男らしさ〉のゆくえ 男性文化の文化社会学』



『〈男らしさ〉のゆくえ 男性文化の文化社会学』

〈男らしさ〉という、男性が当たり前のアイデンティティの拠り所として存在してきた社会、「男の時代」という神話が崩壊しようとしている。そのさなか、筆者は1970~1980年代は「女性問題の時代」であり、その深化とともに1990年代は「男性問題の時代」になると考えている。
そして筆者は、〈男らしさ〉に縛られた男性は、その「ひとつ」の性に縛られることな

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【読書記録】『女という快楽』

【読書記録】『女という快楽』



『女という快楽』

日本の女性学研究のトップに君臨し続ける上野千鶴子が、1980年前後に書いた論考や論文などを「女と男の関係の解放」をテーマにまとめあげた一冊。

少々官能的なタイトルだけれど、十中八九そういう内容では終始しないだろうと思っていました。実際その通りなのですが、「快楽」の意味は結局私の頭では理解できずに終わりました。ただ強いていうなら、筆者は女性であることを悲観するわけでもなく、

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【読書記録】『高校生のジェンダーとセクシュアリティーー自己決定による新しい共生社会のために』

【読書記録】『高校生のジェンダーとセクシュアリティーー自己決定による新しい共生社会のために』

『高校生のジェンダーとセクシュアリティーー自己決定による新しい共生社会のために』

高校生のジェンダー観や性教育の現状、性の知識についての調査やインタビューなどを通し、性と自己決定という点について考えていくアンソロジー。

感想ジェンダーやセクシュアリティについて書かれた本でまず確認しなければならないのが、その本がいつ出版されたか、ということです。ちなみにこの本は2002年出版です。

なぜかとい

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【読書記録】『文学は教育を変えられるか』

【読書記録】『文学は教育を変えられるか』



『文学は教育を変えられるか』

元高校教諭で歌人、俳人、評論家である著者による文学論・詩論・言語論・歌論・俳論・文学教育論集。例えば高校の国語の教科書に定番で載っている『山月記』について、「虎になってしまった主人公が昔の友人に思いを託す」であるとか「虎」などのメタファーの解釈など、表面的な読みに終わってしまっていること、評論に対して教師が筆者の主張だけを唯一の正解として紹介したり、単なる受験指

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【読書記録】『食べるな危険!! ファストフードがあなたをスーパーサイズ化する』

【読書記録】『食べるな危険!! ファストフードがあなたをスーパーサイズ化する』



『食べるな危険!! ファストフードがあなたをスーパーサイズ化する』

マクドナルドのメニューだけで1ヶ月間過ごすとどうなるのか?という実験を自らの体で行い、その内容をドキュメンタリー映画として監督したモーガン・スパーロックによる、追加取材と映画のメイキングの模様を収録した一冊。アメリカのファストフードに含まれる過剰な脂肪・塩分・糖分、食材として用いられている肉の製造工程の惨状の暴露や、子供に対

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