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歴史考察

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歴史について考察した記事をまとめています。
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#日本

インドネシアと南海の女王

インドネシアと南海の女王

海岸に緑色の服を着ていってはいけない…。

そんな言い伝えが
インドネシアの南の海岸にはあるそうです。
「ニャイ・ロロ・キドゥルの伝説」。

直訳すれば「南の(海の)女王様」です。
彼女の好きな色は緑色。

海岸で緑色の服を見つけると、
この女王は「自分の召使い」と思ったり、
「マイカラーを使われて嫉妬」したりして、
海にひきずりこむ、と言われています。
ジャワ島の南部、インド洋の海岸で
緑色の服

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「一国一城の主」精神 ~日本の自営業者の推移~

「一国一城の主」精神 ~日本の自営業者の推移~

日本の総雇用のうち、約1割は自営業者。
逆に言えば、約9割は自営業者ではない。
雇用されている、と言えます。

2024年の総人口は約1億2千万人台。
そのうちの労働人口は約6千万人。
この約1割、ですから、
「約6百万人」が自営業者です。
(ただし、家族従業者を含む数ですから、
真正の自営業者はもっと少なくなる)

読者の皆様はどう思われましたか?
思ったより多い? それとも少ない?

では、他

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歴史の描き方、生まれ方 ~世界史の誕生~

歴史の描き方、生まれ方 ~世界史の誕生~

個人、集団、一国、世界の歴史とは?

この四つを仮定してみます。

パーソナル・ヒストリーは、
ある一個人の歴史。
自分のヒストリーならマイ・ヒストリー。
「個人史」「自分史」になります。

これが集団ならワンチーム・ヒストリー。
「ある集団」のヒストリー。
家族、会社、学校、市町村、コミュニティ…。
個人ではなくなっていきます。

さらに広げると「国」単位。
日本で言えば「日本史」ですね!
ナシ

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江戸期に広まる「天工開物」~実は令和にも~

江戸期に広まる「天工開物」~実は令和にも~

天工開物。てんこうかいぶつ、と読む。
音だけ聞けば「てんこもりの怪物?!」と
勘違いをされそうですが、全く違います。
産業の技術書、百科事典のような本です。

書いたのは中国の昔の学者、宋応星。
そうおうせい。1590年頃~1650年頃の人。
1600年が日本で「関ヶ原の戦い」なので、
秀吉が天下統一した頃に生まれ、
江戸時代の最初の頃に亡くなった人です。

本記事ではこの「天工開物」に関する

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油淋鶏(ユーリンチー)のはるかな旅路

油淋鶏(ユーリンチー)のはるかな旅路

中華料理/中国料理ではおなじみ!
「ユーリンチー」という料理があります。
油淋鶏、と漢字で書く、
さて、読者の皆様はユーリンチーと聞いて、
どんな料理を思い浮かべますか?

ええ、私もほぼ同じです。
先日、油淋鶏を食べました。
とてもジューシーで美味しかった!

…ただですね、この現代日本の油淋鶏を
本場の中国の方が見ると、
ちょっと驚く、と言うのです。

本記事では油淋鶏の謎に迫っていきます。

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微笑と昼夜と造り変える力

微笑と昼夜と造り変える力

芥川龍之介の小説『神神の微笑』。
光瀬龍の小説『百億の昼と千億の夜』。

どちらも「龍」がつく二人の作家が、
世界の宗教、教え、その解釈について
「小説」という形で書いています。

本記事ではこの二作品を紹介しつつ、
日本文化の一断面を紹介していきましょう。

『神神の微笑』の主人公は、
宣教師でカトリック司祭である
オルガンティノです。
「宇留岸伴天連(うるがんばてれん)」と
多くの日本人から慕

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鉄砲と、キリスト教と、フィリピンと

鉄砲と、キリスト教と、フィリピンと

「戦国時代」は、日本史の転換点の一つです。

鉄砲とキリスト教が伝わった。
織田信長は「鉄砲の大量使用」と
「キリスト教徒の国との貿易」を行い、
天下布武に向けて、大きく前進した…。

戦国時代が終わることに
影響を与えた出来事ですよね!
ただ、もう少し広いスパンで考えた時、
この二つの出来事は、その後の日本史にも、
また世界史的にも大きな意味を持っている…。

本記事では、鉄砲とキリスト教の伝来

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50年ごとの世界史 ~近世から現代~

50年ごとの世界史 ~近世から現代~

本記事では50年ごとに「世界史」を
かいつまんで書いてみたい、と思います。
1600年「関ヶ原の戦い」の年から。

※それ以前の世界の各地域の歴史の記事は、
本記事の下部のリンクからぜひ!

では、早速。

◆1600年頃:欧州は戦国時代

ユーラシア大陸の「陸上」においては、
オスマン、サファヴィー、ムガル、
明・清など、巨大な帝国が繁栄していました。
西欧諸国は「海上から」
強い帝国の手が届き

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内省と開示の格差

内省と開示の格差

古い日本家屋には個室がない、と言われます。

囲炉裏を囲んで、みんなが一緒に過ごす…。
プライベートな空間は、基本、ありません。
もちろん「家長」ともなれば
専用の個室があったかもしれませんが、
子どものうちは雑魚寝、みんな一緒。

そんな環境の中では「個」が育つより、
「家」「集団の中の一人」という
意識が育つのは容易く想像できます。

本記事では「内省」「開示」について
歴史や地理、文化の面か

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油淋鶏(ユーリンチー)のはるかな旅路

油淋鶏(ユーリンチー)のはるかな旅路

中華料理/中国料理ではおなじみ!
「ユーリンチー」という料理があります。
油淋鶏、と漢字で書く、
さて、読者の皆様はユーリンチーと聞いて、
どんな料理を思い浮かべますか?

「…衣をつけて揚げた鶏肉で、
一口大に切ってあって、
ネギ風味の甘酸っぱいタレが
かかった食べ物、でしょうか?
揚げ鶏の香味だれ、と言ってもいいですね」

ええ、私もほぼ同じです。
先日、下の画像の油淋鶏を食べました。
とても

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ゲームとバレエと高級チョコと ~文化のテンパリング~

ゲームとバレエと高級チョコと ~文化のテンパリング~

一見、何のつながりもないものが
実は意外な共通点がある、ということは
世の中にはよくありますよね!

その共通点を探ることで
ものごとの意外な側面も
知ることができる…というもの。

本記事では、その事例の一つを
「探究学習」的なかたちで
ご紹介したい、と思います。

さて、すぐに謎を解いてしまっては
興が冷めます。
ぜひ、一緒に探究におつきあいを。

読者の皆様、この三つに共通することは
何だと

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1924年(大正13年)の日本と世界

1924年(大正13年)の日本と世界

本記事では、百年前を振り返ってみます!

日本では「甲子」の年に当たりました。
「甲・乙・丙…」の十干と、
「ね・うし・とら」などの十二支、
これを組み合わせて、六十通り!

「甲」は十干の最初で、
「子」も十二子の最初。
六十年に一回やってくる
縁起の良い年でした。

そこで、1924年にできた新球場に
この「甲子」の名が当てられます。
ご存知『阪神甲子園球場』です。

日本の政治においては、

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森鷗外、りんたろうの外遊と苦悩

森鷗外、りんたろうの外遊と苦悩

明治の文豪として夏目漱石と並び称される
森鷗外(もり おうがい)!

本名は、森林太郎。
しんりんたろう、ではなくて
「もり りんたろう」です。
木が多いですね。

ペンネームの「鷗外」の
由来には諸説がありますが、
「鷗」(かもめ)の「外」ですから、
空を飛ぶかもめに、
さまざまなしがらみに縛られた
自分を仮託して
自由に筆を執りたい、という気分が
込められているように思います。

(「かもめの

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伝説のプログラマー、空を駆ける

伝説のプログラマー、空を駆ける

ナーシャ・ジベリさん、という方がいる。

…この名前にピンとくる方は
プログラマー史に詳しい方か、
生粋のゲーマーかもしれません。

◆「FFのプログラミングをした人」

として(その筋では)有名な方です。
『FF』とは、ゲームの
「ファイナルファンタジー」。
このゲームシリーズの1~3、
シリーズ最初の頃の
プログラムを担当した方。

本記事では彼のキャリアを書きます。

1957年に、ジベリさ

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