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意味の図画と言葉の工作、このふたつで僕は文章をつくる

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図画とはクリエイティブであり、工作とはエンジニアリングである。実用に資する公的に正しい文章は、伝達と行動を企図した徹底的な他者志向から生まれる。 文化人や知識人は世の言葉の乱れ…
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2019年2月の記事一覧

ぼくはだれに「文章の書き方」を教わったんだろう

ぼくはだれに「文章の書き方」を教わったんだろう

おかげさまで、編集協力で参加させていただいた『10年後の仕事図鑑』(堀江貴文、落合陽一共著)、『日本進化論』(落合陽一著)が同日重版との嬉しいニュースがあった。(それぞれ14刷25.4万部、4刷9万部)

ありがたいことに、現在も多くの書籍のライティングを担当させていただいている。(その一冊一冊には、プロダクトを丁寧に作り込んでいく感覚があり、早く世にリリースしたい気持ち)

でも、ふと立ち止まっ

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言葉から魂が消える。

言葉から魂が消える。

これは55回目。「今どきの若い連中は・・・」。この言葉は、おそらく人間が言葉を持って以来、ずっと言われ続けてきた言葉でしょう。私も同じことを言われた。父親も間違いなく、若い頃に同じ言葉をその親から投げつけられたはず。ずっとそうだっんでしょう。今に始まった話ではありませんね。

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この「今どきの若い連中は」というのは、実に使い古された言葉だが、しかし、と思う。それでも、今の若い人たちは、「か

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自分の書いた文章に励まされる日もある

自分の書いた文章に励まされる日もある

今週の水曜日に、soarカンファレンスのレポート記事が公開された。「Beの肩書き」ワークショップに参加した体験を、当日考えたことも交えて執筆した記事だ。

ちょうど公開日の前日、低気圧のせいもあって、かなり落ち込んでいた。そんな状態だったので、自分の書いた文章を読んで、「この人ポジティブやなぁ」と不思議な気持ちになった。

今も、仕事で失敗したときや、思うような成果を出せなかったとき、ネガティブな

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「知るかボケ」を前提に話すべし

「知るかボケ」を前提に話すべし

ツイートをするにしても、文章を書くにしても、気をつけていることがある。

それは、全ての事柄に対して丁寧すぎるほどの説明を付け加えることだ。

例えば、友だちの◯◯が、ではなく、友だちで◯◯をしていて最近だとこんな作品を出した◯◯が、というふうに使う。

少々やりすぎなくらいがちょうどいいと思っている。

身内にしてみれば、そんなこと知ってるよ!ということでも構わない。

だって、説明をすべて省い

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脚本と小説の書き方の違い その3

脚本と小説の書き方の違い その3

「脚本家です」と名乗ると、
「小説家さんとは、どう違うんですか?」
と尋ねられることが多いので、これまでに二度「脚本と小説の書き方の違い」という投稿をしました。
『脚本と小説の書き方の違い』←こちらでは、それぞれの描写の仕方の違いをご説明し、
『脚本と小説の書き方の違い その2』←こちらの投稿では構成の違いを中心にご説明しました。

今回は、noteで全文無料公開中の小説『すずシネマパラダイス』を

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装備している名言を確認する(不定期日報)

装備している名言を確認する(不定期日報)

 よくきたな。ご機嫌麗しゅう。🍑だ。

 今日で100日連続投稿を迎える。これはそのキリ番に合わせた記事だ。とくにここ2,3日はヤバかったがなんとかここまできた。いつもリアクションをくれる皆のお陰だ。感謝する。

装備している名言を確認する 知っている人も多いとは思うが、俺は逆噴射聡一郎氏のコラムを読んで尻を蹴飛ばされ、MEXICOの荒野を歩き出したGAN-MANだ。読み始めたのは去年の10月で

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メルカリのコピーライター募集要項に見る「ライター」「編集者」に求められる能力

メルカリのコピーライター募集要項に見る「ライター」「編集者」に求められる能力

最近、inquireに来る仕事の相談がこれまで以上に多岐に渡ってきています。

一部を抜粋するだけでも、BIやCIに関する言葉の整理、サービスのUXライティング、コーポレートサイトに掲載するメンバーインタビューの作成、オウンドメディアの編集パートナー、B2Bマーケティングにおけるコンテンツデザインなど色々。言葉を使う仕事に関する相談を数多くいただいている状況です。

幅が広いため、上記のような仕事

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『プロ編集者が教える文章教室(仮)』執筆中0318更新

『プロ編集者が教える文章教室(仮)』執筆中0318更新

※この記事は「いつか書籍化できるといいなあ」と思っている『プロ編集者が教える文章教室(仮)』の制作過程を公開するものです。このやり方でうまくいくのかという「実験」でもあります。このnoteに随時加筆していきますので、「読んでみたい」という素敵な方は「いいね」してもらえるとうれしいです。

進捗
0207 仮の構成を公開
0318 仮の構成を更新

<もくじ>

はじめに SNS、ブログ、本・・・・

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『子どもが幸せになることば』という逆張りの育児書

『子どもが幸せになることば』という逆張りの育児書

『子どもが幸せになることば』という本を作った。

この本を作った動機が、大きく2つある。

①子育てが「課題解決」であってほしくない
②子どもに自立してほしいけど死ぬほどかわいがりたい

①子育てが「課題解決」であってほしくないまず、紀伊國屋新宿本店6Fの子育て本コーナー(1/30現在)を見てほしい。

ビジネス書の編集者として、3歳の娘を持つ親として、自分はこの棚の前に立って、「うっ」と息が詰

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「ライターになりたい」と思ったら読むnote(商業ライティング基礎の“き”)

「ライターになりたい」と思ったら読むnote(商業ライティング基礎の“き”)

はじめまして、フリーランスでライターをしているオバラ ミツフミと申します。学生時代にプロを目指し、モメンタム・ホース代表の長谷川リョーさん(当時はフリーランス)に弟子入りし、文筆業の道に進みました。

ライターとしてお金を稼ぐまでに、およそ2年くらいの時間がかかりました。師匠には、「本当にセンスがない」と言われたほどです(笑)。

ただ、弟子入りから1年でブックライティングをまかせてもらえるまでに

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なんでも言語化する屋さん

なんでも言語化する屋さん

わたしはずっと自己紹介が苦手だった。恥ずかしいとかの問題ではなくて、自分がやっていることの要素が多くバラバラで、なんと言ったらいいのかよくわからなかったからだ。

クッキー屋の経営、シングルマザー、あーちんの母、文章を書くこと(自己肯定感のこと)、お店などのコンサル(のようなこと)、バラバラに見えてどれもつながっているのだけど、自己紹介には長くなるし、どれかだけ切り取ると足りない。説明がめんどくさ

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すべての広告コピーは人の幸せを願って書かれている

すべての広告コピーは人の幸せを願って書かれている

“うまれたばかりの誰かへ。こどもまっ最中の誰かへ。大人の誰かへ。親になった誰かへ。すこしだけ自信をなくした誰かへ。つよくなりたいだれかへ。すべての広告コピーは人の幸せを願って書かれている、は岩崎俊一さんのことば。” Instagramアカウント@sunanohaneより

(以下文、編集担当:大塚)

3月1日(金)、ライツ社より『ずっと読みたい0才から100才の広告コピー』が発売されます。

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「知らなんだ」 80年前にあって、なくなりつつある言葉

「知らなんだ」 80年前にあって、なくなりつつある言葉

「80年前にあって、現在なくなりつつある言葉がいっぱいある」
と大阪の空堀在住の童話作家藤田富美恵さん。「ついではあかん」と昔よく教えられた。お世話になった人に御礼を伝えに行くときは、別の用事のついでに、その人の家へ寄るのは失礼。横着しないで、いったん自分の家に戻り、ちゃんと段取りして行くものだといわれていた。

「知らなんだ」もなくなりつつある。
文字どおり“知らなかった”ことだが、単純にその意

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続・日本人と日本語のルーツ

続・日本人と日本語のルーツ

これは31回目。先日書いた、「日本人と日本語のルーツ」の続編です。思ったよりも皆様から反響を頂き感謝です。言語学的にはとても面白い特徴が日本語にはあります。「くりかえし」です。

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日本語には、とても面白い表現方法がある。同じ単語を繰り返す、重複語だ。たとえば、ドングリころころの「ころころ」だ。見ても聞いても、なんともかわいらしい表現だ。この類が異様に多い。「そろそろ」、「ぱたぱた」、「ひ

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