今野良介|編集者

編集者。aiko。早大文卒。2女の父。100m10"9。山。ウィスキー。『会って、話すこと。』『会計の地図』『0メートルの旅』『読みたいことを、書けばいい。』『アトピーの治し方』 『子どもが幸せになることば』等を担当。原書13作連続重版中。『雨は五分後にやんで』に小説寄稿

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編集者。aiko。早大文卒。2女の父。100m10"9。山。ウィスキー。『会って、話すこと。』『会計の地図』『0メートルの旅』『読みたいことを、書けばいい。』『アトピーの治し方』 『子どもが幸せになることば』等を担当。原書13作連続重版中。『雨は五分後にやんで』に小説寄稿

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    • 会計の地図

      • 24本

      2021年3月16日発売『会計の地図』(ダイヤモンド社・刊)を、全文無料公開するマガジンです。全200ページを22の記事に分割して、順次公開していきます。 本のお買い求めはこちらから↓ https://www.amazon.co.jp/dp/447810557X

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    拝啓2018年9月13日のaiko様

    久しぶりです。今日は1人で来ました。たまたま連れが来れなくなって。高校生の時に、陸上競技の大会前に初めて来たのも1人でした。あなたに会いにNHKホールに来るの何度目になるかな。最近たまたま近くの会社で働くことになって。今日は会社から歩いて来ました。 薄闇にそびえる丹下健三の遺物を横目にウキウキステップ気味で歩いて、会場着きました。入口、500人くらいワイワイしてます。春日部あたりに住んでそうな、50代の夫婦がいます。ロックが好きそうな寡黙そうな1人で来てる男性がグッズのタオ

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      • 謝り方と誠実さ

        「誠実さ」とはビリー・ジョエルが測れない曖昧なものだが、「謝り方」にそれは滲み出る。 たとえば、 という言い方がある。 これは誤解させる言い方をした自分を謝っていない。 「誤解したあなたが悪い」と、受け取る人もいるだろう。 最初から誤解させようとしていたのか否か、すら不明だ。 「誤解させてしまって申し訳ありません」という言い方そのものに、誤解の余地がありすぎるのだ。 自分が、自分に対して何をどのようにどこまで反省したかが、謝意として相手に伝わる。 最愛の子ども

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        • 大人のなかにいる子ども

          大人になって会った人がいて、彼女に子どもができてから子育ての話になることが増えて、絵本の話になった。自分の子どもには自分が好きだった絵本を読ませたくなる。自分がボロボロになるまで読んだ絵本を子どもが目の前で読んでいると不思議な気分になる。 子どもがいるというのは多分に自分の人生を生き直すことであり、子育てというのは「子どもを育てる」ことではなく「子どもが育つ様をかぶりつきの特等席で観られる」ということであり「自分がどのように育ったか」を思い出すことであり、ダイレクトにそれを

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          • 「ぜんぶ嘘だ」という真実

            『ぼくらは嘘でつながっている。』という本を出す。 著者は、浅生鴨。 浅生鴨さんは、よくわからない人だ。 書籍の略歴欄にはこんな文字を並べた。 読まなくてだいじょうぶです。スクロールの長さだけ体感してください。 とにかく、いろんなことをやってきたらしい。よく知らない。わたしが間違いなく知っていると言えるのは、彼がTwitterをよく使うことだ。 Twitterで浅生鴨さんは、時折こんなツイートをする。 意味はよくわからないが、なんだか厭世的にもニヒリズムにも思える

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            チャーリー 他

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            見ないフリの嗜虐性

            動物の捕食動画には格闘技のKOシーン以上に異常な再生数のものが多いが、人はそれを語らない。捕食動画をよく観ていると言えば、「実はあいつ残虐だったんだな」とか「頭おかしいから近寄んのやめようぜ」とか「キミは心理学的に危ういぞ」とか、もはや犯罪予備軍だとすら思われやすいからだろう。 ただ、この類の動画を観るときの感覚は独特である。無視できない。看過してはならぬ気がする。 例えばある鳥類の巣でかわいい雛が口を開け、親の嘴から与えられた幼虫を飲み込んでいる。しばらくして親鳥が去り

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            『広告コピーってこう書くんだ!読本』Podcastの原稿

            みなさん、こんにちは。書籍編集者の今野良介です。 この「スキンヘッド編集者が嫉妬した本」では、普段ビジネス書を作っているわたしが、「やられた!」とか、「こんな本を作ってみたい」と思った本をご紹介します。 今回紹介するのは、谷山雅計さんの『広告コピーってこう書くんだ!読本』です。2007年5月、宣伝会議から刊行。235ページ、税込1980円です。 著者の谷山さんは博報堂出身のコピーライター・クリエイティブディレクターで、トヨタや、東京ガス、新潮社、資生堂、日テレ、キリンビ

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            『言語表現法講義』 Podcastの原稿

            みなさん、はじめまして。 書籍編集者の今野良介と申します。 この「スキンヘッド編集者が嫉妬した本」では、普段ビジネス書を作っているわたしが、「やられた!」とか、「こんな本を作ってみたい」と思った本をご紹介します。 最初に紹介するのは、加藤典洋さんの『言語表現法講義』です。 1996年に岩波書店から出版され、272ページ、定価は2970円です。なぜこの本をお勧めしたいかというと、2970円は安すぎると思うほど、「書くことを教える本」としてのマイベストだからです。 著者の

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            「読み聞かせ」の不自由さ

            子どもと絵本を読むのはおもしろい。 放っておくと、用意されたストーリーをなぞらない。ページの端におまけのように描いてある動物が何を考えているか、この人は家で何をしているか、この屋根瓦の感触はどんなか、この動物たちの中でフクロウが一番偉いのではないか、などと本筋度外視で好きな方へ興味を持った方へとどんどん想像を拡散させる。 それについていくのがたまらなくおもしろい。 親はどうしても「この絵本からこういう事柄を学んでほしい」「こういう感情を持ってほしい」などと願う。ストーリ

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            黒い力

            伊勢丹の朝は裏が黒い。 荘厳で煌びやかで極彩色な一階エントランスの裏手、煤けたコンクリートと錆び付いたダクトと黒に身を包んだ大量の従業員たちが無言で行き交う路地全体に剥き出しの労働無意欲が蠢いている。 島村大地の歯は落ちた。あたらしい乳歯が生えてくる。 ゆうべ寝る前にインターネット上に書いた文章に15000のいいねがつく夢を見た。起きたら10のいいねがついていて、トトロに会えた気がして目覚めて芽生えたメイのようだと思った大地は宮崎駿が好みじゃない。コンコースでコケた時も

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            猫に老婆

            女性の家に上がると、広い玄関から奥に続く廊下に猫がいる。家じゅうに猫がひしめいている。リビングに上がって熱い茶を出してもらい、食卓で向かい合い話を始める。 2時間ほど経った。その間ずっと、部屋の隅に置かれたソファの上に、猫に紛れた猫のような老婆がひざを抱えてちょこんと座っている。 「こんにちはー」と、何の警戒心もよそよそしさも感じさせない表情でニコニコと最初に挨拶をしてくれた時は気づかなかった。老婆は認知症のある人だった。 女性はその母親について、最後までわたしに何の説

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            音の校正

            たとえば、ある文章の「だ」を「である」にするかどうかを悩みに悩んでいる人を見たら。「なぜ〜なのか」を「〜なのはなぜか」にするかどうかを長考している人を見たら。「、」を入れるか否か、何度も試行錯誤している人を見たら、こだわりすぎだと思うかもしれない。誰もそんなこと気にしないよと、思うかもしれない。 並べ方ひとつ、語尾の僅かな違いで、文章の意味やニュアンスは大きく変わる。それは、ある程度の量、文章を読めば、ある程度の量、文章を書けば、わかることだ。 しかし、書き手は、意味やニ

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            2021年10月13日/大阪フェスティバルホール

            aikoのライブに行くたびに切なさが増す。aikoも俺も確実に年をとっていて、毎回少しずつ終わりに向かっているからだ。 それは、俺がaikoに惹かれてきた理由そのものなのだと気づいた。 初めて訪れた大阪フェスティバルホールは荘厳で、二階席から見ると一階席は全体に緩やかな登り坂を描いていて、その真裏にある長いエスカレーターの坂をゆっくり登ったとこにある甘い絨毯からあなたに近づいていく。 今日、あなたは20年前の『夏服』を歌って、今日もまた「今もこの曲を歌えることが不思議で

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            ことばのむこうに人がいる

            『お金のむこうに人がいる』という本を出す。 お金がないと生活できない。そんなん当然だ。でも、それはなぜなのか。あなたはよどみなく説明できるだろうか。 「資本主義は限界にきている」とか頭のいい人たちが言う。ならどうすりゃいいのか。誰がどのように社会を良い方へ変えていくのか。あなたは知っているだろうか。わたしはぜんぜんわからない。政治家か。経済学者か。そもそも他人任せでいいのかな。 よくないはずだ。人と人は、お金を介して世界の隅々までつながっている。それが社会であり、経済だ

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            わたしとあなたの「あいだ」に。

            『会って、話すこと。』という本を出す。 文字通り、「会話」の本だ。 学生であった時、人生でもっとも幸せな瞬間は、人と会話している時だと思っていた。 わたしがこの本をつくったのは、学生までの自分を形作ってきた「会話」と、社会人になってから良しとされる「会話」が驚くべきレベルで別物であったことへの強烈な違和感に端を発する。 ビジネス書の編集者になって10年経つ。ビジネス書における「会話術」は一大ジャンルになって、数十万部、100万部を超えるベストセラーすらあるような市場に

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            なにが「試合の流れ」をつくるのか

            ソフトボールや野球やサッカーやラグビーなどのチーム戦に顕著だが、テニスや卓球などの個人競技でも「試合の流れ」というものは確かにあって、流れに乗れた方が勝つ。解説者はあたかもそれが目視できたかのように「流れをつかんだ」などと表現し、しかし何がその「流れ」を作るのか不思議だったのだが、「個人がその状況をどう捉えているか」の集積が作る空気だろう。 ワンプレーで流れが変わるのは「いける」という思いがみんなに芽生えるからであり、勝ってる側がなぜか押されているような気がするのはチーム内

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            わかりやすい文章のむずかしさ

            「むずかしいことを、わかりやすい言葉で書きたい」という人がいる。むずかしいことをむずかしい言葉で書くかわかりやすい言葉で書くか、それはどちらがいいとか悪いという話ではない。 書き手が、あるものごとを理解した。その理解の過程をたどり直すように、自分で確認するように書けばいい。「わかりやすそうだけどよくわからない文章」は、わかりやすく理解していない人が嘘をつくからだ。逆も然り。 文章中で使う言葉が難解だろうが易しかろうが、「その人が世界をどう捉えているのか」が表れていたらそれ

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