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井戸とカリフラワー:日本から見た「世界」、世界の中の「日本」

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カリフラワーに住む虫は、カリフラワーを世界だと思っている。 (The insect that lives in the cauliflower thinks the caulif… もっと読む
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#エッセイ

この連載について

この連載について

「何を食べているか言ってごらん。どちらの階級の人間なのか、当ててやろう」。

ブリア・サヴァランがイギリス人だったらこう言ったかもしれない。

どうやらイギリスという国の社会には、どんな料理を誰が作るのか、誰が好むのか、誰が嫌うのかという分断によって色付けされてきた歴史があるらしい。特に階級によって、財産を持つか持たないかの違いによって、身体と時間を貨幣に換算しなくても生きてゆかれるか、そうでもし

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香川県民、カザフスタンでうどんを食べる

香川県民、カザフスタンでうどんを食べる

と大学の図書館であの女性は教えてくれた。私は当時ハタチになったかなっていないか程度の年齢だったが、彼女は長年のキャビンアテンダントとしてのキャリアの後に大学生活を過ごしていた。

彼女とまともに話したのはこれが最初で最後である。実際、なぜラグマンの話になったのか、それどころか彼女の名前も一文字も覚えていない。ただ、これ以降、私の中でカザフスタンはうどんの国として認識されるようになっていた。

とい

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日本の魅力は大通りの向こう側

日本の魅力は大通りの向こう側

こんにちは、いつものマッシ(@massi3112)です。

都会といえば、人混みと高層ビル。用事がなくても知らないうちに自分も急いで歩いて、川に流れている葉っぱのような気分になる。
デカいモニター、夜のはずなのに脳が昼間と勘違いしてしまう都会。

東京に引っ越して1ヶ月半も経っていない僕から見ると、東京の魅力はどこにあるだろう?東京にいながら、日本の日常生活や伝統的な部分はどこに存在しているだろう

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日本人になりかけてる僕の物語

日本人になりかけてる僕の物語

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112)

法律的にはイタリア人だけど、心は日本人へ進化してきている僕の物語が始まる。

パスポートを見る時だけ、自分がイタリア国籍であることに気が付く。日本との関係がいつから始まったかと言うと、子供の時からだ。当時は知らなかったけど、今思い返すと見ていたアニメは日本の作品ばかりだった。ある意味、日本は僕を呼んでいたのかもと強く思っている今日この頃だ。

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コンビニで働いてる外国人はお箸を付けない

コンビニで働いてる外国人はお箸を付けない

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112)

今日は「お箸と外国人」の話をしたいと思う。ある日ツイッターで、あるツイートが目に止まった。
「コンビニで働いてる外国人は相当高い確率でお箸を付けてくれない」というような内容だ。このツイートを誰が書いたかというと、一般人ではなく京都市議選(左京区)に初挑戦してる人だ。
京都だ!京都といえば外国人の観光客が多く、さらに京都に住んでて頑張りながら働い

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日本人の発想に驚き感謝すること

日本人の発想に驚き感謝すること

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112)

外国人として考えられない不思議な組み合わせの料理が日本には多くて、イタリアにいた頃には絶対ない!と話を聞くだけで驚いていたけど、日本に来て考えは180度変わった。日本のことが好きな理由のひとつは魔改造。あり得ないと思われるような海外にない発想を美味しいものに取り入れて、さらに美味しくしてしまう。新発見の美味しさになる。外国人のありがちな行動は、

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日本の行列文化から学んだこと

日本の行列文化から学んだこと

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112)

日本人は子供の時から「行列文化」が身に染み付いている。どこに行っても何かを待っても文句を言わずに、行列を綺麗に作って、自分の順番まで待っている。この文化は外国人である僕から見てとても面白くて、素晴らしい文化だと感じた。
イタリア人は綺麗に行列を作れないことはないけど、日本みたいに綺麗にならない。すぐ諦めるか、周りの人より先頭がいいと思って1番前

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日本と英国 同じだけど違うこと

日本と英国 同じだけど違うこと

今日は鶏もも肉を使った料理にしよう、何か良いレシピはないかな、そう思って開くサイトは、日本のレシピ集。たくさんのレシピが紹介され、とても便利。けれど、私が住んでいるところは英国。微妙に不便が生じてきます。例えば、鶏もも肉にしても、まず売られている形状が違うのですから。

鶏もも肉は英語でChicken Thigh チキンタイ。どこのスーパーでもこのようにパックに丸まった形で入っています。

日本で

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【カップル率が高いフランス、カワイイ文化の日本】フランスの相手を見る目

【カップル率が高いフランス、カワイイ文化の日本】フランスの相手を見る目

フランスの出生率は高い。2006年以降、合計特殊出生率が2.0人前後で推移。(OECD加盟国で2016年に2.0を超えている国はイスラエル、メキシコ、トルコの3カ国のみ)*。カップル率も、正確な数字は分からないけど、肌感覚で言っても高い(全体におけるカップルかシングルかの割合)。

何でだろう。
結婚よりも手続きが簡単で、税制上は結婚とほぼ変わらないパートナーシップ制度、家族手当の充実、保育園・学

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目が覚めた時、私は異国のオーストラリアの空の下にいて【Sydney→Hunter Valley】

目が覚めた時、私は異国のオーストラリアの空の下にいて【Sydney→Hunter Valley】

目が覚めた時、一瞬本当にどこにいるかわからなくて。私はオーストラリアにいて、話しかけられている言語は日本語ではなく英語で、さらには車の中にいて、その車の天井の窓はオープンになる仕様で、車の中にいるらしいのに、鮮やかな夏色をした街路樹と、南半球の空が頭上に広がっていて。

思い出すまで、きっと0.2秒くらいのほんの短い出来事だった。1秒後には私は状況を把握して、車の運転手であった彼に、日本語ではない

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進め!海パンビキニ探検隊『ベトナム謎の暗闇洞窟で純白のおむすびを探せ』

進め!海パンビキニ探検隊『ベトナム謎の暗闇洞窟で純白のおむすびを探せ』

(この物語は、すべてリアルに体験したことです)

1000日という長い旅がもうすぐ終わろうとしている。

世の中が大変な状況の中で旅を続けているって、ずいぶんなことしてるなって思われる方もいるかもしれない。

違う。違う。
ちょっと格好つけた言い方をしてしまってごめんなさい。正確に言うと、自分が続けている旅とは日本全国のおむすびを食べて毎日noteに記事を1000日間書き続けるチャレンジのこと。

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イタリア人は本当にナポリタンを食べないのか?

イタリア人は本当にナポリタンを食べないのか?

都内に数店舗フランチャイズ展開されている、ナポリタン専門店の「パンチョ」というチェーンがあり、たまに食べに行っている。

最初に入ったのは池袋の店だったが、それ以外にも自分の生活圏内に何店舗かあるので、そのうちのいくつかの店舗に通っている。
 
ナポリタンというのはなんとも図々しい食べ物で、イタリアのナポリをもじったネーミングであるにも関わらず、実態はケチャップを使ったパスタにすぎない。イタリア人

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当たり前と思わないで!ニッポンの発想

当たり前と思わないで!ニッポンの発想

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112)

日本には自動販売機が多いという話がよく耳に入ると思うけど、それよりももっと驚く話がある。日本人から見ると当たり前で何も感じないかもしれないけど、外から来た僕にとって、全く考えられない発想だ。SF映画から出たようなもので、初めて出会った時に、驚きからの感謝!という気持ちが滝のように激しく波打った。

僕の人生が変わった物の一つは、ペットボトルだ。

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南仏の村ムジャン - しあわせが溢れるレストラン

南仏の村ムジャン - しあわせが溢れるレストラン

ステキな画廊に出会えた村、ムジャン。そして、そこでのもうひとつの出会いはレストランだった。事前に予約をしていたわけではなく、またなんとなく誘われるようにして入ったレストラン。今回は誰に誘われたかと言うと、外のディスプレイに並んでいたこのぬいぐるみたち。

「え、なんか、かわいい」

かわいい物好きの私の心をしっかりとキャッチしたイヌくん(?)たちは言った。

「お腹空いているんでしょう? 中に入っ

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