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#コラム

認知の前に共感があった 我々の未来の希望はどこにあるのか

認知の前に共感があった 我々の未来の希望はどこにあるのか

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

ビジネス書は日々新著が出てきており、「おっ!」と思って購入しても積読になってしまっている方も多いのではないでしょうか。わたしもご多分にもれずそうなのですが、なるべく時間を見つけて消化しようとしています。

最近はビジネス書よりも文化・教養的なものや、自身のコア分野とは離れた領域のものを意識的に読むようにしています。また、面白い人は面白い本を知っているとい

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連載:「視野を広げる新書」【第15回】『高学歴難民』

連載:「視野を広げる新書」【第15回】『高学歴難民』

2023年10月1日より、「note光文社新書」で連載を開始した。その目的は、次のようなものである。

現在、毎月100冊以上の「新書」が発行されているが、玉石混交の「新刊」の中から、何を選べばよいのか? どれがおもしろいのか? どの新書を読めば、しっかりと自分の頭で考えて自力で判断するだけの教養が身に付くのか? 厳選に厳選を重ねて紹介していくつもりである。乞うご期待!

博士課程難民・法曹難民・

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【ニッポンの世界史】#23 「国益」のための世界史へ:なぜイスラム世界は「文化圏」に格上げされたのか?

【ニッポンの世界史】#23 「国益」のための世界史へ:なぜイスラム世界は「文化圏」に格上げされたのか?

格上げされた「イスラム世界」

 1970年度学習指導要領では「イスラム世界」が、ヨーロッパ文化圏、中国の文化圏とともに、単独で世界の「三大文化圏」のひとつに数えられるようになりました。

 この「格上げ」の背景にあるのは、やはり戦後の研究の進展により参照できる情報が増えたということが大きいでしょう。

 もともと西洋生まれの「世界史」において、イスラムの扱いは貧弱で、その傾向は、西洋的世界史の影

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「推し活」ブームで危惧していること

以前から昨今の世の中の娯楽依存傾向について色々と思うことを書いてきていますが、今回は「推し活」ブームについて考えてみようと思います。これまでは、苦しい家計と過剰な娯楽依存の謎という記事や、楽しみが「与えられた娯楽」だけなのはさみしいといった記事などに似たようなことを書いてきました。最近は本当にメディアが「推し推し」ゴリ押ししていて(笑)、さらにこれを商機と見た企業も推し活グッズを出しまくっていると

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連載:「視野を広げる新書」【第13回】『恋愛結婚の終焉』

連載:「視野を広げる新書」【第13回】『恋愛結婚の終焉』

2023年10月1日より、「note光文社新書」で連載を開始した。その目的は、次のようなものである。

現在、毎月100冊以上の「新書」が発行されているが、玉石混交の「新刊」の中から、何を選べばよいのか? どれがおもしろいのか? どの新書を読めば、しっかりと自分の頭で考えて自力で判断するだけの教養が身に付くのか? 厳選に厳選を重ねて紹介していくつもりである。乞うご期待!

「恋愛」と「結婚」の多様

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好きを仕事にすることは 「好き」の解像度を高めること

好きを仕事にすることは 「好き」の解像度を高めること

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

突然ですが、みなさんはいまの仕事が好きですか?

学生や若手からのキャリア相談を受ける機会があるのですが、定番の質問の一つに「好きを仕事にするにはどうすればよいか?」があります。(もしくは「好きなことが見つかりません」も同程度あります。)

これは決して若手だけの話ではなく、むしろ人生100年時代と言われる現在においてはシニア層のほうが深刻なのかもしれま

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【みんなの世界史】古代ローマはだれのもの? イタリア・フランス・ドイツ:記憶をめぐる対立

【みんなの世界史】古代ローマはだれのもの? イタリア・フランス・ドイツ:記憶をめぐる対立

このように語られることは、現代でも少なくありません。

たとえば18世紀後半の歴史家ギボンは、ベストセラー『ローマ帝国衰亡史』で次のように書いています。

ここで蛮族(ばんぞく)、つまり野蛮な民族とみなされているのはゲルマン人です。

 当時のローマ帝国とゲルマン人の境界はリーメスとよばれた国境線があり、その近辺には軍団が配置されていました。現在のような国境線のようなものではありません。ドナウ川の

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サスティナブルな生産への期待がかかる、ウナギの完全養殖への道

サスティナブルな生産への期待がかかる、ウナギの完全養殖への道

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

先日、個人的に大興奮したニュースがありました。ついに、ウナギの完全養殖に成功したというものです。

ウナギの生態は未だに謎が多く、最近までどこで産卵しているのかもわかりませんでした。というのも、孵化から1年位は海で過ごし、あとは淡水で生活しており、多くの図鑑では淡水魚として掲載されています。産卵場所を特定するために日本近海から調べていったところ、どんどん

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著者が語る:正しい「認知バイアス」対処法

著者が語る:正しい「認知バイアス」対処法

「農業協同組合」(JA: Japan Agricultural Cooperatives)が、地域農業の担い手やJA青年部員・JA役職員などを対象に1947年に創刊した『地上』という雑誌がある。

そこで、「正しい『認知バイアス』対処法」という記事が公開されたので、紹介しよう。なおこの記事は、私が取材を受けてライターの鷺島鈴香さんが原稿をまとめ、それを私がチェックする方式で進めたものである。

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歴史の扉 No.15 ココナッツの世界史

歴史の扉 No.15 ココナッツの世界史

ひろがるココナッツ文化圏
ココナッツはポリネシア人の移動とともに太平洋に広まった。台湾付近から現在のインドネシアを通り、果てはハワイやイースター島にまで拡散したポリネシア人は、前近代にもっとも広範囲に拡散した民族集団のひとつだ。
これに対し、インド洋方面に伝わったココナッツは、太平洋に伝播したものとは異なる遺伝子型を持つようだ。そこから6世紀に東アフリカにココナッツを伝えたのはアラブ人だ。

なん

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歴史の扉 Vol.13 バニラの世界史 

歴史の扉 Vol.13 バニラの世界史 

アメリカのバニラ文化

バニラはラン科の植物から抽出された香料のこと。南米のアンデス山麓からカリブ海にかけて栽培され、古くはメキシコ湾岸のオルメカ文明で用いられていた。

特にメキシコのトトナコ族によるバニラの生産が知られ、アステカの王は彼らを服属すると、これを独占しようとした。バニラは、宗教儀礼でもちいられるチョコレートの中に混ぜて供せられた特別な香料だったのだ。チョコレートは大航海時代以前は新

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連載:「新書こそが教養!」【第98回】『統一教会』

連載:「新書こそが教養!」【第98回】『統一教会』

2020年10月1日より、「note光文社新書」で連載を開始した。その目的は、次のようなものである。

現在、毎月200冊以上の「新書」が発行されているが、玉石混交の「新刊」の中から、何を選べばよいのか? どれがおもしろいのか? どの新書を読めば、しっかりと自分の頭で考えて自力で判断するだけの「教養」が身に付くのか? 厳選に厳選を重ねて紹介していくつもりである。乞うご期待!

「性・金・恨ハン」に

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歴史の扉Vol.11 ポテトチップスの世界史

歴史の扉Vol.11 ポテトチップスの世界史

ライターの稲田豊史さんによる『ポテトチップスと日本人—人生に寄り添う国民食の誕生』(朝日新聞出版、2023年)を読んだ。ポテトチップス好きの私としては、カバーの装丁がポテトチップスのようであるのも良い。思わず手にとってしまうではないか。

世界史的な観点から、いくつか気になった点を紹介がてら整理してみよう。

ポテトチップスと有色人種
ポテトチップスの歴史はそんなに古くないようだ。一般には「アフリ

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