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あるのは「意味の場」だけ!『なぜ世界は存在しないのか』/マルクス・ガブリエル

 こんにちは!
「noteの本屋さん」を目指している、おすすめの本を紹介しまくる人です!

 これ、通勤電車での読書にピッタリです!
 日夜電車に揺られながら、ふと「私って何だろう?」「この世界って一体何だろう?」と疑問に思ったことはありませんか?

 そんなあなたにオススメしたいのが、哲学界の異端児マルクス・ガブリエル『なぜ世界は存在しないのか』

 この本は、私たちが当然のように信じている「世界」の存在を真っ向から否定し、あなたの常識を覆す衝撃的な一冊です。

 まるでSF映画のような奇想天外な発想ですが、その論理は緻密で、読めば読むほど引き込まれていきます。

「世界」は存在しない?
 では、私たちは何を生きているのか?

 ガブリエル氏は「意味の場」という新たな概念を提唱し、私たちが生きる現実を全く新しい視点から捉え直します。

 この考え方は、私たちが日常で感じる違和感や疑問を解き明かす鍵になるかもしれません。

 哲学書というと難解なイメージがありますが、本書は非常に分かりやすく書かれており、哲学初心者でも気軽に読むことができます。

「世界」の概念を覆すことで、あなたの日常は全く違う景色に見えてくるかもしれません。


「世界」は存在しない?

ガブリエルいわく「世界」とは、個々の事物や出来事を一つの大きな枠組みで捉えようとする概念に過ぎない。私たちが「世界」と呼ぶとき、そこには共通のルールや法則が存在し、全てのものが統一された全体として存在しているという前提がある。しかし、ガブリエルは、この前提こそが誤りであるという

存在するのは「意味の場」

 ガブリエルは「世界」の代わりに「意味の場」という概念を提唱。「意味の場」とは、ある特定の視点や文脈において、物事が意味を持つようになる領域をさす。例えば、私たちにとって馴染み深い「猫」という存在は、「ペット」という文脈では「愛玩動物」という意味を持つ。ところが「生物学」という文脈では「ネコ科の哺乳類」という意味を持つ。つまりコンテクストによって「意味の場」は変わる

 このように、同じ「猫」であっても、異なる「意味の場」においては異なる意味を持つのです。そして、ガブリエルによれば、存在するのはこの「意味の場」のみであり、「世界」という統一的な全体は存在しないのです。

新実在論がもたらすもの

一見すると、ガブリエル氏の主張は私たちの直感に反するように思える。
しかし、彼の論理は緻密であり、現代哲学が抱える様々な問題に対する新たな解決策を提示する可能性を秘めていると感じられた。
 例えば、心と体の関係性や自由意志の問題は、私たちが「世界」という統一的な全体を前提とすることで生じるものであろう。
 しかし、「世界」が存在しないという立場からみると、これらの問題はそもそも存在しないことになる。

新しい視点で世界を捉え直す

 ガブリエルの主張は、私たちが当たり前のように受け入れている「世界」という概念を根本から問い直し、新たな視点から現実を捉え直すことだろう。彼の理論は、哲学的な議論にとどまらず、私たちが日常生活で直面する様々な問題にも新たな光を当てる可能性がある。
 例えば、異なる文化や価値観を持つ人々との対立は「世界」という共通の枠組みが存在しないことを理解することで、より建設的な対話へとつながるかもしれない。

わたしの感想

 哲学的な思考の奥深さに改めて驚かされました。

 普段何気なく「世界」と呼んでいるものが、実は存在しないかもしれないという考え方は、非常に斬新で、私たちの固定観念を揺さぶるものでした。

 特に「意味の場」という概念は、物事の見方によって解釈が変わるという日常的な経験を哲学的に説明しており、非常に興味深く感じました。

 例えば、同じ「富士山」でも、観光客にとっては美しい風景であり、地質学者にとっては「活火山」であり、信仰の対象として捉える人もいるでしょう。このように、一つの存在が複数の意味を持つという考え方は、多様な価値観が共存する現代社会において、非常に重要なヒントを与えてくれるように思います。

 一方で、ガブリエルの主張は、私たちの直感に反する部分もあり、すんなりと受け入れられるものではありませんでした……
「世界が存在しない」という結論は、日常生活とのつながりが見えにくいと感じてしまいました。でも、日常と断絶することが哲学的思索のはじまりなのでしょう。そう、トーマス・マンの『魔の山』のように!

 この本は、私たちが当たり前のように考えている「世界」という概念について、深く考え直すきっかけを与えてくれます。哲学的な思考は、必ずしも明確な答えを出すものではありませんが、物事の見方を変えることで、新たな発見や理解につながる可能性を秘めていると感じました。

 ぜひ皆さんも『なぜ世界は存在しないのか』を手に取って、常識を打ち破る哲学の旅に出かけませんか?退屈な電車での通勤時間を哲学的思索の場に変えてみませんか?

世界なんてなかった。あるのは意味の場だけだった。
哲学の思索を通じて、あなたの日常に新たな意味を見出してみませんか?


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