Niki

備忘録 (he/him)

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記事一覧

恋人ではない、けれど

私は人を愛したいと思うし、愛されたいとも思う。 けれど愛を与え合う関係は、性愛を抜きにしても大抵の場合「恋人」に置き換えられてしまう。 それがなんだか、私にはも…

Niki
3年前
40

日々の暮らしを見つめ直す場所

雨が振ったりやんだりの金曜日。 やっと雲の切れ間から陽が顔を出したのは、目的の宿に到着した夕暮れ頃だった。 色褪せた看板が付いたオレンジ色の雑居ビル。 本当にここ…

Niki
3年前
12

操縦士と少女が繋いだその手に

My God, what have we done? 広島に原爆が投下された時、エノラ・ゲイ号の副操縦士はその光景を目の当たりにして、メモにそう書き残したそうだ。 それから10年後。生後8…

Niki
3年前
7

いつか、親になった私に伝えたいこと

「親の愛が十分でなかったんですね」 友達のことをそう言われた私は、無性に腹が立った。 なんて暴力的な言葉だろう。 たとえその子を心配して、哀れみの気持ちで放った…

Niki
3年前
11

ディズニーでフェスを開催するとしたら②

夏フェスが次々に中止・延期となり、私たちの楽しみが疫病で奪われていく今日この頃。 せめて妄想の世界だけでも楽しみたいものです。 そこで、今日は以前私のnoteで繰り…

Niki
3年前
7

ネガティブな感情も抱きしめたい

幼い頃から私の頭にずっと染み付いている言葉がある。 いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんな事にも感謝しなさい。 毎週日曜礼拝の最後に牧師によって必ず読ま…

Niki
3年前
10

私の嫌いをあなたは好きで

初夏の涼しい夕暮れ時。 西新宿の公園の芝生に寝っ転がって、二人は空を見上げていた。 音楽の趣味が合うことで、私たちの会話は穏やかに盛り上がった。 私がSelena Gom…

Niki
3年前
10

「わからない」を受容する

モダンアートが好きだ。 一見何を伝えたいのかわからない作品もあるけれど、解説を読んで「この作品にはこういう意味が込められているんだ」と理解したり、友人と一緒に鑑…

Niki
4年前
12

30日間映画チャレンジ

Instagramで始めた #30DayFilmChallenge が珍しく最後まで続いたので、noteの方でもコメント付きで残しておこうと思います。 ※英語のニュアンスが多少異なるところもある…

Niki
4年前
7

なぜ声をあげるのか

このところ、SNSを始めとしたメディアで「人種差別問題」が大きく取り上げられている。 映像や画像の投稿、飛び交うコメントを見つめながら、色々な感情が湧き起こると同…

Niki
4年前
9

私の幸せな時間

会いたい人に会えない。行きたい場所に行けない。それだけでなく、ここ最近SNSを開いても憤りを覚えたり絶望的なトピックばかりで、正直心が疲弊してきているのを感じる。 …

Niki
4年前
11

失われた初恋

私の初恋はまだ訪れていない。 長い間そう思っていた。 けれど、新しいことを知るたび「もしかしたらあれが私の初恋だったのかもしれない」と、過去の感情を再認識してい…

Niki
4年前
22

一人称が定まらない

自分のこと、なんて呼んでますか? きっと年齢によっても変化してきただろうし、大人になると場所や相手によっても一人称を使い分けたりしますよね。 私の場合は、物心つ…

Niki
4年前
38

ディズニーでフェスを開催するとしたら

ライヴを盛り上げる要素のひとつ「舞台美術」 凝った演出だと、まるで自分自身がMVの世界に入り込んだような感覚になりますよね。 ただ、一度きりのライヴ。聴覚的なこと…

Niki
4年前
46

たとえ共感できなくても

つい先日、日本でも話題になった小説『82年生まれ、キム・ジヨン』をやっと読み終えた。 小説や映画を見る時、大抵の場合は主人公の目線で物語を追っていくので、それが女…

Niki
4年前
9

名前が教えてくれたこと

「僕の名前は、ベーシストのニッキー・シックスという人から取られました」 確か小3だったと思う。国語の時間。 「自分の名前の由来について発表しましょう」という課題…

Niki
4年前
12
恋人ではない、けれど

恋人ではない、けれど

私は人を愛したいと思うし、愛されたいとも思う。

けれど愛を与え合う関係は、性愛を抜きにしても大抵の場合「恋人」に置き換えられてしまう。

それがなんだか、私にはもどかしい。

*****

大切な異性の友人が結婚して家庭を持つことになった。

喜ばしいはずなのに、なぜだか寂しい。

また会うことはできたとしても、きっと以前のような関係には戻れないから。

誰かと真の繋がりが生まれても、恋人という

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日々の暮らしを見つめ直す場所

日々の暮らしを見つめ直す場所

雨が振ったりやんだりの金曜日。
やっと雲の切れ間から陽が顔を出したのは、目的の宿に到着した夕暮れ頃だった。

色褪せた看板が付いたオレンジ色の雑居ビル。
本当にここだよね?と内心思いつつも、ホテルの案内が貼ってあるのが見えて一安心。右手すぐの階段を上り、雨でシワシワになった折りたたみ傘を踊り場の傘立てに置いた。

3階まで辿り着いて木製扉を開くと、そこは木のテーブルが6つほど配置されたラウンジだっ

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操縦士と少女が繋いだその手に

操縦士と少女が繋いだその手に

My God, what have we done?

広島に原爆が投下された時、エノラ・ゲイ号の副操縦士はその光景を目の当たりにして、メモにそう書き残したそうだ。

それから10年後。生後8ヶ月で被爆したある少女が、家族と共にアメリカに渡った。牧師の父が出演することになったテレビ番組に、家族も揃って出ることになったからだ。

少女はそこで、その副操縦士と対面する。

悪人だと思って、ずっと憎しみ

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いつか、親になった私に伝えたいこと

いつか、親になった私に伝えたいこと

「親の愛が十分でなかったんですね」

友達のことをそう言われた私は、無性に腹が立った。

なんて暴力的な言葉だろう。

たとえその子を心配して、哀れみの気持ちで放った言葉だとしても、第三者が軽々しく言ってはいけない言葉だと思った。

*****

私には双極性障害の幼馴染がいる。

その症状が出始めたのは高校生の時で、段々と変わっていく彼をそばで見るのはすごく辛かった。

何気ない一言から突然の自

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ディズニーでフェスを開催するとしたら②

ディズニーでフェスを開催するとしたら②

夏フェスが次々に中止・延期となり、私たちの楽しみが疫病で奪われていく今日この頃。

せめて妄想の世界だけでも楽しみたいものです。

そこで、今日は以前私のnoteで繰り広げた「妄想企画」の第二弾を考えてみようと思います。

前回はランド編でしたが、今回は会場をお隣に移動して『ディズニーシーで音楽フェスを開催』という企画になります。

※この企画が生まれた経緯や概要等はこちらのnoteに記載してあり

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ネガティブな感情も抱きしめたい

ネガティブな感情も抱きしめたい

幼い頃から私の頭にずっと染み付いている言葉がある。

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんな事にも感謝しなさい。

毎週日曜礼拝の最後に牧師によって必ず読まれる御言葉だから、自然と頭が覚えてしまった。

*****

クリスチャンの両親のもとに生まれ、小さい時から日曜学校に通っていた私にとって、日曜日に教会に行くことは「意志」ではなく「習慣」になっている。

その為、礼拝中も牧師の説教をあ

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私の嫌いをあなたは好きで

私の嫌いをあなたは好きで

初夏の涼しい夕暮れ時。

西新宿の公園の芝生に寝っ転がって、二人は空を見上げていた。

音楽の趣味が合うことで、私たちの会話は穏やかに盛り上がった。

私がSelena Gomezの「Back To You」にハマっているんだと話すと、彼が携帯でそれを流してくれた。

しばらくしてから身体を起こすと、彼が私の横顔を眺めてこう言った。

「君の耳、すごくキュートだ」

*****

たったそれだけの

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「わからない」を受容する

「わからない」を受容する

モダンアートが好きだ。

一見何を伝えたいのかわからない作品もあるけれど、解説を読んで「この作品にはこういう意味が込められているんだ」と理解したり、友人と一緒に鑑賞して「これってこういう意味なのかな」と考察し合うのが楽しい。

でも、時には一人で鑑賞していて解説すら記されていない作品に出逢うこともあったりする。

そんな時は、とりあえず見たままに作品を飲み込んでみる。自分なりに意味を想像することも

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30日間映画チャレンジ

30日間映画チャレンジ

Instagramで始めた #30DayFilmChallenge が珍しく最後まで続いたので、noteの方でもコメント付きで残しておこうと思います。

※英語のニュアンスが多少異なるところもあるかもしれませんが、ご了承ください。

Day1:the first film you remember watching1日目:あなたの覚えている中で初めて観た映画

『ダンボ』(1941年)

幼い頃、

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なぜ声をあげるのか

なぜ声をあげるのか

このところ、SNSを始めとしたメディアで「人種差別問題」が大きく取り上げられている。

映像や画像の投稿、飛び交うコメントを見つめながら、色々な感情が湧き起こると同時に、思考は複雑に絡み合った。

頭のモヤモヤを一度整理する為、ノートに自分の考えをまとめてみた。そしたら「みんなが声をあげているから」ではなく「自分が声をあげなければならない」理由が明確になったので、ここに示そうと思う。

※これから

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私の幸せな時間

私の幸せな時間

会いたい人に会えない。行きたい場所に行けない。それだけでなく、ここ最近SNSを開いても憤りを覚えたり絶望的なトピックばかりで、正直心が疲弊してきているのを感じる。

そんな時、自分にとっての「幸せ」を備忘録として残している方を見かけて「これいいな」思った単純な私は、自分の「幸せ」についても書き出してみることにした。

私の幸せな時間

・おばあちゃんのお家で和菓子をいただきながらお話する時
・財布

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失われた初恋

失われた初恋

私の初恋はまだ訪れていない。

長い間そう思っていた。

けれど、新しいことを知るたび「もしかしたらあれが私の初恋だったのかもしれない」と、過去の感情を再認識していく。

始まりは、13歳の春だった。

*****

4月

中学2年生に進級した。自分の机と椅子を持って一斉に新しいクラスへと大移動。私の学年は全部で5クラスと多い方だったので、教室の半分以上は面識の無い生徒だった。

新学期は嫌いだ

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一人称が定まらない

一人称が定まらない

自分のこと、なんて呼んでますか?

きっと年齢によっても変化してきただろうし、大人になると場所や相手によっても一人称を使い分けたりしますよね。

私の場合は、物心ついた頃〜小学校低学年くらいまでは自分のことを名前で呼んでいました。
海外ドラマのギャグでたまに三人称で話す人が出てきたりしますが、まさにそんな感じですね。笑

というのは冗談ですが、親の言葉を真似して覚えるうちに、「あれは雲、これは虫」

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ディズニーでフェスを開催するとしたら

ディズニーでフェスを開催するとしたら

ライヴを盛り上げる要素のひとつ「舞台美術」
凝った演出だと、まるで自分自身がMVの世界に入り込んだような感覚になりますよね。

ただ、一度きりのライヴ。聴覚的なことならまだしも「舞台美術」の制作に膨大な予算や労力を掛けるアーティストなんて、なかなかいないのではないでしょうか。

それでは、もともと存在する「舞台美術」いや「環境演出」を、アーティストがそのまま利用できたとしたら...

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たとえ共感できなくても

たとえ共感できなくても

つい先日、日本でも話題になった小説『82年生まれ、キム・ジヨン』をやっと読み終えた。

小説や映画を見る時、大抵の場合は主人公の目線で物語を追っていくので、それが女性であろうと男性であろうと、登場人物たちに共感を覚えることが多い。時には、登場人物の誰かに自分自身を重ねて見てしまうことさえある。

しかし、この小説の場合は少し違った。なぜなら、この小説では「社会の中で"女性"が抱える生きづらさ」に焦

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名前が教えてくれたこと

名前が教えてくれたこと

「僕の名前は、ベーシストのニッキー・シックスという人から取られました」

確か小3だったと思う。国語の時間。
「自分の名前の由来について発表しましょう」という課題が出された。

ニッキー・シックスがどんな人かもわからず、私は親に聞いたままを発表した。

大学時代、バンドサークルで出逢った両親は当時ヘヴィーメタルが好きで、Mötley Crüeというバンドのベーシスト「Nikki Sixx」から取

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