中島光信/ブッダアス!(Buddhist in residence)

僧侶・ファシリテーター/毎週水曜コラム更新/WORKSHOP AID「世界三大宗教から…

中島光信/ブッダアス!(Buddhist in residence)

僧侶・ファシリテーター/毎週水曜コラム更新/WORKSHOP AID「世界三大宗教から見た映画評論」ライブ配信etc./各種ワークショップ告知

記事一覧

台風の日の朝焼け

深夜の地震は、眠気の中で聞いた。 夢と混濁していて、身体が動かない。 意識の片隅で「地震だ、大きいぞ」という声がする。 揺れ続けているけれど一方で睡魔が「大丈夫だ…

映画レビュー:24年8月の1本

・壁は語る (2022年/スペイン/カルロス・サウラ監督) 3万年前の洞窟壁画と現代のストリートのグラフィティを並列にし、それぞれ当事者(考古学者とグラフィティライ…

映画レビュー:24年7月の4本

・ルックバック (2024年/日本/押山清高監督) あー泣いた泣いた。クズはクズなりにやってこう。やり続けるしかない。音楽がharuka nakamuraでびっくり。 ・マッドマッ…

映画レビュー:24年5月の7本

・クイーン・オブ・ダイヤモンド (1991年/アメリカ/ニナ・メンケス監督) パトカー鳴ってても群集の騒ぎの中にいても無音(サイレント)にして静けさのコントロール。…

掃除機でぶいん

本堂の掃除をしていたら、スズメバチが死んでいた。 妻は「本堂で死ぬなんて、徳の高いやつだ。来世は人間だな。」と死骸に言葉をかけ、掃除機でぶいんと吸った。 特に特…

寝相で家族

夜、家族が並んで寝ている布団の隙間に、そっと潜り込む。1日の中でもっとも幸せな瞬間だ。 この安らぎも長くは続かない。そんな諦念があるから、このときを掛け値なしに…

映画レビュー:24年4月の7本

・DUNE 砂の惑星 PART2 (2024年/アメリカ/ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督) 古今東西繰り返されてきたサーガっちゃサーガだろうが、いやぁまったく、違う惑星のSFと思うからマ…

映画レビュー:24年3月の11本

・ミレニアム・マンボ (2001年/台湾、フランス/ホウ・シャオシェン監督) 光の色合いがまだまだアナログの頃で、全然違うんだよなぁ。目にやさしいし温かみがある。女も…

銭湯巡礼記11~福井県福井市「宝永湯」(24年2月)

取材をかねて人生初の福井県へ。しかしこんなに駅前が恐竜推しだとは。今月に新幹線が開通するようなので、急ピッチに工事が進められていた。きっと人の流れも変わるんだろ…

銭湯巡礼記⑩~岩手県奥州市「薬師堂温泉」(24年2月)

今年で最後となる黒石寺「蘇民祭」参加のため、岩手県奥州市へ。JP東日本圏内が平日10,000円で1日乗り放題の「キュンパス」を利用できたのが有難かった。 到着したのは一…

銭湯巡礼記⑨~【閉館】東京都稲城市「よみうりランド丘の湯」(24年1月)

思い出深い「よみうりランド丘の湯」さんが、2024年の1月8日をもって20年の営業を終えた。最後のお別れに家族で訪問。 目の前がよみうりランドなので大観覧車が眼前に。日…

映画レビュー:24年2月の7本

・カラオケ行こ! (2023年/日本/山下敦弘監督) 紅だー!あぁ面白かった。編集少し詰めた方がリズム出てもっと面白いよ!とかはあったけれど、上出来です、満足♪ ・ガ…

映画レビュー:24年1月の7本

・午前4時にパリの夜は明ける (2022年/フランス/ミカエル・アース監督) 2024年の映画初め。シャルロット・ゲンズブール。それに尽きる。マジックアワー。 ・PERFECT DA…

2023ベストアクト5

2023年の個人的ベストアクト5を振り返る 5/31(水) THA BLUE HERB tha BOSS「IN THE NAME OF HIPHOP Ⅱ」RELEASE LIVE@ LIQUIDROOM(恵比寿) ステージングが目に焼きつ…

映画レビュー総括:23年の86本

2023年は劇場で86本の鑑賞。中でも印象的だったのは、 「aftersun/アフターサン」(2022年/米/シャーロット・ウェルズ監督) 「エドワード・ヤンの恋愛時代」(1994年/台…

映画レビュー:23年12月の13本

・アメリ (2001年/フランス/ジャン=ピエール・ジュネ監督) 傑作!たまにカメラ目線になるメタさ、アングル変化、早送りやCGなど大好物。10代後半だった、この90年代終…

台風の日の朝焼け

台風の日の朝焼け

深夜の地震は、眠気の中で聞いた。

夢と混濁していて、身体が動かない。
意識の片隅で「地震だ、大きいぞ」という声がする。
揺れ続けているけれど一方で睡魔が「大丈夫だろう」と覚醒を妨げ、しばらくたって揺れが治まると、ほらね、と、安心してまた気絶していく。

ときには「これは大きいぞ、いつもと違う揺れだ」という時もあるけれど、大概はやり過ごし、朝を迎える。するとケロッとしていて、家族に「昨晩の地震大き

もっとみる
映画レビュー:24年8月の1本

映画レビュー:24年8月の1本

・壁は語る
(2022年/スペイン/カルロス・サウラ監督)

3万年前の洞窟壁画と現代のストリートのグラフィティを並列にし、それぞれ当事者(考古学者とグラフィティライター)にインタビューするという、旨み溢れるドキュメンタリー。劇中「(古代人は)見えるものは描かなくてもわかるから、描かなかった」というくだりや、「自然が語りかけてくると、そこにはじめて物語が生まれる」くだりなど、示唆に富んでいて、鑑賞

もっとみる
映画レビュー:24年7月の4本

映画レビュー:24年7月の4本

・ルックバック
(2024年/日本/押山清高監督)

あー泣いた泣いた。クズはクズなりにやってこう。やり続けるしかない。音楽がharuka nakamuraでびっくり。

・マッドマックス:フュリオサ
(2024年/アメリカ/ジョージ・ミラー監督)

ずっと高密度でハイテンション、気づいたらずっと座席前のめりで超集中。疲れた。。けど面白かった。通奏低音のドラムロール心地良いし、ラストのつながりも良

もっとみる
映画レビュー:24年5月の7本

映画レビュー:24年5月の7本

・クイーン・オブ・ダイヤモンド
(1991年/アメリカ/ニナ・メンケス監督)

パトカー鳴ってても群集の騒ぎの中にいても無音(サイレント)にして静けさのコントロール。聞かせたい音だけフォーカスして拾ったり、静けを操る手法が巧み。セリフはごくわずか。寝た。

・リバー・オブ・グラス
(1994年/アメリカ/ケリー・ライカート監督)

「ロードのないロードムービー、愛のないラブ・ストーリー、犯罪のない

もっとみる
掃除機でぶいん

掃除機でぶいん

本堂の掃除をしていたら、スズメバチが死んでいた。

妻は「本堂で死ぬなんて、徳の高いやつだ。来世は人間だな。」と死骸に言葉をかけ、掃除機でぶいんと吸った。

特に特別のことではなく、日常の動作といった感じで、掃除機がけを続けていく。

なにげない言動だけれど、妻が「お寺の奥さん」っぽいなぁと思うのだった。

私は声に出して「なんまんだぶ、なんまんだぶ」とつぶやき、そして護摩壇の掃除を続ける。

寝相で家族

寝相で家族

夜、家族が並んで寝ている布団の隙間に、そっと潜り込む。1日の中でもっとも幸せな瞬間だ。

この安らぎも長くは続かない。そんな諦念があるから、このときを掛け値なしに愛おしく思う。

一番遠くで寝ている娘の規則的な寝息が聞こえる。ときおり不意に話し始めると、心底嬉しそうな声でけたけた笑う。学友と遊ぶ夢でも見ているのだろうか。毎日の学校生活がたまらなく楽しいのだろう。日々の学びの様子を誇らしげに語ってく

もっとみる
映画レビュー:24年4月の7本

映画レビュー:24年4月の7本

・DUNE 砂の惑星 PART2
(2024年/アメリカ/ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督)

古今東西繰り返されてきたサーガっちゃサーガだろうが、いやぁまったく、違う惑星のSFと思うからマダ見ていられるけどさぁ。現在の世界情勢と無縁で観らんねーだろこんなんよ(呆)脳みそ戦争のマッスル映画ですよ。計略と政略と火炎放射して切り札が核って。核の扱いが幼稚すぎるアメリカ映画どうにかならないんすかね。

・ロイ・

もっとみる
映画レビュー:24年3月の11本

映画レビュー:24年3月の11本

・ミレニアム・マンボ
(2001年/台湾、フランス/ホウ・シャオシェン監督)

光の色合いがまだまだアナログの頃で、全然違うんだよなぁ。目にやさしいし温かみがある。女も男も(小道具として)タバコ吸いすぎ。てか夕張ロケのくだり、脈絡なさすぎる。どんな力が働いてこの捻じ込みシーンがあるのか。。

・ロッタちゃん はじめてのおつかい
(1993年/スウェーデン/ヨハンナ・ハルド監督)

よくねた。劇場に

もっとみる
銭湯巡礼記11~福井県福井市「宝永湯」(24年2月)

銭湯巡礼記11~福井県福井市「宝永湯」(24年2月)

取材をかねて人生初の福井県へ。しかしこんなに駅前が恐竜推しだとは。今月に新幹線が開通するようなので、急ピッチに工事が進められていた。きっと人の流れも変わるんだろう。

そんな福井駅そばで探した、こちら「宝永湯」(ほうえいゆ)さんを訪問。

のれんをくぐると、あまり見たことのない造りのエントランスだった。

扉の向こうには番台。こぢんまりした町の銭湯という趣き。ハウス型天井の浴室にタイル張りの壁、銭

もっとみる
銭湯巡礼記⑩~岩手県奥州市「薬師堂温泉」(24年2月)

銭湯巡礼記⑩~岩手県奥州市「薬師堂温泉」(24年2月)

今年で最後となる黒石寺「蘇民祭」参加のため、岩手県奥州市へ。JP東日本圏内が平日10,000円で1日乗り放題の「キュンパス」を利用できたのが有難かった。

到着したのは一関駅。そこからレンタカーで友人の寺などを回って北上し、水沢で宿を取った。ここから黒石寺までは車で20分程と近い。そこで日帰り温泉を検索し出てきたのがこの「薬師堂温泉」。

東北を旅慣れた方から、出発前に「黒石寺に行くなら、薬師堂温

もっとみる
銭湯巡礼記⑨~【閉館】東京都稲城市「よみうりランド丘の湯」(24年1月)

銭湯巡礼記⑨~【閉館】東京都稲城市「よみうりランド丘の湯」(24年1月)

思い出深い「よみうりランド丘の湯」さんが、2024年の1月8日をもって20年の営業を終えた。最後のお別れに家族で訪問。

目の前がよみうりランドなので大観覧車が眼前に。日中の仕事を終えてからだといつも宵からしか来られなくて、そのたびに遊園地に入りたがる娘を「今日は遅くなっちゃったから、別の日に来ようね」となだめながら、結局、遊園地には1度も入らずに、この「丘の湯」最終訪問日を迎えてしまった。そして

もっとみる
映画レビュー:24年2月の7本

映画レビュー:24年2月の7本

・カラオケ行こ!
(2023年/日本/山下敦弘監督)

紅だー!あぁ面白かった。編集少し詰めた方がリズム出てもっと面白いよ!とかはあったけれど、上出来です、満足♪

・ガッジョ・ディーロ
(1997年/フランス ・ルーマニア/トニー・ガトリフ監督)

ロマの歴史つらい。今の時代に穏やかには観れない。音楽で包んではいるけれど、とてもつらい映画でした。

・レザボア・ドッグス
(1992年/アメリカ/

もっとみる
映画レビュー:24年1月の7本

映画レビュー:24年1月の7本

・午前4時にパリの夜は明ける
(2022年/フランス/ミカエル・アース監督)

2024年の映画初め。シャルロット・ゲンズブール。それに尽きる。マジックアワー。

・PERFECT DAYS
(2023年/日本・ドイツ/ヴィム・ヴェンダース監督)

虫唾の走る映画。上映中何度席を立とうと思ったことか(観たけど。ぐぬぬ)。庶民はこうあれ、慎ましく、涙をこらえ、たまに自分へのご褒美でガス抜きしてね、知

もっとみる
2023ベストアクト5

2023ベストアクト5

2023年の個人的ベストアクト5を振り返る

5/31(水)
THA BLUE HERB tha BOSS「IN THE NAME OF HIPHOP Ⅱ」RELEASE LIVE@ LIQUIDROOM(恵比寿)
ステージングが目に焼きついてる。Mummy-Dの登場シーン、マイケル・ジャクソンの「ライヴ・イン・ブカレスト」の登場シーンみたいで、メチャかっこよかったな。後からもじわじわ反芻できる、

もっとみる
映画レビュー総括:23年の86本

映画レビュー総括:23年の86本

2023年は劇場で86本の鑑賞。中でも印象的だったのは、

「aftersun/アフターサン」(2022年/米/シャーロット・ウェルズ監督)
「エドワード・ヤンの恋愛時代」(1994年/台湾/エドワード・ヤン監督)
「福田村事件」(2023年/日本/森達也監督)
「アメリ」(2001年/仏/ジャン=ピエール・ジュネ監督)
「越後奥三面―山に生かされた日々」(1984年/日本/姫田忠義監督)

とい

もっとみる
映画レビュー:23年12月の13本

映画レビュー:23年12月の13本

・アメリ
(2001年/フランス/ジャン=ピエール・ジュネ監督)

傑作!たまにカメラ目線になるメタさ、アングル変化、早送りやCGなど大好物。10代後半だった、この90年代終わり~2000年代初頭の雰囲気が自分の基盤を作っているのだな。すごくしっくり来るし、かっこいいと思うもの。当時のアメリフィーバーを白い目で見ていたけれど、今観れてよかったです。

・陽炎座
(1981年/日本/鈴木清順監督)

もっとみる