樋口尚文のシネマ・ロイヤルサロン|黒沢清監督『スパイの妻』

黒沢清監督の映画を観ていると「濾過」と「越境」を同時に体験することになる。たとえば『クリーピー 偽りの隣人』を観ていると、その猟奇殺人鬼を描くサスペンスが映画的な要素のみに「濾過」され、映画の純度を増してゆくに連れて、サスペンス以外の映画に「越境」してゆくのを体感する。『散歩する侵略者』は侵略SF物、『ダケレオタイプの女』は降霊オカルト物、『旅の終わり世界のはじまり』は(言うなれば)自分探しヒロイ

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【女帝と月と諏訪太郎と】7月6日〜12日 日記

都知事選が終わった。

結果、ご存知の通り女帝の圧勝。
山本太郎は「宇都宮さんと野党票を食い合う」と非難され続けてきたが、山本宇都宮、さらには維新公認の小野を束にしても勝てない票数だった。

野党共闘にどれだけの意味があるのか。野党共闘すれば強い、と思ってるのは野党だけじゃないのか。山本太郎が「宇都宮さんの応援に回ったらどうか」と問われた時に答えた「それでも、たかが応援なんです(的な意味のことをい

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スキ、ありがとうございます!おかげで生きていけます。
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『贖罪』贖罪とは絶対的孤独である

『贖罪』黒沢清
普通のテレビドラマでは絶対に見られない黒沢節が惜しみなく発揮された映画レベルに到達した稀有なドラマ。贖罪が新たな罪を生む連鎖。罪の連鎖は主人公・足立麻子をどこに連れていったのか?

特筆すべきはやはり日本を代表する映画監督である黒沢清の空間演出。一般的なテレビドラマでは絶対にそこまでは拘らないし発想さえない光の演出、小道具による空間設計が視聴者を唸らせる。WOWOWだからお金と時間

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ありがとうです
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未来の夢を見た(次に売り切れるもの)

それは、いつも決まって未来の夢だった

黒沢清監督映画「アカルイミライ」の冒頭のセリフです。

好きで時たま見るんですが、アカルイミライ自体のお話はまた後日...

先日、かゆみ止めのムヒについて

「一回塗れば痒みは止まるし、ぶり返さないし、乾燥肌の痒みにも(一時的に)効いちゃって、肌の荒れも良くなっちゃうよ!」

という内容の記事をアップしたんですが、

田舎に帰ってきてから、蚊に刺されたとこ

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ありがとうございます!他の記事も読んでいただければ嬉しいです!
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『スパイの妻』のウラバナシ(3)

10月の劇場公開も情報解禁となりました、『スパイの妻』。 いやー、多くの皆さんに見て頂けるようで、よかったなあーと思いますね。是非ね、映画も(コロナに気をつけつつ)劇場でご覧いただければと思いますけども。

■試写に行って参りました

 先日ですね、実は映画版の「初号試写」に参加させていただきまして、都内某所の試写室にて拝見して参りました。観られずにやきもきされている皆様には大変申し訳ないのですけ

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【スキおみくじ】吉です! 多少深酒してもよさげです!
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シネマクティフ東京支部の音声配信Vol.90
今回は2020年下半期公開予定の期待作を4人で話しております。
(ronpe)

Music:MusMus http://musmus.main.jp/

Kiyoshi Kurosawa by Jim O’Rourke(bombmagazine.org)

BOMB Magazine ジム・オルークの黒沢清へのインタビュー記事のDeepL翻訳

Photo of Kiyoshi Kurosawa, director of Bright Future, a Palm Pictures release. All photos courtesy of Palm Pictures LLC, 2004.

90年代前半の私は、今村、大島、若松、鈴木などの名作映

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【DAY 19】お気に入りの監督の映画 「LOFT ロフト」

DAY 19
a film made by your favourite director.
お気に入りの監督の映画

「LOFT ロフト」
黒沢清監督
中谷美紀、豊川悦司、西島秀俊、安達祐実

小説家の礼子(中谷美紀)は新作の執筆に行き詰まり、気分転換で郊外の一軒家に引っ越す。ある日、家の裏手に廃屋を発見、その建物は大学の研究施設として利用されているようだ。考古学者の吉岡(豊川悦司)がそこに出入

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映画「回路」をいまさら考察

DVDで、テレビの深夜映画で、CSで、アマゾンプライムで、録画したHDDで。幾度となく黒沢清監督の「回路」を鑑賞してきました。マニアではないので微細なシーンまで記録や記憶しているわけではありませんが、最近またアマゾンプライムでじっくり(スマホで)観たので、今さらながらに考察文など認めてみます。

どんな映画?

 2001年に公開された黒沢清監督の映画です。一応はホラー映画ですね。幽霊とか出てくる

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大好きなあなたの今日の運勢は【吉】
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黒沢清「花子さん」(2001年)

1、ざっくり概要

<ログライン>
・中学時代に同級生を自殺に追い込んでしまった過去に苦しむ若者達が、
・廃校になった母校に集まり、トイレで「花子さん」をして、
・花子さんに「出てきて、私を苦しめるものを消してほしい」と、お願いする話。(そもそも、花子さんって願いを叶えてくれるんだっけ?)

<登場人物表>
・主人公(京野ことみ)
 20代女性。いじめの主犯格だった。
・男友達(加藤晴彦)
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