長江貴士

これまで4000冊近くの本を読んできました。 「文庫X」とか「帯1グランプリ」とかやり…

長江貴士

これまで4000冊近くの本を読んできました。 「文庫X」とか「帯1グランプリ」とかやりました。 『書店員X』(中央公論新社)とか『このままなんとなく、あとウン十年も生きるなんて マジ絶望』(秀和システム)とか著作があります。 なるべく、フラフラと適当に緩やかに生きていきたいです。

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    • 【映画】「No.10」感想・レビュー・解説

      いやーーーー、凄かった!まさかこんな話とは。物語の中盤ぐらいでいきなり「およよ!」みたいな展開になるのが凄まじい。しかも、そんな「およよ!」的な展開なのに、それまでの物語とトーンもさほど変わらないのも驚きだったなぁ。 普通、こんな物語成立しないと思うのだが、本作はどうにも成立しているように僕は見えた。不思議だ。無茶苦茶な物語なのに。 さて、感想を書くのに公式HPを開いたら、冒頭に「みんなネタバレしないでね!」というお願いの文章が書かれていた。まあ、僕は後半の展開には具体的

      • 【映画】「コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話」感想・レビュー・解説

        いやー、凄い物語だった。そして、こういう物語に触れる度、僕自身も男ではあるが、「男が作った社会」のクソさに嫌気が差す。ホントに、「男」という種族は碌でもない。 以前、『あのこと』という映画を観たことがある。中絶が違法行為だったフランスを舞台に、「勉学に打ち込みたいと思っている若い女性」が望まぬ妊娠をしてしまい、その中絶のために奔走するという物語だ。 本作『コール・ジェーン』もまた、中絶が禁止されていた時代のアメリカ・シカゴを舞台にした物語だ。「ジェーン」という、実在した団

        • 【映画】「霧の淵」感想・レビュー・解説

          うーーーーん、って感じだったなぁ。 僕はやはり、映画(に限らず物語)には「ストーリー展開」を求めてしまう。時々、「何も起こらないのにメチャクチャ面白い」みたいな作品もあるが、そういうケースは稀だ。基本的には「何かが起こってほしい」と思って映画を観ている。 そんなわけで、「美しい風景」とか「印象的な音楽」とか「インパクトのある衣装」とか、そういうものにも特段興味がない。 そういうわけで、本作『霧の淵』は、ちょっとなんともなぁ、という感じだった。 本作は恐らく、「美しい風

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          【映画】「日日芸術」感想・レビュー・解説

          (東京にお住みの方、新宿K’s cinemaでの上映は4/26(金)までなので、興味がある方はお早めに) いやー、面白かった!まったく想像もしていなかった作品でビックリしたけど、とにかく良い映画だった。しかし、まさかドキュメンタリー映画だとはなぁ。驚いた。 いや、そういうことは時々ある。フィクションだと思っていたけどドキュメンタリーだったとか、ドキュメンタリーだと思ってたけどフィクションだったとか。しかし本作の場合、女優・富田望生が出演していることだけは分かっていたので、

          【映画】「日日芸術」感想・レビュー・解説

          【映画】「ナチ刑法175条」感想・レビュー・解説

          僕が「刑法175条」という法律の存在を知ったのは、少し前に観た映画『大いなる自由』でのことだった。驚いた。ドイツでは長らく「男性の同性愛」が刑事犯罪だったからだ。1871年、ナチスによって制定されたこの法律は、幾度かの改訂を繰り返しながら、なんと1994年まで存在したそうだ。映画『大いなる自由』は、そのような時代を生きた男の辛い人生を描き出す物語である。 『大いなる自由』の描写で驚かされたのは、主人公の男性が「強制収容所にいたことがある」と語っていたことだ。僕はそれまで強制

          【映画】「ナチ刑法175条」感想・レビュー・解説

          【映画】「フォロウィング」感想・レビュー・解説

          いやー、凄かったなぁ。びっくりした。なにせ、物語の途中まで「ストーリーがまったく分からなかった」からだ。 この「分からなかった」というのは、ミステリ的な意味での「分からない」ではない。 ミステリの場合、「謎は提示されたが、解決が分からない」ということがほとんどだろう。つまり、「この謎は、いかにして解き明かされるのか」という点が「分からない」というわけだ。 しかし本作『フォロウィング』の場合は違う。「そもそも『謎』が何なのか分からない」のだ。いや、これも正確な表現ではない

          【映画】「フォロウィング」感想・レビュー・解説

          【映画】「ゴッドランド/GODLAND」感想・レビュー・解説

          さて、ストーリー的には正直なところ、僕には退屈だった。前半は、物語という意味ではほぼ展開しない。後半、旅が終わり教会建設に着手するようになってからは物語が動き始めるが、それにしてもメチャクチャ惹かれるみたいなことではなかった。 ただ、「状況」と「映像」はなかなか凄い映画だった。その辺りの話をしていこうと思う。 舞台は19世紀後半のアイスランド(19世紀後半というのは映画を観ているだけでは分からないので、公式HPからの情報)。この時期アイスランドは、デンマークの統治下にあっ

          【映画】「ゴッドランド/GODLAND」感想・レビュー・解説

          【映画】「インフィニティ・プール」感想・レビュー・解説

          久々になかなかぶっ飛んだ、狂気的な作品だった。映画を観ながら本当に、「映画『ポゼッサー』みたいな演出するなぁ」と思ったのだが、本当に映画『ポゼッサー』のブランドン・クローネンバーグが本作の監督だった。そりゃあ、イカれてるわけだ。 以前何かで、こんな話を耳にしたことがある。「車を運転していると性格が変わる」という話に関するものだ。 「車を運転していると性格が変わる」と聞くと、「普段は穏やかな人なのに、車に乗ると凶暴になる」みたいな理解になるだろう。しかしその理解は、実は正し

          【映画】「インフィニティ・プール」感想・レビュー・解説

          【映画】「ザ・エクスチェンジ」感想・レビュー・解説

          「実話を基にした物語」と映画の最後に表記されるし、観る前の時点でそのことは知っていたので、冒頭から「これが実話なのか?」と戸惑った。その後の展開も含め、どう考えても「実話とは思えないような物語」なのだ。 映画の最後に、「They’ll be back.(彼らは戻ってくる)」の文字と共に、実際の映像がいくつも流れた。人質が戻ってきた様子を捉えた映像だ。それを見てようやく、「色んな実話から様々な要素を組み合わせて生み出された物語なのだな」と理解できた。公式HPにも、「本作は、2

          【映画】「ザ・エクスチェンジ」感想・レビュー・解説

          「持ち家か賃貸か」をド素人が論理的思考で考えてみる

          「持ち家か賃貸か」みたいな話はよくある議論と言えるだろう。僕も時々読んでみたりするのだが、大体の場合「よく分からない」という印象になることが多い。まあもちろん、「スパッと結論が出るような話題じゃない」から当然なのだが、僕は前々から、「専門的な知識が無くたって、『論理的思考』によってもう少し状況を整理できるはずじゃないか」と感じていた。 ので、自分なりにその辺りの思考をちょっとまとめてみようと思う。ちなみに僕は、不動産業界に関係もなければ、不動産を購入したこともなく、今後購入

          「持ち家か賃貸か」をド素人が論理的思考で考えてみる

          【映画】「オッペンハイマー」感想・レビュー・解説

          なかなか難しい映画である。これは決して「難解」という意味ではない。物語的には「一人の人間の苦悩を描く」という作品であり、ストーリーとしては難解なものではない。しかし「ある程度知識が必要」という意味で難しさがあると感じた。 というわけでまずは、その辺りの難しさについて触れておこう。この部分は、「映画を観る前に知っておいてもいいこと」でもあると思うので、参考にしてほしい。 まず、僕自身の話を少しすると、僕は物理や科学が好きで、原子爆弾の技術のベースとなっている量子力学について

          【映画】「オッペンハイマー」感想・レビュー・解説

          【映画】「成功したオタク」感想・レビュー・解説

          映画としてメチャクチャ面白かったかというとそんなことはないのだが、なかなか興味深いテーマだった。 というか、本作を観てまず何よりも驚かされたのは、「K-POPスターは性犯罪しすぎじゃないか?」ということだ。 本作では「推し活」がメインで描かれていて、そして「推しが逮捕される」という経験をする。本作で「推し」とされているのは、日本でいう「旧ジャニーズ」や「LDH系グループ」、あるいはオーディション番組出身のグループなどだろう。そしてそういう人たちが「性加害」で逮捕されている

          【映画】「成功したオタク」感想・レビュー・解説

          【映画】「美と殺戮のすべて」感想・レビュー・解説

          小林製薬の紅麹問題が大きな話題になっている今、とてもタイムリーな作品と言っていいだろう。もちろん、規模も性質もまったく違う。何せアメリカでは、サックラー家が創業した製薬会社パーデュー・ファーマが発売した「オキシコンチン」(オピオイド鎮痛薬の一種)により、50万人以上が亡くなったといい、今もその被害が拡大しているからだ。 とんでもない話である。 もちろん、死者が多数出ていることが最大の問題なのだが、サックラー家に関して言えばさらに問題がある。それは、「オキシコンチンによる莫

          【映画】「美と殺戮のすべて」感想・レビュー・解説

          【映画】「ラインゴールド」感想・レビュー・解説

          なかなかおもしろかった。やっぱり、実話が基になっている作品は面白い。本作は正直「冗談みたいな話」であり、フィクションだったらまず受け入れられないだろう。何せ、「銀行強盗で捕まり禁錮8年を食らったのに、獄中でラップを録音し、刑務所にいる間にCDを発売、今ではドイツでは知らぬ者はいないラッパー&音楽プロデューサーになっている」というのだから。おいおい、ってな話だろう。 物語は2010年シリアで始まる。世界中を逃げ続けていたジワ・ハジャビ(後のカター)は、ここで捕まった。金歯を抜

          【映画】「ラインゴールド」感想・レビュー・解説

          【映画】「ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター」感想・レビュー・解説

          何も知らずに観ていたら、もしかしたら、「男の妄想」みたいな捉え方をしてしまっていたかもしれない。ただ本作については、たまたま、「監督であるジェーン・カンピオンが、カンヌ国際映画祭で女性監督初のパルム・ドール受賞を成し遂げた」という情報だけ知っていた。「女性が撮った映画」ということを知った上で観れたのは良かったかなと思う。 まずはざっくりと内容紹介から。 物語は、1852年のスコットランドから始まる。一人娘のフロラを育てる未亡人のエイダは、父親が決めた結婚相手の元へと嫁ぐた

          【映画】「ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター」感想・レビュー・解説