【映画】「潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断」感想・レビュー・解説


いや、良い話だった。良い話だったなぁと思う。でも、なんでだろうなぁ、あんまりぐっとこなかった。良い話なんだけどなぁ。

さて、相変わらず僕は、内容を知らずに映画を観に行っているので、冒頭からしばらくの間「何を描こうとしているのか」が全然分からなかった。本作は、「イタリアの潜水艦が、敵対するイギリスの物資を運んでいたベルギーの輸送船の乗組員を救った」という実話を基にした物語なのだが、その話が展開されるのは、物語の中盤ぐらいからである。冒頭からしばらくは、コマンダンテ・カッペリーニという名前の潜水艦の艦長と、その乗組員たちの話が描かれる。そして、先の展開を知らずに観ている僕としては、「これがこれからどうなるんだ?」みたいな感覚で1時間ぐらい観ていた感じである。

最初から「敵国の支援をしていた乗組員を助ける」という物語だと知っていたらもう少し違う見方になったかもしれないけど、僕としては、最初の1時間ぐらいは、ちょっと退屈に感じられてしまった。

そしてその後、本題の物語が展開されていくわけだが、正直そこからの物語も、凄く展開があるというわけではない。実話を基にしているから仕方ないのかもしれないが、個人的には「もう少し何かあっても良かったかな」という気がした。多少フィクションを織り交ぜてでも、もう少しドラマティックに描いた方が良かったような気が僕はした。まあその辺りは、人によって簡素は違うと思うけど。

ただやはり、「ベルギー船の乗組員を助けよう」と決断し実行した船長は凄いと思う。もちろん、「助けた時点で、飲料や食料がかなり少なくなっていた」とか「艦内が狭くて、助けた乗組員を収容するには、潜水艦の乗組員も含め立っていなければならない」などの大変さもあるのだが、それ以上の困難さが本作では描かれている。

それは、「潜水艦なのに潜行出来なくなってしまった」という点だ。別に機械の故障などではない。艦内にスペースがなさすぎて、「甲板上の司令室」にもベルギー船の乗組員を収容するしかなかったからだ。

当然、そのまま潜行すれば、「甲板上の司令室」にいる者たちは溺れ死ぬ。副長は、「潜行しないと、こちらの乗組員も死ぬ」と艦長に訴えるが、艦長は全員を救うためのある決断をするのだ。

という部分は凄く良かった。ただ、個人的には、全体の中でグッと来る部分はここしかなかったような気がする。いや、あるいはあるのだけど、この「潜行しなければ全員死ぬ」に比べれば小粒な感じがあって、うーんという感じだった。

決して悪くはないし、鑑賞後に知った事実だが、本作は「実物大のコマンダンテ・カッペリーニを再現した」そうなので、そのリアリティも圧倒的と言えるだろう。ただちょっと、僕には合わなかったかなぁ、という感じだった。残念。

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