長江貴士

これまで4000冊近くの本を読んできました。 「文庫X」とか「帯1グランプリ」とかやり…

長江貴士

これまで4000冊近くの本を読んできました。 「文庫X」とか「帯1グランプリ」とかやりました。 『書店員X』(中央公論新社)とか『このままなんとなく、あとウン十年も生きるなんて マジ絶望』(秀和システム)とか著作があります。 なるべく、フラフラと適当に緩やかに生きていきたいです。

記事一覧

【映画】「ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー」感想・レビュー・解説

さて、相変わらず僕は、よく知らない人物のドキュメンタリー映画を見に行くのだが、今回はジョン・ガリアーノ。本作を観る前(正確には「本作の予告を観る前」)の時点で僕…

長江貴士
12時間前
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【映画】「夏目アラタの結婚」感想・レビュー・解説

思いがけず面白くてビックリした。と書くのは失礼だが、ただ、個人的には「黒島結菜を観に行った」ぐらいのつもりだったので、「映画も面白くてラッキー」みたいな感じにな…

長江貴士
4日前
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【映画】「侍タイムスリッパー」感想・レビュー・解説

いやー、これはなかなか面白い映画だったなぁ!自主制作映画とは、驚きだ。 さて、本作『侍タイムスリッパー』のことを知ったのはたぶん、一昨日ぐらいだと思う。先週の金…

長江貴士
6日前
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【映画】「ヒットマン」感想・レビュー・解説

これは、とにかく設定がメチャクチャ面白かったなぁ。しかも、冒頭で「やや実話」と表記された通り、本作は実在の人物をモデルにしている。どの程度事実に基づいているのか…

長江貴士
7日前
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【映画】「ぼくのお日さま」感想・レビュー・解説

なるほどなぁ、そんな話なのか。ちょっとビックリした。この作品については、映画館で何度も観たが、こんな感じの物語だとは想像できなかった。 とても良かったなと思う。…

長江貴士
8日前
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【映画】「なみのおと」感想・レビュー・解説

本作はずっと観たいと思っていた。以前読んだ『ユリイカ 濱口竜介特集』に、本作について書かれていたからだ。 観たいと思っていた理由にはもちろん、「東日本大震災後を…

長江貴士
11日前
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【映画】「ナミビアの砂漠」感想・レビュー・解説

本作を観たのは完全に、河合優実が主演だからだ。それ以外の理由はない。 しかし観ながら、「もし河合優実がいなかったら、誰を主演にしたんだろう?」と考えさせられた。…

長江貴士
2週間前
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【映画】「チャイコフスキーの妻」感想・レビュー・解説

天才作曲家チャイコフスキーの妻は、「世紀の悪妻」と評されているそうだ。本作の予告を観るまで、そもそもその事実を知らなかった。そして本作は、そんな妻アントニーナの…

長江貴士
2週間前
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【映画】「僕はイエス様が嫌い」感想・レビュー・解説

宗教(一神教)と妖怪は似ていると思う。 民俗学に詳しいわけではないので的外れかもしれないが、「妖怪」というのは基本的に、「当時の知識では説明できない出来事に理屈…

長江貴士
2週間前
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【映画】「きみの色」感想・レビュー・解説

なるほど、『けいおん!』の人が監督なのか。ということさえ知らないまま観に行った。っていうか『けいおん!』も観てないし。 しかし、良い映画だったなぁ。「何が良かっ…

長江貴士
2週間前
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【映画】「愛に乱暴」感想・レビュー・解説

これはホントに、絶妙にヒリヒリする物語だった。描かれているのは「ありふれたような日常」なのだが、その日常が少しずつ歪んでいく。その歪み方がとても絶妙で、さらにそ…

長江貴士
2週間前
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【映画】「掟」感想・レビュー・解説

さて、いつものことだが、僕は石丸伸二には全然興味がない。というかむしろ、「嫌いなタイプの人間だなぁ」と感じていた。そして個人的に、「どうして石丸伸二は支持されて…

長江貴士
3週間前
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【映画】「ボストン1947」感想・レビュー・解説

いやー、これはメチャクチャ面白かったなぁ。いやもちろん、日本人である僕が「面白かった!」と書くのは憚られる部分もあるのだが。 本作の物語(というか実話)が生まれ…

長江貴士
3週間前
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【映画】「劇場版 アナウンサーたちの戦争」感想・レビュー・解説

まったくノーマークの作品で、映画の存在さえ知らなかったが、なかなか面白かった。「劇場版」というタイトルをあまり気にしていなかったが、どうやら元々はNHKのテレビ放…

長江貴士
3週間前
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【映画】「ラストマイル」感想・レビュー・解説

なかなか面白い映画だった。ちなみに僕は『アンナチュラル』も『MIU404』も観ていない。いや、「観ていない」と書くと嘘になるか。年末年始に、人気ドラマを一気に放送した…

長江貴士
3週間前
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【映画】「箱男」感想・レビュー・解説

さて、どうでもいいことではあるのだが、Filmarksの記録によると、この『箱男』が、僕がこれまでに観てきた映画の1000作目であるようだ。まあ、とりあえず記録として。 さ…

長江貴士
4週間前
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【映画】「ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー」感想・レビュー・解説

さて、相変わらず僕は、よく知らない人物のドキュメンタリー映画を見に行くのだが、今回はジョン・ガリアーノ。本作を観る前(正確には「本作の予告を観る前」)の時点で僕は、「ジョン・ガリアーノ」という響きを耳にしたことはあったと思うけど、それが「ファッションデザイナー」とは結びついていなかったと思う。本作で扱われる、彼がキャリアをすべて捨てることになった出来事についても知らなかった。

そんなわけで僕は、

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【映画】「夏目アラタの結婚」感想・レビュー・解説

思いがけず面白くてビックリした。と書くのは失礼だが、ただ、個人的には「黒島結菜を観に行った」ぐらいのつもりだったので、「映画も面白くてラッキー」みたいな感じになった。しかし、「歯がメチャクチャ汚い黒島結菜」のビジュアルはインパクトあるなぁ。演技も凄かった。

さて、この「歯」の話で言えば、本作を観る前にネット記事で、「原作者が『真珠の歯の再現』の見事さに映画化をOKした」みたいなのを読んだ記憶があ

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【映画】「侍タイムスリッパー」感想・レビュー・解説

いやー、これはなかなか面白い映画だったなぁ!自主制作映画とは、驚きだ。

さて、本作『侍タイムスリッパー』のことを知ったのはたぶん、一昨日ぐらいだと思う。先週の金曜日ぐらいから全国で拡大公開されたことを伝える記事の見出しだけ見たのだ。そこには「カメ止めの奇跡再来」と書かれていた。「カメ止め」とはもちろん映画『カメラを止めるな!』のことだ。そして本作『侍タイムスリッパー』も『カメラを止めるな!』と同

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【映画】「ヒットマン」感想・レビュー・解説

これは、とにかく設定がメチャクチャ面白かったなぁ。しかも、冒頭で「やや実話」と表記された通り、本作は実在の人物をモデルにしている。どの程度事実に基づいているのかわからないが、主人公ゲイリー・ジョンソンの設定については大雑把には事実だろう。

というわけで、まずはそんな主人公の設定を含めた内容紹介をざっとしておこう。

ニューオーリンズ大学で心理学と哲学の講師として働くゲイリー・ジョンソンは、趣味の

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【映画】「ぼくのお日さま」感想・レビュー・解説

なるほどなぁ、そんな話なのか。ちょっとビックリした。この作品については、映画館で何度も観たが、こんな感じの物語だとは想像できなかった。

とても良かったなと思う。

本作はとにかく、フィギュアスケートというモチーフがとても良い。作中ある人物が、「フィギュアスケートは女のスポーツ」と口にするのだが、確かに大雑把にはそんな印象があるだろう。また、これはフィギュアスケートのコーチ・荒川のキャラクター造形

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【映画】「なみのおと」感想・レビュー・解説

本作はずっと観たいと思っていた。以前読んだ『ユリイカ 濱口竜介特集』に、本作について書かれていたからだ。

観たいと思っていた理由にはもちろん、「東日本大震災後を生きる人々の対話を捉えた作品である」という店への興味もある。しかしそれと同時に、先述した『ユリイカ』に書かれていた話も気になっていた。それは、「カメラがどこにあるか分からない」という点である。

そして実際に観て、本当にどこにカメラがある

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【映画】「ナミビアの砂漠」感想・レビュー・解説

本作を観たのは完全に、河合優実が主演だからだ。それ以外の理由はない。

しかし観ながら、「もし河合優実がいなかったら、誰を主演にしたんだろう?」と考えさせられた。それぐらい、河合優実がズバッとハマっている感じがある。

さらに、「もし河合優実がいなかったら」にも、本作に関係する話がある。というのも、河合優実が役者を目指すきっかけになったのが、本作監督である山中瑶子が初監督した映画『あみこ』を観たこ

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【映画】「チャイコフスキーの妻」感想・レビュー・解説

天才作曲家チャイコフスキーの妻は、「世紀の悪妻」と評されているそうだ。本作の予告を観るまで、そもそもその事実を知らなかった。そして本作は、そんな妻アントニーナの視点で結婚生活を描く物語である。

ただ、先に書いておくと、本作は「実話」というわけではなさそうだ。映画の最後に、「実際にはアントニーナは、夫と別居して以来、40年間夫と会うことはなく、1917年に精神病院で亡くなった」と字幕で表記されるか

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【映画】「僕はイエス様が嫌い」感想・レビュー・解説

宗教(一神教)と妖怪は似ていると思う。

民俗学に詳しいわけではないので的外れかもしれないが、「妖怪」というのは基本的に、「当時の知識では説明できない出来事に理屈を付けるため」に生み出されたはずだ。例えば「木霊」という妖怪。樹木に宿るとされる精霊だそうだが、「やまびこ(山で大きな声を出すと反射して聞こえる現象)」は、この「木霊」が起こしている現象だとされている。現在の知識では「やまびこ」はまた違う

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【映画】「きみの色」感想・レビュー・解説

なるほど、『けいおん!』の人が監督なのか。ということさえ知らないまま観に行った。っていうか『けいおん!』も観てないし。

しかし、良い映画だったなぁ。「何が良かったのか」と聞かれるとなかなか上手く説明できないのだが。

ただ、公式HPのトップページに、「山田尚子監督の企画書より」と題された文章があり、これがとても良かったので、まずは全部引用したいと思う。

【思春期の鋭すぎる感受性というのはいつの

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【映画】「愛に乱暴」感想・レビュー・解説

これはホントに、絶妙にヒリヒリする物語だった。描かれているのは「ありふれたような日常」なのだが、その日常が少しずつ歪んでいく。その歪み方がとても絶妙で、さらにそれを江口のりこが実に見事な感じで演じるので、なんとも惹き込まれてしまった。

「認めてもらうこと」というのは、どんどん難しくなっていくなと思う。今僕は41歳なので、年齢だけで言っても「認めてもらうこと」より「認めること」の方が役割として求め

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【映画】「掟」感想・レビュー・解説

さて、いつものことだが、僕は石丸伸二には全然興味がない。というかむしろ、「嫌いなタイプの人間だなぁ」と感じていた。そして個人的に、「どうして石丸伸二は支持されているんだろう?」ということを知る一端になるかもしれないと思ってこの映画を観てみることにした。

僕はとにかくネットをほとんど見ないので、僕が知っている「石丸伸二」は、「テレビで取り上げられた姿」だけである。恐らくこんな風に書くと、彼を支持す

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【映画】「ボストン1947」感想・レビュー・解説

いやー、これはメチャクチャ面白かったなぁ。いやもちろん、日本人である僕が「面白かった!」と書くのは憚られる部分もあるのだが。

本作の物語(というか実話)が生まれたのは、日本のせいだからだ。

物語は1946年に始まる。8月、国民の英雄ソン・ギジョンの名を冠したマラソン大会がソウルで開かれたのだ。ソン・ギジョンがベルリンオリンピックのマラソンで金メダルを獲得してから10周年を記念する大会だった。

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【映画】「劇場版 アナウンサーたちの戦争」感想・レビュー・解説

まったくノーマークの作品で、映画の存在さえ知らなかったが、なかなか面白かった。「劇場版」というタイトルをあまり気にしていなかったが、どうやら元々はNHKのテレビ放送だったようだ。それが映画版として再編集されたということだろう。「役者がかなり豪華なのに、どうしてこの映画の存在を知らなかったんだろう」と思ったのだけど、そういうことならなんとなく理解できる。

東日本大震災の時だったと思うが、こんなエピ

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【映画】「ラストマイル」感想・レビュー・解説

なかなか面白い映画だった。ちなみに僕は『アンナチュラル』も『MIU404』も観ていない。いや、「観ていない」と書くと嘘になるか。年末年始に、人気ドラマを一気に放送したりする時間があるが、それでどちらの作品も何話かだけ観た記憶がある。だから、設定とか雰囲気とかはなんとなく知っているけど、詳しいことは分からない。そんな人間が観た感想である。

まずは内容の紹介から。

11/24、ブラックフライデーの

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【映画】「箱男」感想・レビュー・解説

さて、どうでもいいことではあるのだが、Filmarksの記録によると、この『箱男』が、僕がこれまでに観てきた映画の1000作目であるようだ。まあ、とりあえず記録として。

さて、本作『箱男』はやはり、よく分からなかった。「よく分からないだろうな」と想定して観に行ったので、それ自体は別に問題ではない。

さて、僕は原作の『箱男』を読んだことがあるようだ。「ようだ」と書いたのは、まったく記憶にないから

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