鴻池 和彦/㈱cinepos代表取締役/⁠漁港口の映画館 シネマポスト支配人

円谷プロダクション入社に始まり11年間は映像製作者として。そこから11年間は下関で実家…

鴻池 和彦/㈱cinepos代表取締役/⁠漁港口の映画館 シネマポスト支配人

円谷プロダクション入社に始まり11年間は映像製作者として。そこから11年間は下関で実家の特定郵便局長を務めた。3度目の人生リスタート、2016年に㈱cineposを起業して今日。 ‘感情移入’をキーワードに映像製作を基盤としながらも映画配給上映等、様々な展開を画策し続けている。

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クリエイティブの原点

私は映像製作を生業にしているのですが、その根底には様々な媒体から影響を受けたものがベースにあります。 概ね10代から20代前半までの多感で、情報収集に敏感、直情的になんらかの刺激を受けたものによる媒体群からがすべてかもしれません。 例えば、日本史。 日本史への興味は尽きなく、実際小学3年生から学校の図書館に頻繁に出入りした記憶があり、習熟別にあった日本史の百科辞典を良く読んでいました。 興味をもったきっかけはNHKの大河ドラマだったのです。作品は『草燃える』。源氏の栄枯盛衰

    • 彷徨いながら、気づく。

      『漁港口の映画館 シネマポスト』では現在、4月12日までの上映でベルギーの映画、バス・ドゥヴォス監督作品『Here』が公開されています。 アンビエント映画と呼称したくなるサウンドデザイン、その精緻でどこか内面に沁み入るような機微の風景であり静物からの生命力に触れているかのような、音から想起される‘ありのまま’に没入されていきます。 これはある種の思想への共感ではないかと感じるのです。 生と死の境界線を何処に置いているか、何気に考えたことはないでしょうか。 決して諦観ではな

      • 画力の信頼性

        先日、新作長編の公開に向けて準備中の金子雅和監督と電話でいろいろと会話させていただきました。 金子監督とは均すと2ヶ月毎の頻度で意見交換を取り合う間柄と言っていいでしょうか。 今後の展望にみる作品づくり。メジャーの世界観に金子監督の独創性を活かしていく方法論…今回の会話のヤマはその点にスポットがあてられました。 メジャー映画に共通するのは何らかの完結する形の提示とそのシーンの抜けの良さが多分に想像できます。問題提起型での終わり方はどちらかと言えば避けるように思います。 いわ

        • 「つくる」と「つたえる」その意味

          映画館紹介サイト『港町キネマ通り』にて『漁港口の映画館 シネマポスト』が取り上げられております。 長文にてご記載いただきました。 お時間お手すきの折にでも目を通されてみてください。 ある意味、自分史のようでもあり、気恥ずかしい点もありますが映画館を知っていただく機会として取材に向き合わせていただきました。  そうした意味合いでは、最近別件でもミニシアター紹介の書籍編集のイラストレーター&ライターの方も東京からご来訪いただいたりと、中央にも名前が徐々に届き始めているのかもしれ

          温故創新なる造語

          ヴィム・ヴェンダース監督作『PERFECT DAYS』の劇中曲をリスト化する人がYouTubeに出てくるだろなと、案の定存在しました。 The Kinks 「Sunny Afternoon」 The Animals 「House Of The Rising Sun」 Velvet Underground 「Pale Blue Eyes」 Otis Redding 「The Dock Of The Bay」 Lou Reed 「Perfect Day」 Patti

          勉学資質を考える

          或る日のXからの書き込みから、考えてみます。 勉学に興味ある無しからの教養度合い、そこから大人になるにつれ、はっきり性質が浮き上がってくるのは体系的に考えられる思考回路か、もしくは状況ごと、または気まぐれ的に知的導入していく思考回路の方か…とは言え、大人には経済と経営の概念が被せられるが故に、そこに長けているかいないかで、思考回路の差異はあまり問われずに済まされる社会の構図が実際なのでしょう。 別視点で上岡龍太郎の見解が興味深いのでこちらご覧ください。 芸人を擁する業態

          ‘味’という表現

          ‘味’という表現があります。 この‘味’こそ個性を表し、万人ではなくあるターゲットや層に支持を得るクオリティの高さを意味するものである点に注目します。 例えば、ロックアルバムの通年で歴代ベストテンに必ず入るジョン・レノンの『ジョンの魂』この録音の全ギターパートはジョン自身が手掛けています。もしこのギターを交友のあったエリック・クラプトンが弾いていたら全く別の形になっていたのは誰しも想像に難くないと思います。 この名盤の良さはジョンの声とメロディ、詞に依るところは非常に大きいの

          『漁港口の映画館 シネマポスト』ラインナップ紹介(令和6年2月時点)

          『漁港口の映画館 シネマポスト』では大墻敦監督作品『わたしたちの国立西洋美術館〜奇跡のコレクションの舞台裏』を盛況のうちに終えることができました。 華やかな一級の美術作品展示の裏側で、関わる人たちによる使命感に裏打ちされた尽力、言い換えれば美術品をどのように守っていくべきか一人ひとりの問題意識に投げかける、‘わたしたちの’というタイトルの意味を痛切に感じさせる意義深い作品でした。 或るお客様からは「シネマポストでこの作品を上映される意図がよく分かりました」というご感想を頂戴し

          『漁港口の映画館 シネマポスト』ラインナップ紹介(令和6年2月時点)

          主体性の確保

          社会正義と損得勘定を並び立たせて、世の中はバランスを保つもの…という理屈は果たして真っ当なリテラシーに該当するのか考えてみたいと思います。 テレビで観ない日は無い吉本興業所属のタレント番組。卒なく場を和ませ笑わせる技術への高い信用が、タレント起用へのニーズ訴求に繋がっているのでしょう。しかしながら、全民放キー局に加えて世界最大手広告代理店の電通が吉本興業という一企業の株主である構図が明らかに可怪しい、それは普通と考えるに無理があります。報道や番組編成について公平性が担保出来

          予期せぬ日々

          『漁港口の映画館 シネマポスト』では奥田裕介監督作品『誰かの花』の上映を無事終えることができました。 ご鑑賞いただいた皆さま、また応援いただきました皆さまには誠にありがとうございました。 毎作品、一週間を終えたその日に近くのファミレスで遅い夕食をスタッフとで過ごす時、安堵と寂寥感が同時に訪れます。 そして店を出る時には次作の準備モードに切り替わるのです。 多かれ少なかれ既存の単館系映画館をご経営の皆さま方も、若干似たような心持ちなのかもしれないと勝手に想像しています。 シネ

          映画化とその是非

          イタリアの代表的小説家、作家のアルベルト・モラヴィア原作の『軽蔑』。 この『軽蔑』を映画化したのが、フランスヌーヴェルヴァーグの巨匠、ジャン=リュック・ゴダール監督です。 映画『軽蔑』は数あるゴダール作品の中で最も好きな一本かもしれません。 ストーリー展開、構成、ブリジット・バルドーの魅力的な肢体、全体に感じる色使いの妙、まさにラウル・クタールの撮影技法の冴えに鷲掴みにされます。 音楽はトリュフォーやベルトリッチ作品でもお馴染みのジョルジュ・ドルリューと無駄を感じない、ゴダー

          暗示と人生

          睡眠時、私は夢を良く見る方だと思います。夢の風景は此処は何処なのかという具合に、これまでのリアルな人生の中で過ごしたことのあるような…曖昧な場所が時間軸関係なく合わさって登場します。 そして登場人物も知り合い同士でない筈の思い出深い人たちが既に知り合いだったり、そこに面識の無いテレビや映画で知られた有名人が加わることもあり、まさにカオスなストーリーが殆どなのです。 人によっては夢をあまり見ない、見ても忘れるケースが多いと聞きます。その点、私は覚えている方だと思います。 ちなみ

          ヒットの要因

          ‘タイトル’ ‘テーマ’ ‘ヴィジュアル’ ミニシアタータイプの映画がヒットする法則3点と言って良いかもしれません。 改めてそこに着目した作品こそ、名匠アキ・カウリスマキ6年ぶりのカンヌ国際映画祭コンペティション作品にして、現在日本で大ヒット中の最新作『枯れ葉』について考え得る点は多いと感じています。 先日1月12日まで『漁港口の映画館 シネマポスト』でも公開いたしました本作には、従来からのカウリスマキ好きな映画ファン、加えてシネフィルフリーク、そこに初めてカウリスマキ

          心境と映画

          『漁港口の映画館 シネマポスト』 令和6年1月6日(土)から本年仕事始めとなります。 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 話題作のフィンランドの名匠アキ・カウリスマキ監督、6年ぶりの新作『枯れ葉』の公開とあって初日からおかげさまで賑わっております。 ご来場の皆さまには心より感謝申し上げます。 中でも本日3回目の上映終了後、お客様との尽きないアフタートークはまた有難いものです。 顔に見覚えがあっても、今まで会話をしたことが無い者同士が語らい、そしてその方々が知り合いと

          出逢える映画

          旧年中は『漁港口の映画館 シネマポスト』の設立、グ スーヨン監督作品 映画『幽霊はわがままな夢を見る』下関先行上映の配給宣伝と多くの皆さまからの応援、お力添えをいただきまして、心より感謝申し上げます。 ‘一年の計は元旦にあり’ このフレーズを好むのは理想と今の自分を向き合わせてみて、時間をどのように捉えるかというリアルな視点と、漠然と夢を語るレベルで良しとするのか。 これは年代毎で異なるものでもあります。 しかし、心の充足を経済の安定に拠るためには各人の生き方如何で一年の

          回り道、生き甲斐

          『漁港口の映画館 シネマポスト』を本年10月7日に立ち上げてより先日上映を終えました『私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?』まで、累計5作品を取り上げてまいりました。次回公開作品の『枯れ葉』は新年1月6日です。 まずはミニシアター設立元年の本年、応援いただきました皆さま、ご来館いただきました皆さまに心よりの感謝を申し上げます。 今回はシネマポストの信条でもある、上映作品一本を一日四回、一週間限定で公開していくスタイルにつきまして、少しお話ししてみたいと思います。