鴻池 和彦/㈱cinepos代表取締役/⁠漁港口の映画館 シネマポスト支配人

円谷プロダクション入社に始まり11年間は映像製作者として。そこから11年間は下関で実家…

鴻池 和彦/㈱cinepos代表取締役/⁠漁港口の映画館 シネマポスト支配人

円谷プロダクション入社に始まり11年間は映像製作者として。そこから11年間は下関で実家の特定郵便局長を務めた。3度目の人生リスタート、2016年に㈱cineposを起業して今日。 ‘感情移入’をキーワードに映像製作を基盤としながらも映画配給上映等、様々な展開を画策し続けている。

記事一覧

幸せの尺度

私は何冊かを並行して読む習慣があります。今日はこの本という具合です。 このところ昭和を代表する女優の一人、高峰秀子著『台所のオーケストラ』を就寝前、何章か読んで…

客観性へのホップ

ちょっとしたことにイラつきを覚えることがあります。 本当にちょっとしたことなのです。 そこにのめり込んで粘着質になってしまえば、恐らく取返しのつかない所まで行って…

方法論としての‘サスペンス’

映画ジャンルの中で様々クロスオーバーできるアイテム、テーマになりやすい方法論として‘サスペンス’を描くがあります。 簡単に言えば謎解きとも言い換えられます。ドラ…

『漁港口の映画館 シネマポスト』ラインナップ紹介(令和6年8月時点)

『漁港口の映画館 シネマポスト』の8月公開作品は往時を知る誰しもの記憶に残り続けるであろう二人の音楽家、加藤和彦とジョン・レノンのドキュメンタリー映画でした。 2…

純粋という概念

少し間が空きましたnoteの投稿になります。なかなか立て込んでしまい文章を推敲していく余裕が生まれず、今日に至ります。 現在、『漁港口の映画館 シネマポスト』では8…

格好良さ、その時代

イントロが無く、突然ボーカルのサビから始まる曲。或いはメロディとリズムトラック重視でリフが希薄なアレンジの曲も多いような気がするサブスク時代のプロダクションから…

証を残す

『漁港口の映画館 シネマポスト』ではポーランド映画、ミハウ・クフィェチンスキ監督作品『フィリップ』を26日(金)まで上映しております。 作家のレオポルド・ティルマ…

様々な嗜好性

13年くらい前でしょうか。シネマポストの由来となった以前の職場において、一般的な映画ファンを自称される同僚のお二方を、地元の映画祭でプログラムにあったある映画の鑑…

映画『幽霊はわがままな夢を見る』東京公開初日、2日目配給宣伝レポート

グ スーヨン監督最新作、映画『幽霊はわがままな夢を見る』令和6年6月29日土曜日、遂に東京公開です。 ミニシアターの聖地とも言える渋谷ユーロスペースでの上映がスタート…

求道の人

先日放送されたこちらの番組から考えてみます。 現役時代の門田博光選手がいかに凄かったか、私の世代では言うに及ばすです。 この番組では晩年の門田氏をあるジャーナリ…

非日常性を楽しむ

『漁港口の映画館 シネマポスト』では現在上映中『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』が6月21日まで公開となります。 上映決定に至るプロセスとして、事前に…

自分のための時間

こちらの記事から考えてみます。https://toyokeizai.net/articles/-/759412 真剣に取り組めるものに出会えるか否か、その後の仕事に繋がる上で興味の無いものに人はなかな…

一つの感情で人は生きていない

『漁港口の映画館 シネマポスト』 現在上映作品はドイツ、フランス合作映画のアンドレアス・ドレーゼン監督作品『ミセス・クルナスvsジョージ・W・ブッシュ』 今週7日(金…

小説題材に思う

小説題材について、考えてみます。 物語を現代において構築するに、身近な人たちとの関係性や主人公の生活感、そこに何らかの仕事についてと、非常に狭いコミュニティで登…

映画作品と舞台挨拶

『漁港口の映画館 シネマポスト』では現在公開中、小林且弥監督作品『水平線』が24日(金)まで上映となります。 公開初日と2日目には小林監督の舞台挨拶が行われました。…

映画系譜にある映画

『漁港口の映画館 シネマポスト』では先日10日の金曜日迄、濱口竜介監督最新作『悪は存在しない』を上映しました。これまでの最多動員記録を更新し、多くのお客様にご鑑賞…

幸せの尺度

幸せの尺度

私は何冊かを並行して読む習慣があります。今日はこの本という具合です。
このところ昭和を代表する女優の一人、高峰秀子著『台所のオーケストラ』を就寝前、何章か読んで眠りにつきます。

様々な食材を題材に100種類以上の項目(章立て)から構成されたエッセイです。
戦前より活躍、主演作品で不朽の名作『浮雲』を始めとして巨匠・成瀬巳喜男監督の一連の作品での出演、『カルメン故郷に帰る』『二十四の瞳』の主演にし

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客観性へのホップ

客観性へのホップ

ちょっとしたことにイラつきを覚えることがあります。
本当にちょっとしたことなのです。
そこにのめり込んで粘着質になってしまえば、恐らく取返しのつかない所まで行ってしまう可能性はあります。
‘流す余裕’コレをオススメします。
数時間後、大抵の事は忘れてしまう事ばかりです。何故なら、ちょっとしたことのレベルに他ならないからです。しかしながら主観の相違で他人から見れば大した事ではないと思えし事象が本人に

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方法論としての‘サスペンス’

方法論としての‘サスペンス’

映画ジャンルの中で様々クロスオーバーできるアイテム、テーマになりやすい方法論として‘サスペンス’を描くがあります。
簡単に言えば謎解きとも言い換えられます。ドラマツルギーという構成や展開において謎解きを含ませていくことで、ストーリーに多面性をもたせられるだけでなく、視聴側を引き付ける訴求力を生み出しやすくなります。
そこで、サスペンスというアイテムをどのように使用するか、空気感をどのように演出する

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『漁港口の映画館 シネマポスト』ラインナップ紹介(令和6年8月時点)

『漁港口の映画館 シネマポスト』ラインナップ紹介(令和6年8月時点)

『漁港口の映画館 シネマポスト』の8月公開作品は往時を知る誰しもの記憶に残り続けるであろう二人の音楽家、加藤和彦とジョン・レノンのドキュメンタリー映画でした。
2作品に共通するのは鑑賞後の余韻を引き摺る点です。それは彼らがエヴァグリーンな存在として、音楽動機からの展開と躍動に惹きつけられた時代の空気感も含めて、どうしても人の生涯であるにも関わらず、光と影のコントラストを運命論で収めざるを得ない寂寥

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純粋という概念

純粋という概念

少し間が空きましたnoteの投稿になります。なかなか立て込んでしまい文章を推敲していく余裕が生まれず、今日に至ります。

現在、『漁港口の映画館 シネマポスト』では8月23日(金)までドキュメンタリー作品『ジョン・レノン 失われた週末』が公開されています。

本作品のテーマ的素材について、魅力的な人間と純粋という概念をイコールで並ばせた時、その持続性は永遠の道に連なるか否か、ふとそんな事が思い浮か

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格好良さ、その時代

格好良さ、その時代

イントロが無く、突然ボーカルのサビから始まる曲。或いはメロディとリズムトラック重視でリフが希薄なアレンジの曲も多いような気がするサブスク時代のプロダクションからロック、ポピュラーミュージックについて考えてみます。

まずリフについて解説します。
リフ(Riff)とは、特定の楽曲で繰り返し使われる印象的なフレーズを指す音楽用語です。 ギターで奏でるフレーズは「ギターリフ」と呼ばれ、 リフは主にロック

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証を残す

証を残す

『漁港口の映画館 シネマポスト』ではポーランド映画、ミハウ・クフィェチンスキ監督作品『フィリップ』を26日(金)まで上映しております。

作家のレオポルド・ティルマンドが1961年にポーランドで発刊した小説『フィリップ』を映画化したとされます。
映画化されるに通常、脚色要素や演出は形にしていく上で施されるものと考えると、ティルマンドによる原作は半自伝的とも謳われているので、事実と小説化との接合を様

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様々な嗜好性

様々な嗜好性

13年くらい前でしょうか。シネマポストの由来となった以前の職場において、一般的な映画ファンを自称される同僚のお二方を、地元の映画祭でプログラムにあったある映画の鑑賞にお誘いした事があります。
ホウ・シャオシェン監督の『珈琲時光』です。小津安二郎監督の生誕100年を記念し『東京物語』のオマージュという形で日本で製作された映画です。製作と配給は松竹になります。
『珈琲時光』は2000年代初頭、東京で仕

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映画『幽霊はわがままな夢を見る』東京公開初日、2日目配給宣伝レポート

映画『幽霊はわがままな夢を見る』東京公開初日、2日目配給宣伝レポート

グ スーヨン監督最新作、映画『幽霊はわがままな夢を見る』令和6年6月29日土曜日、遂に東京公開です。
ミニシアターの聖地とも言える渋谷ユーロスペースでの上映がスタートいたしました。

昨年の12月2日から8日まで下関での大盛況を博した先行上映を経て、念願の東京公開に漕ぎ着けました。
この間、様々な方々による御尽力の賜物と厚く御礼を申し上げる次第です。ユーロスペース北條支配人さまには心より感謝申し上

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求道の人

求道の人

先日放送されたこちらの番組から考えてみます。

現役時代の門田博光選手がいかに凄かったか、私の世代では言うに及ばすです。
この番組では晩年の門田氏をあるジャーナリストが取材している点を軸に、彼に親しい関係者からの声をかなり集めて実像を浮き彫りにしていました。

‘求道’

最も現役時代の門田氏に感じられる姿勢のイメージです。
これを貫くに妥協はしない代わりに様々な影響が別の何処かに表れることになり

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非日常性を楽しむ

非日常性を楽しむ

『漁港口の映画館 シネマポスト』では現在上映中『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』が6月21日まで公開となります。

上映決定に至るプロセスとして、事前にスクリーナーで確認させていただくケースがあります。いわゆるパソコン画面です。そこでは音の良し悪しは分かりません。あくまでも内容重視になります。しかる後に上映用原盤が届き、劇場での通し試写を行います。
映像の良さは当然の如く際立ち、加え

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自分のための時間

自分のための時間

こちらの記事から考えてみます。https://toyokeizai.net/articles/-/759412

真剣に取り組めるものに出会えるか否か、その後の仕事に繋がる上で興味の無いものに人はなかなか集中する難しさがあります。
仕事と呼ばれる多種他媒体の中から何らかの縁で繋がっていくにしても、概ねは生活の為にが殆どにして、結果を出すために義務的に‘覚える’と‘こなす’にまずは辿り着く必要に迫ら

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一つの感情で人は生きていない

一つの感情で人は生きていない

『漁港口の映画館 シネマポスト』
現在上映作品はドイツ、フランス合作映画のアンドレアス・ドレーゼン監督作品『ミセス・クルナスvsジョージ・W・ブッシュ』
今週7日(金)までの公開となります。

謂れなき罪を着せられアメリカの重要犯罪人が収監されるというグアンタナモ収容所に送られてしまった息子を取り戻すために奮闘するトルコ系ドイツ人の母親の5年に及ぶ実話に基づくストーリーです。

この映画の面白さ、

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小説題材に思う

小説題材に思う

小説題材について、考えてみます。
物語を現代において構築するに、身近な人たちとの関係性や主人公の生活感、そこに何らかの仕事についてと、非常に狭いコミュニティで登場人物たちが描かれるケースが間々多いような感覚があります。
こうした私小説的な趣きは当然、現実主義を克明に描き切る経験則が活かされる利点はあります。後は構成の振り幅に書き手の裁量が図られるのです。願望=ファンタジーの度合い、その見方です。

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映画作品と舞台挨拶

映画作品と舞台挨拶

『漁港口の映画館 シネマポスト』では現在公開中、小林且弥監督作品『水平線』が24日(金)まで上映となります。
公開初日と2日目には小林監督の舞台挨拶が行われました。

2日間で計3回、各20分位の舞台挨拶でしたが、全回満席、お越しいただいたお客様の真剣さ集中度合いが伝わります。小林監督も望郷の思いや本映画完成までのプロセス、作品の軸になる考え方、加えてミニシアターの大切さと、私自身も非常に熱く胸を

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映画系譜にある映画

映画系譜にある映画

『漁港口の映画館 シネマポスト』では先日10日の金曜日迄、濱口竜介監督最新作『悪は存在しない』を上映しました。これまでの最多動員記録を更新し、多くのお客様にご鑑賞いただきました。
まずは心より感謝申し上げます。

改めて作品の訴求力を解析するに、様々な理由が幾つも挙がりますが、私はこの点のみに注目したいと思います。

原初的な方法論で世界観を構築していることです。
・森・自然を題材に置きながらもド

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