中島光信/ブッダアス!(Buddhist in residence)

僧侶・ファシリテーター/毎週水曜コラム更新/WORKSHOP AID「世界三大宗教から…

中島光信/ブッダアス!(Buddhist in residence)

僧侶・ファシリテーター/毎週水曜コラム更新/WORKSHOP AID「世界三大宗教から見た映画評論」ライブ配信etc./各種ワークショップ告知

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ZORN「My Life at 日本武道館」レポート

去る1月24日(日)、ラッパー・ZORNによるワンマンライブ「My Life at 日本武道館」に足を運んだ。ライブから半月近く経った今でも、その余韻が消えない。そんな当日の模様を、ここに記録しておきたい。   *  *  * 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下の東京。そうした厳しい環境でも、開催の決断を下してくれた全ての関係者に敬意を表し、呼応するかのように、当日の武道館はヘッズで溢れた。雪の予報は小雨に変わったが、吐息は白い。後ろに並んでいた男性は福岡から参加とい

    • 映画レビュー:24年7月の4本

      ・ルックバック (2024年/日本/押山清高監督) あー泣いた泣いた。クズはクズなりにやってこう。やり続けるしかない。音楽がharuka nakamuraでびっくり。 ・マッドマックス:フュリオサ (2024年/アメリカ/ジョージ・ミラー監督) ずっと高密度でハイテンション、気づいたらずっと座席前のめりで超集中。疲れた。。けど面白かった。通奏低音のドラムロール心地良いし、ラストのつながりも良。憎しみの連鎖はどこかで柔和していかなければ、という、お諭しも。 ・フェラーリ

      • 映画レビュー:24年5月の7本

        ・クイーン・オブ・ダイヤモンド (1991年/アメリカ/ニナ・メンケス監督) パトカー鳴ってても群集の騒ぎの中にいても無音(サイレント)にして静けさのコントロール。聞かせたい音だけフォーカスして拾ったり、静けを操る手法が巧み。セリフはごくわずか。寝た。 ・リバー・オブ・グラス (1994年/アメリカ/ケリー・ライカート監督) 「ロードのないロードムービー、愛のないラブ・ストーリー、犯罪のない犯罪映画」という宣伝文が言い得て妙。ラスト、助手席の男を撃ち殺して旅に出ちゃうけ

        • 掃除機でぶいん

          本堂の掃除をしていたら、スズメバチが死んでいた。 妻は「本堂で死ぬなんて、徳の高いやつだ。来世は人間だな。」と死骸に言葉をかけ、掃除機でぶいんと吸った。 特に特別のことではなく、日常の動作といった感じで、掃除機がけを続けていく。 なにげない言動だけれど、妻が「お寺の奥さん」っぽいなぁと思うのだった。 私は声に出して「なんまんだぶ、なんまんだぶ」とつぶやき、そして護摩壇の掃除を続ける。

          寝相で家族

          夜、家族が並んで寝ている布団の隙間に、そっと潜り込む。1日の中でもっとも幸せな瞬間だ。 この安らぎも長くは続かない。そんな諦念があるから、このときを掛け値なしに愛おしく思う。 一番遠くで寝ている娘の規則的な寝息が聞こえる。ときおり不意に話し始めると、心底嬉しそうな声でけたけた笑う。学友と遊ぶ夢でも見ているのだろうか。毎日の学校生活がたまらなく楽しいのだろう。日々の学びの様子を誇らしげに語ってくれる彼女の姿を見ると、学びとは能動的で知的好奇心の探求だったはずだと思い改める。

          映画レビュー:24年4月の7本

          ・DUNE 砂の惑星 PART2 (2024年/アメリカ/ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督) 古今東西繰り返されてきたサーガっちゃサーガだろうが、いやぁまったく、違う惑星のSFと思うからマダ見ていられるけどさぁ。現在の世界情勢と無縁で観らんねーだろこんなんよ(呆)脳みそ戦争のマッスル映画ですよ。計略と政略と火炎放射して切り札が核って。核の扱いが幼稚すぎるアメリカ映画どうにかならないんすかね。 ・ロイ・ハーグローヴ 人生最期の音楽の旅 (2022年/アメリカ/エリアン・アンリ監督)

          映画レビュー:24年3月の11本

          ・ミレニアム・マンボ (2001年/台湾、フランス/ホウ・シャオシェン監督) 光の色合いがまだまだアナログの頃で、全然違うんだよなぁ。目にやさしいし温かみがある。女も男も(小道具として)タバコ吸いすぎ。てか夕張ロケのくだり、脈絡なさすぎる。どんな力が働いてこの捻じ込みシーンがあるのか。。 ・ロッタちゃん はじめてのおつかい (1993年/スウェーデン/ヨハンナ・ハルド監督) よくねた。劇場にロッタちゃんみたいな年頃の子供いっぱい来てたけど、つまんなかったんじゃないかな。

          銭湯巡礼記11~福井県福井市「宝永湯」(24年2月)

          取材をかねて人生初の福井県へ。しかしこんなに駅前が恐竜推しだとは。今月に新幹線が開通するようなので、急ピッチに工事が進められていた。きっと人の流れも変わるんだろう。 そんな福井駅そばで探した、こちら「宝永湯」(ほうえいゆ)さんを訪問。 のれんをくぐると、あまり見たことのない造りのエントランスだった。 扉の向こうには番台。こぢんまりした町の銭湯という趣き。ハウス型天井の浴室にタイル張りの壁、銭湯絵はない。地域のご高齢の方がのんびりと湯船に浸かっていて、ゆったーりとした時間

          銭湯巡礼記11~福井県福井市「宝永湯」(24年2月)

          銭湯巡礼記⑩~岩手県奥州市「薬師堂温泉」(24年2月)

          今年で最後となる黒石寺「蘇民祭」参加のため、岩手県奥州市へ。JP東日本圏内が平日10,000円で1日乗り放題の「キュンパス」を利用できたのが有難かった。 到着したのは一関駅。そこからレンタカーで友人の寺などを回って北上し、水沢で宿を取った。ここから黒石寺までは車で20分程と近い。そこで日帰り温泉を検索し出てきたのがこの「薬師堂温泉」。 東北を旅慣れた方から、出発前に「黒石寺に行くなら、薬師堂温泉っていうのがあって」とレコメンドされていたし、それにそもそも素晴らしいネーミン

          銭湯巡礼記⑩~岩手県奥州市「薬師堂温泉」(24年2月)

          銭湯巡礼記⑨~【閉館】東京都稲城市「よみうりランド丘の湯」(24年1月)

          思い出深い「よみうりランド丘の湯」さんが、2024年の1月8日をもって20年の営業を終えた。最後のお別れに家族で訪問。 目の前がよみうりランドなので大観覧車が眼前に。日中の仕事を終えてからだといつも宵からしか来られなくて、そのたびに遊園地に入りたがる娘を「今日は遅くなっちゃったから、別の日に来ようね」となだめながら、結局、遊園地には1度も入らずに、この「丘の湯」最終訪問日を迎えてしまった。そしてこの日も遊園地には入らず。 「丘の湯」さんは我が家にとって、それぞれの1年の労

          銭湯巡礼記⑨~【閉館】東京都稲城市「よみうりランド丘の湯」(24年1月)

          映画レビュー:24年2月の7本

          ・カラオケ行こ! (2023年/日本/山下敦弘監督) 紅だー!あぁ面白かった。編集少し詰めた方がリズム出てもっと面白いよ!とかはあったけれど、上出来です、満足♪ ・ガッジョ・ディーロ (1997年/フランス ・ルーマニア/トニー・ガトリフ監督) ロマの歴史つらい。今の時代に穏やかには観れない。音楽で包んではいるけれど、とてもつらい映画でした。 ・レザボア・ドッグス (1992年/アメリカ/クエンティン・タランティーノ監督) 高校生だった当時、人生を変えられた(という

          映画レビュー:24年1月の7本

          ・午前4時にパリの夜は明ける (2022年/フランス/ミカエル・アース監督) 2024年の映画初め。シャルロット・ゲンズブール。それに尽きる。マジックアワー。 ・PERFECT DAYS (2023年/日本・ドイツ/ヴィム・ヴェンダース監督) 虫唾の走る映画。上映中何度席を立とうと思ったことか(観たけど。ぐぬぬ)。庶民はこうあれ、慎ましく、涙をこらえ、たまに自分へのご褒美でガス抜きしてね、知らんけど。という権力者・天上人目線で描かれた日常、ホントクソだわ。また役所広司が

          2023ベストアクト5

          2023年の個人的ベストアクト5を振り返る 5/31(水) THA BLUE HERB tha BOSS「IN THE NAME OF HIPHOP Ⅱ」RELEASE LIVE@ LIQUIDROOM(恵比寿) ステージングが目に焼きついてる。Mummy-Dの登場シーン、マイケル・ジャクソンの「ライヴ・イン・ブカレスト」の登場シーンみたいで、メチャかっこよかったな。後からもじわじわ反芻できる、歴史的なスルメライブでした。 7/27(木) hide Memorial Da

          映画レビュー総括:23年の86本

          2023年は劇場で86本の鑑賞。中でも印象的だったのは、 「aftersun/アフターサン」(2022年/米/シャーロット・ウェルズ監督) 「エドワード・ヤンの恋愛時代」(1994年/台湾/エドワード・ヤン監督) 「福田村事件」(2023年/日本/森達也監督) 「アメリ」(2001年/仏/ジャン=ピエール・ジュネ監督) 「越後奥三面―山に生かされた日々」(1984年/日本/姫田忠義監督) といったところ。劇映画では「aftersun/アフターサン」がもう随一にズバ抜けて良

          映画レビュー:23年12月の13本

          ・アメリ (2001年/フランス/ジャン=ピエール・ジュネ監督) 傑作!たまにカメラ目線になるメタさ、アングル変化、早送りやCGなど大好物。10代後半だった、この90年代終わり~2000年代初頭の雰囲気が自分の基盤を作っているのだな。すごくしっくり来るし、かっこいいと思うもの。当時のアメリフィーバーを白い目で見ていたけれど、今観れてよかったです。 ・陽炎座 (1981年/日本/鈴木清順監督) 創りたい、見せたい画、イメージがあって、それを再現する試みなので、ストーリーは

          20年越しの待望(涙)Donald Byrd『Places And Spaces』を発見!

          高校の文化祭でクラスごとにオリジナルTシャツを作ることになって、そのデザインを任された時、サンプリングしたのがトランペット奏者Donald Byrd(ドナルド・バード)が1975年に吹き込んだ名作『Places And Spaces』のジャケットだった。 高校時代からHIP-HOPを聞くようになって、元ネタを掘っていく中でこのアルバムに出会った僕は、ジャケットのあまりのカッコよさに痺れ、音源のカッコ良さに痺れた。 それからレコ屋を巡るたびに探し続けた。ネットに出品されてい

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