青木萌 moyuaoki

詩人・美術作家 兼 デザイナーをしています。 言語の問題と詩、とりわけ文字(エクリチ…

青木萌 moyuaoki

詩人・美術作家 兼 デザイナーをしています。 言語の問題と詩、とりわけ文字(エクリチュール)を主題に作品を制作しています。 instagram : https://www.instagram.com/moyuaoki/

マガジン

  • 詩について

    詩についての雑記を綴っています。

  • 身体を啓く

    身体性についての雑記を綴っています

  • 芸術と経済

    芸術と経済についての雑記を綴っています。

記事一覧

若狭真司「よあけのおと Sound of DAWN」を鑑賞する。

 先月、音楽家、若狭真司の個展作品を銀座のSONY PARK MINIにて鑑賞した。(昨年の個展「薄明」以来の現地、生の空間での音楽作品鑑賞。) https://www.sonypark.com/min

青木萌 moyuaoki
1か月前
7

山根晋個展「石 ishi / 見えるものによって見えないものが見えてきて、見えないものによって見えるものが見えてくる。」

友人のアーティスト、山根晋の展示「石 ishi / 見えるものによって見えないものが見えてきて、見えないものによって見えるものが見えてくる。」を観る。波打ち際の石の姿を…

青木萌 moyuaoki
2か月前
17

映画PERFECT DAYSを観て

遅ればせながら、WIM WENDERS監督、役所広司さん主演の映画、PERFECT DAYSを観る。 ※以下、感想を綴りますが、ネタバレとなってしまうので、未鑑賞の方は読まない方が良…

青木萌 moyuaoki
2か月前
22

ドロップス ふたつ

2度目の個展を開きます。 今月、10月20日(金)から11月5日(日)の期間に、栃木県栃木市にある古物店、茂|呂(もろ) にて、詩と絵の展示販売を致します。 https://www.instag

青木萌 moyuaoki
10か月前
19

無題

鮮やかな枯れ葉が ひらひらと舞っている と思ったらちょうちょで そうして世界は反転して 俺は枯れ葉だった

16

馬 駈ける

馬 駈ける 花 揺れる 遠くに幻 連綿と続く 歴史を貫く 大樹は伸びていく 手の鳴る方へ 何処までも 未來は サ と織られ 綾を 成す そうして 紬 ひとつが 生まれた…

12

初めての個展を終えて

今月、12月2日(金)〜7日(水)の期間に、新宿にある、新宿眼科画廊というギャラリーで、自身の作家活動で初となる個展を開いた。(※眼科画廊の名前の由来は「目に良い場所」…

37

詩集を出版します。

雫は 降ってくる 中くらいの晴れの日に ドロップス 詩・画 青木萌 来月12月に第一詩集ドロップスを出版します◯ (メブキという自身の出版レーベルからの自費出版にな…

38

はじめての個展を開きます。

この度、2022年12月に自身の第一詩集「ドロップス」を出版するのですが、その出版を記念して、詩と絵の展示を12月初週に新宿で開きます。 今回、初の個展となります。 詩…

11

詩について(4)

物には、詩がある。 詩とは言語の芸術表現のように思われるだろうが、実のところ「詩それ自体」は言語の前のところにある。(※詳しくは、詩について(1)の記事を参照して…

42

無題

昨日 食べ残した林檎が 卓上で干からびていた それは意図せざるひとつの彫刻 ふと 啓(ひら)いた どうやら 恩寵(おんちょう)は そういう類(たぐい)に 降(ふ)るらしい…

12

無題

夕ぐれ 口にした 名は 十の 口が 叶えた 石は 皮を 破り 艸(くさ)は 化けた 花に 可ァ 可ァ と 欠(あくび)する 歌は 口口(くちぐち)を 回った

12

無題

すみません たましいに効く薬はありますか ええ 一篇の詩がありますよ 朝と晩に 飲んでください

14

言葉の魂について

 言葉には魂がある。 と、最近、強く感じるようになった。 つまり、「言霊」というものは在ると、どうやら信じるようになっている。  以前は、心のどこかで、言葉なん…

22

芸術と経済(2) ーウィリアム・モリス(1)ー

 芸術と経済について、だいぶ前に書いたきり止まっていたので、間が空いてしまったけれど続きを書いてみようと思う。  今でこそ、仕事としてデザインを、また創作活動で…

8

詩について(3)

 結局のところ、日々を瑞々(みずみず)しく生きていくには、"詩"が本当に大切だ。  吉本隆明の「詩とはなにか 世界を凍らせる言葉」(思潮社)という本を読み始めている。…

52
若狭真司「よあけのおと Sound of DAWN」を鑑賞する。

若狭真司「よあけのおと Sound of DAWN」を鑑賞する。

 先月、音楽家、若狭真司の個展作品を銀座のSONY PARK MINIにて鑑賞した。(昨年の個展「薄明」以来の現地、生の空間での音楽作品鑑賞。)

https://www.sonypark.com/mini-program/list/053/

 あおとみどりに発光するライトが部屋の隅に置かれている。それほど広くはない部屋だが、おおきなベンチが置かれていて、そこに腰掛けて音楽を聴く。(ベンチはハプ

もっとみる
山根晋個展「石 ishi / 見えるものによって見えないものが見えてきて、見えないものによって見えるものが見えてくる。」

山根晋個展「石 ishi / 見えるものによって見えないものが見えてきて、見えないものによって見えるものが見えてくる。」

友人のアーティスト、山根晋の展示「石 ishi / 見えるものによって見えないものが見えてきて、見えないものによって見えるものが見えてくる。」を観る。波打ち際の石の姿を遷した、モノクロの写真作品群。 (彼のテキスト、ステイトメントの中において、「写す、撮す」は遷移の「遷す」であった。)天と地のあわい、海と陸の境、潮は満ち引き寄せては返す。その、豊穣な含意を帯びたある完全な境界で、浜辺の石は、石たち

もっとみる
映画PERFECT DAYSを観て

映画PERFECT DAYSを観て

遅ればせながら、WIM WENDERS監督、役所広司さん主演の映画、PERFECT DAYSを観る。

※以下、感想を綴りますが、ネタバレとなってしまうので、未鑑賞の方は読まない方が良いかも知れません。また個人的な感想であり、独断・憶測で語っていることについても何卒ご了承ください。

 PERFECT DAYSは、役所広司さん演じる、トイレ清掃員の平山が主人公の映画で、東京、渋谷区の一風変わったト

もっとみる
ドロップス ふたつ

ドロップス ふたつ

2度目の個展を開きます。

今月、10月20日(金)から11月5日(日)の期間に、栃木県栃木市にある古物店、茂|呂(もろ) にて、詩と絵の展示販売を致します。

https://www.instagram.com/moro_images/

この展示は、昨年末に開いた初個展に続きまして、自身の第一詩集「ドロップス」の出版に併せたものです。

ふたつ目のドロップスの展示なので、タイトルは「ドロップス

もっとみる
馬 駈ける

馬 駈ける

馬 駈ける

花 揺れる

遠くに幻

連綿と続く
歴史を貫く
大樹は伸びていく

手の鳴る方へ
何処までも

未來は

と織られ

綾を
成す

そうして

ひとつが 生まれた

(友人の出産を祝って)

初めての個展を終えて

初めての個展を終えて

今月、12月2日(金)〜7日(水)の期間に、新宿にある、新宿眼科画廊というギャラリーで、自身の作家活動で初となる個展を開いた。(※眼科画廊の名前の由来は「目に良い場所」という意味らしく、眼科が運営しているギャラリー、という訳ではない。)

今回、友人、知人、学生時代の先輩、後輩、同期から、お仕事で付き合いのある方々など、これまでお世話になった多くの方が来場してくださった。また初めてお会いする方もた

もっとみる
詩集を出版します。

詩集を出版します。

雫は 降ってくる
中くらいの晴れの日に

ドロップス
詩・画 青木萌

来月12月に第一詩集ドロップスを出版します◯
(メブキという自身の出版レーベルからの自費出版になります。)

訥々と空から降ってきたかのような詩篇を綴っています。

装丁はデザイナーの吉田結さんによるものです。

https://yuiyoshida.jp

春の日の光と風を感じるようなとてもうつくしい装丁です。
(花布が金色

もっとみる
はじめての個展を開きます。

はじめての個展を開きます。

この度、2022年12月に自身の第一詩集「ドロップス」を出版するのですが、その出版を記念して、詩と絵の展示を12月初週に新宿で開きます。

今回、初の個展となります。

詩集「ドロップス」の中から、活版印刷で刷った詩作品や、キャンバスへのペインティング作品、ドローイング作品、シルクスクリーン作品などを展示します。また、詩集の販売もいたします。

年の瀬となりますが、今年から作家活動の発表を本格的に

もっとみる
詩について(4)

詩について(4)

物には、詩がある。

詩とは言語の芸術表現のように思われるだろうが、実のところ「詩それ自体」は言語の前のところにある。(※詳しくは、詩について(1)の記事を参照していただければと思います。)

それを僕は「表現(express)の詩」に対して、「印象(impress)の詩」と呼んでいる。印象の詩とは、僕たちが世界を認識する、境界のところに発生する「詩情性(ポエジィ)」のことで、その詩情の源泉は、物

もっとみる
無題

無題

昨日 食べ残した林檎が
卓上で干からびていた

それは意図せざるひとつの彫刻

ふと 啓(ひら)いた
どうやら 恩寵(おんちょう)は
そういう類(たぐい)に 降(ふ)るらしいと

無題

無題

夕ぐれ 口にした 名は
十の 口が 叶えた

石は 皮を 破り
艸(くさ)は 化けた 花に

可ァ 可ァ と 欠(あくび)する 歌は
口口(くちぐち)を 回った

言葉の魂について

言葉の魂について

 言葉には魂がある。

と、最近、強く感じるようになった。

つまり、「言霊」というものは在ると、どうやら信じるようになっている。

 以前は、心のどこかで、言葉なんて、口では何とでも言えるもの、と思っていて、深く言葉を信用していないところがあった。口では綺麗な、体のいいことを言いながら、実際の行動が伴わない。そういう人を多く観てきたし、実のところ自分自身がその代表のようでもあった。大言壮語、行動

もっとみる
芸術と経済(2) ーウィリアム・モリス(1)ー

芸術と経済(2) ーウィリアム・モリス(1)ー

 芸術と経済について、だいぶ前に書いたきり止まっていたので、間が空いてしまったけれど続きを書いてみようと思う。

 今でこそ、仕事としてデザインを、また創作活動で詩や美術表現をやっているが、学部生時代は一般大学で政治経済学を専攻していた。志があって入った訳ではなく、只のなりゆきだったことは芸術と経済(1)で書いた。

 大学入学当初、「経世済民」の理念(世を治め民を苦しみから済(すく)う、という概

もっとみる
詩について(3)

詩について(3)

 結局のところ、日々を瑞々(みずみず)しく生きていくには、"詩"が本当に大切だ。

 吉本隆明の「詩とはなにか 世界を凍らせる言葉」(思潮社)という本を読み始めている。吉本の言う「全世界を凍らせてしまうほんとのこと」。詩とは、やはりそういうものなのだろう。詩の正体とは大袈裟でなく、きっと「ほんとのこと」、真実やイデアである、と思う。言葉の奥底に蠢(うごめ)き漂っているもの。それは塊なのか、海のよう

もっとみる