俺の心は悪鬼のように憂鬱に渇いている。

俺の心は悪鬼のように憂鬱に渇いている。俺の心に憂鬱が完成するときにばかり、俺の心はなごんでくる。
                          (『桜の樹の下には』梶井基次郎)

自我の過去の集積に没んだ感情を刳り出されたような情趣を覚えさせられる、
故に、共感せざるを得ない、
こういう文章に出会ったのは久しぶりのことだ。

やはり、こうした長い年月と経験から徐々に醸成される感情を、
僅かニ

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ฅ(ミ・ﻌ・ミ)ฅゥパ~
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檸檬  れもん  レモン

こんにちは。

昨日に続き、文学碑のメモを。

レモンスカッシュやレモンサイダーなど、「檸檬」と聞くと爽やかなイメージを持ちますが、梶井基次郎先生の名著「檸檬」は独特な読後感です。暗澹たる感情が沸き立ち、最後も不気味に終わります。しかし、不思議な読書体験が故に、何度も味わってしまうのです。檸檬のように。

大阪にて、梶井基次郎先生の文学碑を訪れました。靭公園内「うつぼこうえん」にある文学碑。夜でし

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有難うございます。フォロー頂けますと、幸いです。
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レモン(誕生花ss)

 その日、駅前のデパートはいつもと違ってピリピリしていた。爆破予告が届いたのだ。予め分かっていれば臨時休業に出来た筈だが、従業員がその予告メールに気がついたのは、予告時間の一時間前だった。なんとか客と従業員の避難が完了し、警察は店内の不審物捜索に乗り出した。
「しかし手掛かりが無いのは厳しいよなあ。何か……予告メールの文面にヒントとか無いか」
 爆発物処理班の男はあちこち走り回りながら、屋外に待機

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私も貴方がスキ!
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「檸檬」×森見登美彦氏

梶井基次郎の「檸檬」を読み、京都を恋しく思っていたところ丁度いい本に出会えました。

「森見登美彦の京都ぐるぐる案内」

森見登美彦氏は(京都在住の大学生の多くが当時夢中だったように)わたくしの青春そのものでございます。

この本の中で森見登美彦氏が「檸檬」について語っておられました。

少し長くなりますが、引用させて頂きます。

「檸檬」は、梶井基次郎が第三高等学校にいた時分のことを書いた小説だ

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ありがとうございます😊
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00:00 | 00:30

※試聴版です。オリジナル版(03:49)はマガジン購入すると視聴できます。

今回朗読するのは梶井基次郎「愛撫」です。

梶井基次郎の短編小説で、猫と遊んでいる中で浮かんだ空想を描いた作品です。
身近な猫との話を描いた短い作品ではありますが、独特の感性が光る作品で、かの川端康成から「気品」があると評価され、今日でも評価の高い作品です。
梶井基次郎も実際に猫好きで、一緒に暮らすのが日常だったといいます。
この作品からも、猫への愛情が感じられるのではないでしょうか。

それでは

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元気でる!ありがとうございます!
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伊藤整「若い詩人の肖像」 書くことそのことの実質

「伊藤君、君は志賀直哉の小説を読んだことがありますか」と彼が言った。

私は志賀直哉の作品を殆ど読んでいなかった。私は、それまで小説には興味を持たなかったので、小説を読む場合にも、佐藤春夫や室生犀星などの詩人出の小説家の作品を多く読んでいた。又谷崎潤一郎のような感覚的イメージを使う作家のものは分りやすいので読んでいた。志賀直哉や武者小路実篤の作品は、意味だけをドライな形で伝えようとするもので、詩的

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「レモンを日向ぼっこさせているの」

黄色く色づき始めた庭のレモンをひとつ、「もういいんじゃない?」と娘が無邪気に摘んでしまった。

レモンの可愛らしい形を気に入って、娘は家のあちらこちらにレモンを置いてみては笑っている。

窓辺において、「レモンを日向ぼっこさせているの」と寝転がってずっと眺めていたりする。

そんな娘の様子を見ていると、梶井基次郎の「檸檬」が無性に読みたくなってきた。

「檸檬」の舞台は京都、読みながら懐かしい路に

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読んでいただきありがとうございます😊
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伊藤整「若い詩人の肖像」 最上の状態で過ごし

梶井は、それまでに同人雑誌「青空」に書いた自分の何篇かの作品については、強い自信を持っていて、それが現在の文壇の水準を抜くものがあると信じていた。また彼は、自分の生命があまり長くないことをも予感していた。彼の人柄の明るさは、その二つの認識の上に築かれていた。彼は湯ヶ島で日光浴をしてきたと言って、真黒な顔をしていた。その頃の結核治療法では、重患のものにも日光浴が奨励されていた。彼はいかつい、醜いほど

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伊藤整「若い詩人の肖像」 自分自身を整理しきっており

梶井はその真黒い顔をほころばし、白い歯を見せて笑い、ほとんど曇りの見えない快活さで話をした。給士をする下宿の細君も、梶井に対しては、私に対した時より、なんとなく鄭重であった。梶井は、細君に、北川に、私に、伊豆の気候や食物のことを話したが、その態度には病人らしい所も、陰にこもった所もなかった。彼には、若い詩人や文学青年が共通して持っており、私もそれに人に見せるのではないかと気にしているところの性的な

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📖梶井基次郎『檸檬』を読む🍋

 みんな大好き檸檬爆弾。今日は梶井基次郎『檸檬』を読んでいこう。今回もあらすじは省略する。谷崎潤一郎『刺青』と同様に、かなりコンパクトな短編であるからだ。(しかしその内容は強烈だ!)

 青空文庫のリンクを貼っておく。ぜひご一読を!

🍋「えたいの知れない不吉な塊」は一旦置いておこう

 この作品は教科書でもよく取り上げられている。そのせいか、皆まじめに読みすぎだ。一文目からまじめに読んでしまう

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ありがとうございます。次回も良い記事を書けるように精進します。
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