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4~6月の読書記録

たまたまYoutubeで見つけた『本屋ついて行ってイイですか』という動画を見てから、読書欲がマシマシだ…

『本屋ついて行ってイイですか』は著名人に1万円を渡して本屋で自由に買い物をさせたら何を買うのかという企画なんだけど、
他人の本の買い物風景を見るのがこんなに楽しかったなんて…

その影響で、本屋を訪れたら本を1冊買うという楽しみを作ってみた。
本屋で本を選んでいる時間、最高に楽しい。
自分が本屋で悩みに悩んで買ったとびきりの本たちです、よければ見ていってください!

読んだ順に並べています。



ドグラ・マグラ (夢野久作)

読む者は一度精神に異常をきたす

すでに今年に入ってから何冊か本を読んでいた自分は力試しもかねて、難しい本も読んでみたいという願望を持っていた…

「難しい本といえばドグラ・マグラだよね」と、安直な考えでついに天下の奇書に手を出した…

なんとか最後まで読むことができたけど、途中で何回も断念しそうになった。
面白くないから読むのをやめたいというわけではなく、難しすぎて理解が追い付かず脳が悲鳴をあげていた。

多分読書をしていてこんな体験をすることは、今後一切ないと思う。
それくらい衝撃的な体験。

いまは回想?現実?妄想?
そんな状態で上巻を読み終わる。

下巻では一気にミステリーっぽくなり読む手が止まらなくなる…!

「ちょっとドグラ・マグラのことが理解できてきたぞ…!」と思わせてからやっぱりわからん…!

ドグラ・マグラのこと理解できそうで理解できなかったし、理解できないと思いきや少し理解できた気もする。

読書力がついてきたと得意になっている自分の鼻をへし折ってくれる良い経験だった…。

ドグラ・マグラは青空文庫で無料で読める!
自分はスマホを使って『kindle』で読みました。

青空文庫が読める無料スマホアプリなどもあるので、ドグラ・マグラが気になる方はぜひチャレンジしてみてください!



檸檬 (梶井基次郎)


――つまりはこの重さなんだな。――

檸檬

学生の頃、国語の教科書で読んだ記憶があった。
けど正直内容を全く覚えていない。

短編で読みやすいということもあり、大人になった今あらためて読んでみることに。

学生だった当時は「テストに出そうなところを覚えておこう」という視点でしか『檸檬』を読めなかった。

だけどなんのしがらみもない状態で読む『檸檬』はこんなに面白いのか…

何かあるわけじゃないけど、なんとなく憂鬱な気持ち。
その気持ちを綺麗さっぱり打ち破ってくれるのが、果物の檸檬だった。

檸檬の形・匂い・色全てがしっくりきた主人公は、檸檬を手に持ってウキウキと苦手な場所にも行ってみる。

檸檬を持っているだけなのに、今までの憂鬱が嘘のように活き活きとする主人公を見て自分まで元気になる。

檸檬を爆弾に見立てるユーモアと感性に脱帽!
読み終わった後、「スーパーに檸檬を買いに行こうかな」なんて思ったり…
(売っていなかったからオレンジを買って帰った)

こちらも青空文庫で無料で読むことができます!



創作する遺伝子 僕が愛したMEMEたち (小島秀夫)

本のない世界なんて考えられない

小島秀夫

『メタルギアソリッド』や最近続編が発表された『デスストランディング』などの名作ゲームを生み出した小島秀夫監督の書籍。

小島監督は大の本好きとして知られている人でもある!

そんな小島監督が愛する本や今の小島監督を作り上げたコンテンツを、監督自身の言葉で紹介しているのがこの本。

実は自分は小島監督のファンというわけではない
ゲーム『デスストランディング』が大好きで、このゲームを作った監督がどんな本を読んでいるのか気になったのが読むきっかけに。

特に小島監督はミステリーとSFが特に好きで、毎年『ヒデミス』というミステリー小説フェアが開催されるほど!

自分と同じくミステリー好きと知り、ちょっと親近感が湧く。

本好きな人のオススメ本がたくさん知れるのは、純粋に楽しい!
読みたい本が一気に増えた。

小島監督の好きな映画などもいくつか紹介されていて、忙しい中でも常にインプットを欠かさない姿勢に脱帽。

この本を読んだ時は小島監督をあまり知らなかったので、硬派な渋いおじさんのイメージだった。

だけど動画『本屋ついて行ってイイですか?』の小島監督の回を見てイメージが覆りました!

関西弁でよく喋るご機嫌なおっちゃんだった。
良い意味で期待を裏切られた!

本屋に来て、一瞬で1万円を使い切りそうになっている監督に笑ってしまった。
本が心から好きなのがヒシヒシと伝わってくる。

この本のおかげで『ドグラ・マグラ』で折れかけていた読書欲が復活!




パノラマ島綺譚/石榴 (江戸川乱歩)

彼の心をとらえたのは、地上の楽園としての美の国、夢の国としての理想郷でありました

パノラマ島綺譚

江戸川乱歩が好きだから、とりあえず読んだことのないものを読み漁っている。

江戸川乱歩の小説は難しそうに思われがちだけど、読んでみると案外読みやすかったりする。

短編小説も多いから、寝る前に「1日1作品読んじゃお〜!」がしやすいのも好きなポイント。

今回読んだのは『パノラマ島綺譚』『石榴』という2つの中編小説を1冊にした本。

このシリーズのカバーがお気に入り


江戸川乱歩は本格的な推理小説を書いたり、幻想的な怪奇小説を書いたり、時にはそれらを融合させたりするけれど、
『パノラマ島綺譚』は幻想的な怪奇要素が強め

主人公は自分の理想郷を作りたいと思うあまり、驚きの計画を練る。
そこで生まれたのがタイトルにもなっている『パノラマ島』なんだけど、これがとんでもない摩訶不思議な狂気の世界!
ひたすらパノラマ島の景色が描かれた文章には引き込まれるものがある。

これはまだディズニーランドなんてなかった時代の話だけど、「主人公にディズニーランドを見せたらどんな反応をするんだろう」と密かに思っている…

そして『石榴』はミステリー要素が強めで、それぞれまた異なる楽しみ方ができた!

主人公はミステリー好きの刑事。
過去に担当した「硫酸殺人事件」について、ミステリー好きの知人に話して聞かせた。

ミステリー好きだからこそ騙される物語。
自分はまんまとやられました!

ミステリー小説は好きだけど、自分の推理が当たったことは一回もない!

だけどこれがあるからミステリーって楽しい…
江戸川乱歩のミステリーは本格的なのに読みやすくて、毎回ワクワクしながら読んでいる。

江戸川乱歩の小説も全て青空文庫で無料で読めます!



不思議の国アリス (ルイス・キャロル)


だんろ前の
 しきものにお住まいの
  アリスの右足さまへ
    アリスから愛をこめて

不思議の国のアリス

たまたま入った本屋でどの本を買うか1時間悩んだ挙句『不思議の国アリス』を買った。

「なんで今更?」と思われそうだけど、ピンクの箔押しのプレミアムカバーが素敵だったから手に取った。

新潮文庫版

それにディズニー映画版のアリスやアリスモチーフの物語は見たことがあるけど、実は原作は読んだことがなくて好奇心が抑えきれなかった!

大まかな流れはディズニー映画の通りなんだけど、原作の不思議っぷりは凄かった…

アリスが大きくなったり小さくなったりするのは有名だけど、原作では首だけ伸びたりもする。
そのシーンの挿し絵があるんだけど、割とホラー。

そんなの序の口で全ての会話は成立していない…
会話しているはずなのに成立しない会話が終始続くのは奇妙な感覚だった。

アリス自身もなんだかおかしいと感じているから、自分がマトモなのか確認する。
「4×5=12、4×6=13、4×7――」
アリスはアリスでずっとこんな調子である。

フワフワとした奇妙な感覚が続いて、ずっと夢を見てるみたいで楽しい。

色んなモチーフになっているアリスの原点を知れたし原作が一番不思議だ、ということも知れた貴重な読書体験だった。

不思議の国のアリスも青空文庫で無料で読めます!
青空文庫、ありがとう…



緋色の研究 (アーサー・コナン・ドイル)

「この男、なるほど賢いかもしれんが、すこぶる自負心が強すぎる。」

緋色の研究

ミステリージャンルが好きとは言っているのに、実は有名なミステリー小説はほとんど読んだことがない。

これではいけないと思い、アニバーサリーカバーがカッコよかったという理由でシャーロック・ホームズにチャレンジ!
(さてはカバー買いしかしてないな…?)

真っ赤なカバーに銀色の箔押しが美しい

『緋色の研究』は探偵ホームズと助手ワトソンの出会いの物語。

元軍医のワトソン博士は下宿先を探していたところ、同居人を探していたホームズと出会う。

ワトソンは最初ホームズの変人っぷりを馬鹿にしていた。
ホームズの職業は不明だし、「地球が太陽の周りを回っている」という一般常識すら持ち合わせていない。

ホームズは見知らぬ通行人の職業を持ち前の観察力と推理力で当てて見せるが、ワトソンはそれを信じず「法螺吹き」呼ばわりする始末。
実際にその通行人の職業を尋ねると、ホームズの推理はドンピシャだった。

そんな2人がほとんど証拠がなく警察もお手上げという事件に関わることになる。

最初からホームズと仲良しだったのかと思っていたら、意外と最初はギスギスしていて面白い!

物語の後半は犯人の回想シーンになるんだけど、このシーンの緊張感と没入感はすごい。
回想シーンにミステリー要素は一切ないしホームズも出てこないけど、そんなことも忘れて一気に読んでしまった。

ミステリー要素皆無で読み飛ばしてしまう人もいるらしいけど、そんなの勿体ない…!
とても哀しいもう一つの物語もぜひ読んでほしい…!

人間としてはろくでもないけど、探偵としては言うことなしのホームズの虜に…
この後無事シャーロック・ホームズが主人公のゲームにハマることになったから、また別のnoteで紹介したい!

こちらもなんと青空文庫で無料で読むことができる。
青空文庫では『緋色の研究』ではなく『緋のエチュード』というタイトルで掲載されています!



こうして振り返って見ると青空文庫で読める有名な本ばかり読んでいる。
有名な作品なのに読んだことがないという本には積極的に触れるようにしています…!

この前Amazonで本を買ったはずなのに、平成ギャルみのあるキラキラなピンクのモバイルバッテリーが届いて困惑した…

やっぱり直接本屋で買うに限る…!何より楽しいし…!
(モバイルバッテリーは無事返品できました)


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