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【読書感想文】桜と屍体、美の源を問う『桜の樹の下には』

梶井基次郎の短編小説『桜の樹の下には』を読んでみました。この作品は、美しさの裏に隠れている死の影を鋭く描いています。

主人公の「俺」は、桜の花の美しさが動物の死体から栄養をもらって生まれていると考えます。この不思議な考えから、「俺」は死と美の関係について深く考えていきます。

この小説の面白いところは、美しさと死の関係を特別な視点で描いているところです。普通、桜は春が来たことや生命を表すものとされます。しかし作者は、その美しさの裏には死の存在が隠れているというのです。これによって、読む人に美しさの本当の姿について考えさせます。美しいものの後ろには、いつも何かの犠牲や終わりがあるのかもしれません。そんなことを、この作品は私たちに問いかけているように感じました。

最初にこの小説を読んだとき、少し気味が悪いと感じました。桜の美しさと死体という、全然違うイメージが組み合わさっていたからです。でも読み進めるうちに、「俺」の考えに引き込まれていきました。私は、美しさの裏側にある本当のことを見ようとする「俺」の態度に、何か潔さを感じました。

本作は、美と死という誰もが考える大切なテーマを、特別な視点で描いた作品だと言えます。美しさの裏側にある本当のことを見ることで、かえってその美しさをより深く理解し、感じ取ることができるようになるのかもしれません。そんなメッセージがこの作品には込められています。

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