秋(空き)時間

誰もいない山奥で小説もどきのものを書いています。作品『妊娠物語』『全身女優モエコ』『小…

秋(空き)時間

誰もいない山奥で小説もどきのものを書いています。作品『妊娠物語』『全身女優モエコ』『小幡さんの初恋』『人情酒場』『札幌でサッポロ一番を食べる』等twtterはこちらhttps://x.com/9ickVOB75xzGUuF

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  • とらねこ村<トランスミッション>

    • 142,201本

    とらねこが運営する共同マガジン。グループ合計で参加者1,200名を超えました。フォロワ数2000名以上、130,000記事以上が収録されています。🌱コンテンツを広めたい方の参加をお待ちしています。🌱マナー:①連続投稿はしない②社会一般的に不適切な記事は投稿しない③トップ画面は変えない。参加希望の方は,マガジンの固定記事からコメントしてね(ง •̀ω•́)ง

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    短編小説を集めました

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    天かすと生姜と醤油をかけたかけうどんは至高!

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    オチのない世界で僕らは一体何を語ればいいのだろう。

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    文学関連の記事集めました。

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フォルテシモ&ロマンティック協奏曲 《全編》

自殺寸前のカリスマ指揮者  カリスマ指揮者大振拓人は今人生の危機に直面していた。  先日大振拓人はオペラ『トリスタンとイゾルデ』の指揮をしていたが、その舞台で大振はイゾルデ役を務めるイリーナ・ボロソワへの溢れる思いに耐えきれず、とうとう第三幕で彼女を我が物にせんと指揮棒を放り出して全裸でステージに駆け上がり、何故か同じく全裸となっていたトリスタン役のホルスト・シュナイダーとくんずほずれつ全裸の絡み合いをしてしまったのである。この二人に自分の見せ場をぶち壊されたイリーナは

        • オールサマーうどん 〜夏の終わりに起こった奇跡

           彼女は夏の終わりに留学先のアメリカへと戻っていった。アメリカは九月で年度が変わるという。だから夏は卒業シーズンでもあるんだ。小麦色に肌を染めて卒業だなんてなかなか素敵だね。まだ卒業しないけど彼女はきっと僕よりも早く社会人になる。それは定められた運命。二浪してようやく凡中のボン大に入った自分の愚かしさを悔やんでもしょうがない。彼女はきっと日本に戻ってこないかもしれないけど、それもまた運命。悔やんでも仕方ないさ。でも僕はこの夏ようやく彼女と分かちあえた気がするんだ。あの奇跡のよ

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        記事

          ロシア文学秘話:チェーホフとスタニスラフスキー

           チェーホフは小説家としてより戯曲としての名声が高いといわれている。彼の戯曲家としての名声はかのイプセンに並ぶほどである。そのチェーホフの戯曲を世界的に広め現在の評価にまで高めた最大の貢献者はスタニスラフスキーシステムで有名な演出家にして演劇理論家のスタニスラフスキーであった。スタニスラフスキーはその体系的なリアリズム演技の理論でロシア演劇を一変させたが、彼が演出したチェーホフの戯曲の舞台がその最大の成果であった。チェーホフのドラマを排した戯曲とスタニスラフスキーの演技するの

          ロシア文学秘話:チェーホフとスタニスラフスキー

          嘆きの壁

           壁画に描かれた女。彼女の無表情な顔はいつも濡れていた。それは壁画を見た人なら誰だって涙だと思うだろう。僕は毎日壁画の女に身を寄せて彼女を慰めていた。多分壁画ができた頃は彼女はそれなりに注目されていたんだろう。きっと絵の具も光り輝いていたはずだ。だけど今は誰もが彼女を前にして足を止める人はいない。みんな彼女を無視して立ち去るんだ。きっと彼女は寂しいんだ。壁の中でみんなの無視っぷりに涙が出るほど悲しいんだ。  僕はそんな彼女を慰めてあげようと思った。毎日涙で壁を濡らしている彼

          バチカン市国

           都会でも田舎でもない。  平坦な町  一キロ範囲の  バチカン市国  みたいな町  そこで私は起き  そして眠る  この街には全てがあって  全てがない  ただ退屈で覆われている  人生とは死ぬまでの準備  人は生まれた時から  死を思う  一キロ範囲の世界で  我々は生き  そして死ぬだろう  一キロ範囲のバチカン市国の中で  この永遠なる退屈の果てで

          バチカン市国

          チェーホフとゴーリキーが見た世界的文豪の衝撃の秘密! ロシア文学秘話:トルストイを訪ねて https://note.com/natujikan/n/ndeac948685a1

          チェーホフとゴーリキーが見た世界的文豪の衝撃の秘密! ロシア文学秘話:トルストイを訪ねて https://note.com/natujikan/n/ndeac948685a1

          ロシア文学秘話:ドストエフスキーとツルゲーネフ

           ドストエフスキーとツルゲーネフの仲が悪かったのは有名で、特にドストエフスキーは激しくツルゲーネフを憎み自作の小説で彼のスキャンダルさえ取り上げてぼろくそに貶していた。ツルゲーネフもまたドストエフスキーを軽蔑し彼の性格とその小説をロシア版サドだと言って忌み嫌っていた。  しかしこの二人は最初のうちは互いに非常に好意を持っていたのである。処女作『貧しき人々』を出した新人作家ドストエフスキーは兄への手紙でツルゲーネフが自分の作品を激賞してくれた事を綴っているが、その褒められたこ

          ロシア文学秘話:ドストエフスキーとツルゲーネフ

          体調が戻ってきました。

          体調が戻ってきました。

          さよなら夏の日

          さよなら夏の日

          秋の自己紹介

           何度目かの自己紹介になります。私は山奥で雉と一緒に暮らしている秋(空き)時間です。都心はまだまだ暑いようですが、私の住む田舎はだいぶ涼しくなってきてもう氷が張ってます。今朝流氷に乗って下流に流されていた人をみましたが、あの人は大丈夫なのでしょうか。少し心配です。  というわけで自己紹介を始めます。私がnoteを始めたのは田舎に引っ越してからでした。私は東京の都心部のビルとビルの谷間に生まれました。そこは昼間でもろくに光の差さない場所でした。私は一刻も早くこんなところから脱

          秋の自己紹介

          田中一村の展覧会がやっているそうなので便乗 南方に消ゆ https://note.com/natujikan/n/nf5601b766359?magazine_key=m1954ca8a9bc5 田中一村をモデルにして書きました。

          田中一村の展覧会がやっているそうなので便乗 南方に消ゆ https://note.com/natujikan/n/nf5601b766359?magazine_key=m1954ca8a9bc5 田中一村をモデルにして書きました。

          飼い犬のルーツは世界各地のオオカミなんだけど、飼い猫のルーツってリビアヤマネコ系統だけなんですよね。他の山猫はどうして飼い猫にならなかったんだろう。

          飼い犬のルーツは世界各地のオオカミなんだけど、飼い猫のルーツってリビアヤマネコ系統だけなんですよね。他の山猫はどうして飼い猫にならなかったんだろう。

          +2

          秋になりました

          秋になりました

          無縁坂

           昼下がりの無縁坂は鬱々とした曇り空が名前通りの陰気さを醸し出していた。坂といいながらさほどの傾斜のないところだが、ただ無縁と名の付くように人は殆ど通っていない。あたりには新築のマンションや住宅が立ち並んでいるが、そこから人の出てくる気配はない。まわりの公園や繁華街の喧騒からすっかり取り残された場所。それが無縁坂。  今一人の男がこの無縁坂を歩いていた。手に持つのは森鴎外の『雁』。学生ではないし、文士を気取っているわけでもない。『雁』を買ったのは上野の近くにあるブックオフ。