秋(空き)時間

誰もいない山奥で小説もどきのものを書いています。作品『妊娠物語』『全身女優モエコ』『小…

秋(空き)時間

誰もいない山奥で小説もどきのものを書いています。作品『妊娠物語』『全身女優モエコ』『小幡さんの初恋』『人情酒場』『札幌でサッポロ一番を食べる』等twtterはこちらhttps://x.com/9ickVOB75xzGUuF

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    短編小説を集めました

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    文学関連の記事集めました。

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    オチのない世界で僕らは一体何を語ればいいのだろう。

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    自作の短編を集めました。若干シリアスよりです。

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フォルテシモ&ロマンティック協奏曲 《全編》

自殺寸前のカリスマ指揮者  カリスマ指揮者大振拓人は今人生の危機に直面していた。  先日大振拓人はオペラ『トリスタンとイゾルデ』の指揮をしていたが、その舞台で大振はイゾルデ役を務めるイリーナ・ボロソワへの溢れる思いに耐えきれず、とうとう第三幕で彼女を我が物にせんと指揮棒を放り出して全裸でステージに駆け上がり、何故か同じく全裸となっていたトリスタン役のホルスト・シュナイダーとくんずほずれつ全裸の絡み合いをしてしまったのである。この二人に自分の見せ場をぶち壊されたイリーナは

    • 《反転小説》そして人はすれ違う

       不意打ちのような出会いなんて滅多に起こるもんじゃない。よく、有名な誰かがある人と奇跡的に出会って自分は変わったなんて事を語ったりする。だけどそれは彼らが運命に選ばれた人間だからで僕らのような普通の人間が出会うのはみなありふれた人ばかりだ。道ゆく人々きっとその中には僕のように奇跡的な出会いを空想している人がいるかもしれない。スクランブルを小走りに歩く人々。みんなどこか急いでいる。信号に追われて。周りを見ている余裕なんかない。きっとあの子もそうだろう。目の前の有象無象に囚われて

      • 異文化交流 https://note.com/natujikan/n/nf734ede4e874 みんな異文化交流しようぜ。そんな思いを綴ったお話です。

        • 戻れない夏2024

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        • フォルテシモタクト ~カリスマ指揮者大振拓人を応援する会
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        記事

          タイトル未設定

           あと15分で一日が終わろうとしていた。タイトル未設定なんてなんて人生そのもののテンプレじゃないか。こうして一日が終わりまた一日が始まるのだ。安い感情と気落ちする朝のために僕は眠る。

          タイトル未設定

          言葉の切れ端

           波が引いてゆく  夏が去ってゆく  ありきたりな感傷  つまらない言葉の切れ端  詩なんてものは  ただの着飾った  つまらない言葉を並べたものに  過ぎない  誰がの詩が深いとか  感動的だと思えても  それはありきたりの言葉をうまく  並べているだけ  人は言葉以上の何かをそこに  求めているだけに過ぎない  詐欺師に騙される人間が  詐術に真を見出すように  あらゆるものは言葉の切れ端  全てはまやかしに過ぎない

          言葉の切れ端

          異文化交流

           江戸後期、黒船来航前の太平の世の我が国のとある島に一隻の難破船が漂流してきた。朝起きて浜辺に出た島民たちは突如現れたその船のあまりの巨大さに恐れをなして誰も船に近寄らず、遠巻きにそれを見ていたのだった。そうしてしばらく経ったとき、船からぼろぼろの格好をした金髪の人間らしきものが降りてきたのを見てびっくり仰天した。島民たちは生まれてこの方異人など見たことがなかったからである。  島民たちは持っていたモリで異人たちを串刺しにせず冷静にお役人の所に向かった。島民たちの勇気あるも

          異文化交流

          マイヒーロー 〜警視庁隠密捜査官美月恭平の事件簿

          「オラ!いつまで黙りこくってんだあ〜!さっさと吐けよ!もう証拠は上がってんだぜ!」 「この変態!あなた女子のゲロ吐くとこみたいだけなんでしょ!何が証拠は上がってるよ!どうせ全部出鱈目じゃない!」 「出鱈目かどうかは裁判所が判断するんだよ!」 「なんて酷い!極悪人!それでも刑事なの?あなたは無実の人間を犯人に仕立て上げるつもりなの?」 「お前が無実かどうかは俺が判断するんだよ!テメエじゃねえんだよ!」  とある治安最悪の某都市のヤクザの事務所と区別がつかないと言われる

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          ボクの考えた最強のラスボス

           絶対的主人公道理満と悍ましきラスボス盆地大蔵のラストバトルは終結へと向かっていた。盆地の果てしなく巨大化し富士山を噴火させて日本を滅亡させようという作戦は道理の岩で富士山の火口に蓋をするという全く道理に合わない機転で見事防がれた。最大の作戦が失敗に終わった盆地は巨大化を維持できず、再び普通の姿に戻ってしまったのだった。その盆地に向かって道理はこう言い放った。 「盆地大蔵、お前との因縁もこれで終わりだ。死ぬ前に一つ聞きたい事がある。お前には自分のせいで盆地に住まざるを得なか

          ボクの考えた最強のラスボス

          最期の一筆

           日本文学最後の文豪冬耳論外は今死の床で最期の小説を執筆していた。今病室の冬耳のベッド周りには彼の執筆を見守らんと掲載予定の雑誌の編集者や各出版社の幹部連中がズラリと並んでいた。編集者たちが見守る中、冬耳は震える手で万年筆を持ち一文字一文字時間をかけ過ぎるほどかけて書いた。編集者は冬耳が一文字を書き終えると一斉に安堵のため息を漏らした。だが彼らは冬耳が震える手で次の文字を書こうとしているのを見てすぐさま口を閉じて緊張感をあり過ぎるほど持って冬耳の執筆を見守っていた。  この

          呟きはまた明日

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          十二音列

           現代音楽の創始者シェーンベルクが確立した十二音列技法は西洋音楽に歴史的な変革をもたらした。このシェーンベルクが確立した十二音列技法とは、ざっくり言えば十二の音を平等に扱って作曲するという技法である。今までの西洋音楽はバッハからワーグナーに至るまで作曲家は好みの音ばかりを使用し、彼らの好みでない音は等閑にされていた。シェーンベルクはそのどうでもいいように扱われていた音たちに手を差し伸べたのである。それは西洋音楽におけるヒエラルキーの打破であった。作曲家たちの好みの音が王侯貴族

          ストーリーのない小説

          「ストーリーがなかったら小説にはならない。だから僕らがストーリーを紡ぎ出さなくちゃいけないんだ」 「あなた小説のこと何にも知らないのね。世界にはストーリーのない小説なんていくらでもあるのよ」 「バカ言っちゃいけない。ストーリーのない小説なんて小説じゃないさ。人生がそうであるようにね」 「ハハハ、あなたの小説観って失笑ものだわ。現代の先鋭的な作家はそんな低俗な小説観に反旗を翻してストーリーのない言葉の芸術としての小説を書いているのに。あの、こんなこと言うのはなんだけど、フ

          ストーリーのない小説

          大富豪と大貧民

           かつて三島由紀夫は『源氏物語』を紫式部が王朝の豪勢さを描きたかったものではないかと発言した事がある。作中の中に邸や庭の美しく描いた一見して退屈な描写がメインの章があるが、それが源氏物語の真髄なのではないかと。  まぁ、こんな前置きとは全く関係ないのだがこの現代にもそんな光源氏には及ばないものの、ある程度のルックスと、王族など遥かに超える途方もない財産に恵まれた男がいた。その男は大国レベルの土地を所有し、ホワイトハウス100個分の邸と自分専用の空港まで持っていた。その空港は

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          カブトムシ

           故郷へと向かう電車のアナウンスで間もなく降車駅に到着する事が知らされた。僕はスマホの時計で正午である事を確認し、もうなのかと少し驚いたが、よく考えてみればこの辺りの駅は都内への通勤エリアとは言えないものの、決して通勤不可能な場所ではない事に気づいた。実際に元いた会社の同僚の中にこの辺りの県庁所在地の駅から通勤している奴がいた、自分の帰る所はその駅から、ローカル線に乗り換えてさらにバスに乗った先にある、ほとんど田んぼと空き地しかない場所だ。全く嫌になるぐらいの田舎。両親も死ん

          奇跡の逆転勝利

           川浜高校は最後のタイムアウトを取った。点差は109vs0で残り時間の10分で逆転するのは小数点に0が無限に並ぶほど無理であった。昔のドラマ見過ぎな観客がお前らゼロの人間なのか、一生ゼロで生きていくのかとヤジを飛ばしたが、それに対してはいそうですよとしか答えられない状況であった。全国四位の強豪相模一高への初挑戦。その結果がこんな惨めな結果に終わるなんて。監督を勤める滝沢兼子は生徒たちの悔しがる表情を見て胸が痛んだ。この子達は県予選ノ前日に死ぬほど努力してドリブルとシュートを覚

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