《反転小説》そして人はすれ違う
不意打ちのような出会いなんて滅多に起こるもんじゃない。よく、有名な誰かがある人と奇跡的に出会って自分は変わったなんて事を語ったりする。だけどそれは彼らが運命に選ばれた人間だからで僕らのような普通の人間が出会うのはみなありふれた人ばかりだ。道ゆく人々きっとその中には僕のように奇跡的な出会いを空想している人がいるかもしれない。スクランブルを小走りに歩く人々。みんなどこか急いでいる。信号に追われて。周りを見ている余裕なんかない。きっとあの子もそうだろう。目の前の有象無象に囚われて